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脳ドックについて
十条リハビリテーション病院 脳神経センター長 山下 純宏
「脳ドック」とは一体どのようなものなのですか。
ご存知かと思いますが、症状のないうちに脳の病気を早期に診断するということを目的としたものです。MRIという優れた検査法が発達しまして全く痛みなく脳の中の様子が観察できるようになりました。「脳ドック」とは脳の中に何か病気が潜んでないかどうかをチェックする目的で行います。
それではどのような方が「脳ドック」の対象となりますか。
大体50歳代以上の方が対象となりますね。年齢とともに脳の血管の動脈硬化とかが進みまして、いろいろな病気が少しずつ起こってきます。大体50歳以上と申しましたが、家族や親戚に脳卒中の方がおられる場合には、異常が出る確率が高いのでやや早めに「脳ドック」を受けることをお勧めします。
「脳ドック」では具体的にどのような検査をされるのですか。
検査としては頭部のMRIと、心臓から脳へ行く頚部の血管の超音波検査、この二つの検査で、MRIが約15~20分間、超音波検査が約10分間で、トータルで約30分間で終了します。結果の説明を含めて約1時間で終わります。
これは注射を打ったりとか痛みとか、その点はどうですか。
注射は致しません。これらの検査では造影剤とか使いませんで、ただ横になって寝ているだけで終わります。
ちょっと気になるなあという方はぜひとも受けて頂きたいですね。それでは、この「脳ドック」でどういったことがわかるんですか。
いわゆる脳血管障害の中に入る、無症候性脳梗塞と未破裂脳動脈瘤、この二つの疾患が最も重要な疾患として検討の対象となります。頻度的には未破裂脳動脈瘤は少ないのですが、もしもこれが破裂しますと、いわゆるくも膜下出血を起こし、場合によっては即座に致命的になる場合があります。時々有名人の方が仕事中にくも膜下出血で一発ドンッと亡くなってしまったということがニュースになりますね。「脳ドック」を受けられればそういった病気があるかないかわかります。万が一、見つかった時はその直径が5ミリメートル以上の場合には予防的な治療を考慮した方がいいということになっています。
なるほどね。そして無症候脳梗塞、こちらも発見出来るわけですよね。
そうですね。無症候性脳梗塞というのは、症状出ていないのですがMRIで写ってくるわけです。大体2~3ミリメートル前後の脳の「しみ」というか皮膚のしみのような病変が出てきます。脳の中での起こる場所によって症状を現す場合もありますが、小さな脳梗塞すなわち脳の血管の極く細い枝が詰まったことを示しています。脳は再生不能の臓器ですので、一旦出来たものは消えないのみならず、時間とともに少しずつ増えたり、あるいは大きな脳梗塞のリスクファクターとなり得るという証拠もあります。
この無症候性脳梗塞は症状がはっきりしないのですが、放っておくと本格的な脳梗塞(脳卒中)になって行くんですね。
無症候性脳梗塞には程度も色々ありまして大脳白質に1~2個の方とか10個以上もある方とか、いろいろですけども、そういった異常がある場合には1年に1回位検査して悪くなっていってないかと確かめていくことも重要です。
当然増えない方がいいんですけども、防ぐ為にはどういったことが必要なんでしょうか。
うですね、それが一番大事なんですけれども、まあ高血圧、糖尿病、高脂血症、喫煙、飲酒、肥満などあらゆる生活習慣の改善、生活習慣病の治療、が重要になります。その中でも一番大事なのは血圧の管理ですね。これはやっぱり、血圧の高い方は動脈硬化も早く進みますし、脳梗塞、脳出血が起こるリスクが共に高くなるわけですね。自分の意志次第で出来ることの第一は喫煙者の禁煙でしょう。従って「脳ドック」を受けられたことをきっかけにして、そういった生活習慣の改善とか、生活習慣病の治療に関心を深めていただきたいのです。
人間ドック、毎年入っています、という方もおられるかもしれませんが、「脳ドック」はまだ受けてなかったなあという方も多いかもしれませんよね。まあ、50を超えたあたりからは特にそういったことも意識して行かなければなりませんよね。
50歳代の方なら2年に1回位、60歳以上の方なら年に1回、できるだけ同じ施設で検査を受けて、前回の結果と比べて変わりがないかどうかをチェックするのがいいと思います。







