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十条リハビリテーション病院 呼吸器内科 医長 小川 栄治

慢性閉塞性肺疾患について

十条リハビリテーション病院 呼吸器内科 医長 小川 栄治

慢性閉塞性肺疾患はCOPDっていうんですね。

COPDは英語で「Chronic Obstructive Pulmonary Disease」という難しい名前が付いておりまして、その頭文字をとりましてCOPDと言い、日本語では、慢性閉塞性肺疾患と言います。日本語でも呼び方が難しいので、一般的にはCOPDと呼ぶことが多いです。以前は、肺気腫や慢性気管支炎などと呼ばれていた病気の概念です。

具体的にどういったものなんですか。

COPDは、タバコなどの有害な空気を吸い込むことによって、空気の通り道であります気道、気管支や、酸素の交換を行います肺胞などに障害が生じる病気です。その結果、空気の出し入れがうまくいかなくなるので通常の呼吸ができなくなり、息切れなどが起こるのです。これは長期間に渡る喫煙習慣が主な原因であることから、COPDは「肺の生活習慣病」と言われ、社会的にも近年注目を浴びてきている病気です。

これはいつぐらいから見つかった病気なんですか。

実は歴史は古くて、1963年にCOPDの概念は既に提唱されていまして、その原因が喫煙であることは1972年の段階で報告されています。

病気としては怖い病気なんでしょうか。

アメリカでは、死亡率が10万人当たり18.6人で死因の第4位でありますし、1982年と比較しますと、アメリカでは41.5%の死亡率の増加を認めております。またEU諸国でも死因の第3位になっております。しかしながら日本では、COPDの死亡率が死因の第6位と低い位置づけなのですけど、これは実は死亡診断書を書く医者の認識不足がありまして、例えばCOPDが原因でよく肺炎などを引き起こすのですが、それが原因で肺炎で死亡された場合でも死因を肺炎とされますと、肺炎が死亡原因になってしまいます。だから実際はもっと多いんじゃないかといわれています。

今日本にどれぐらいのCOPDの患者がいると考えられているんですか。

2000年に行われました疫学調査で、日本におけるCOPDの患者さんは、40歳以上の全体の8.6%と予想されています。さらにその数字は増加傾向にあるということなので、今現在もっと多い可能性が高いです。つまりCOPDの患者さんのうち多くの方は、ご自身がCOPDと自覚されないで過ごされていると思います。

まだまだ日本でもCOPDの患者さんは増えているんですか。

そうですね。先ほどタバコが大きな原因だと申しましたが、例えばアメリカでは1950年代にタバコの消費量がピークになって、そのあとはタバコの消費量というのは減少傾向にあります。COPDはタバコを吸い始めてからしばらくたたないと病気としては成り立たないので、発症までに大体20年ちょっとぐらいはかかるといわれているんですが、1970年代以降は、アメリカではCOPDの患者は減少傾向にあります。しかし日本では喫煙人口がまだ増加傾向にありまして、昨今これだけ禁煙のことを言われておりますので、禁煙社会で吸う所自体も少なくなっておりますし、今後喫煙人口が減りましたら、20年後ぐらいには減少になる可能性はありますけど、今現在ではどんどん増えていくと思われます。

COPDになるとどういった症状が出てくるんですか。

初期には、咳や痰が気になったり、動作時呼吸困難つまり運動したときとか動いたときに息が苦しくなるということが症状として出てきます。具体的に言いますと、動作時呼吸困難は、階段の上り下りや少し小走りをした際に同世代の人と比べて息切れがひどく疲労するといった症状が出だすということです。それは初期の段階なんですが、中期になりますと、その動作時呼吸困難が進行して、平地でも歩くと息切れをしたり、動作時の疲労が強いために部屋に引きこもりがちになったり、そういうことが症状として出てくることがみられます。

どういう症状になったら病院にいった方がいいんでしょうか。

実はこれには明確なガイドラインがありまして、「ゴールド」という世界的なCOPDの治療ガイドラインというものがありまして、それによりますと、今から述べます5つの項目のうち3つあてはまればCOPDの可能性が高いと言われています。(1)一日に何度も咳をする(2)一日に何度も黄色がかったり粘っこかったりする痰が出る(3)同世代の人に比べて息切れしやすい(4)40歳以上である(5)現在タバコを吸っている、または以前吸っていた、以上の5つのうち3つ当てはまると思われた方は、COPDの可能性があるということがいえると思うので、その方は早い段階で呼吸器科のある病院に行かれることをお勧めします。

病院にいったら検査をするんですよね。

そうですね。普通はレントゲンまたはCTスキャンといった肺の中を写すもので、肺の状態を調べるのと同時に、スパイロメトリーという呼吸機能検査をして診断することになります。スパイロメトリーというのは、いわゆる呼吸機能検査と呼ばれるもので、人間の息を吐く力、息を吸う力を測定します。COPDの患者さんはこの息を吐く力が弱いというデータが出ますので、その検査の結果によってCOPDが診断がつきます。

検査をしてCOPDだということになったら、治療はどういったものがあるのですか。

まず一番大事なのは禁煙です。喫煙はニコチン依存という薬物依存の一種であります。そのため、禁煙は一度でうまくいくことは少なくて、平均3,4回の禁煙を7~10年の期間をかけて試みてやっと生涯禁煙者になると言われています。ただ、現在はニコチン依存の方に対しまして、禁煙外来にて禁煙補助剤を出すことができますので、禁煙希望の方は禁煙外来のある医療機関に受診することをお勧めします。二つ目は、吸入治療というものが存在します。吸入治療によって息切れなどの症状の軽減、肺炎などCOPDが原因で引き起こされると言われています病気の発生を抑えることができます。重症の患者さんには、酸素療法やNIPPV療法、呼吸リハビリテーション療法などがありますが、まずは禁煙などをお勧めして手助けをさせていただく、次に吸入の治療によって合併症の引き起こしを少なくしたり、日々の生活を楽にしたりすることができます。

そういう治療にはどういう意味があるんですか。

COPDが原因で息切れなどの症状が出るということは、それだけ心臓に負担がかかっているということが言えます。そのため、不整脈などの突然死の危険性をそういう方ははらんでいるということが言えます。それらの心臓病の危険性を減らしたり、肺炎などの合併症による危険性を低く抑えることがこれらの治療によってあります。そして何よりも症状が軽減されることによって日常生活が楽になると思いますので、是非そういうかたは医療機関への受診をお勧めします。

先生、最後に一言お願いします。

COPDは、実はみなさんが思っておられる以上に死ぬ病気で、多分ラジオをお聞きのみなさんの周りにもそういう方がいらっしゃると思います。そういった方が早期の医療機関による管理をすることにより、寿命が延びたり(=生命予後)、息切れが少なくなって日常生活の質が非常に改善されたりとかすると思います。心当たりのある方は、是非呼吸器科の標榜のある病院、または診療所の受診をお勧めします。


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