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最近の糖尿病統計調査の結果をふまえて考えること
十条リハビリテーション病院 糖尿病センター部長 西野 和義
最近、厚生労働省から日本の糖尿病患者についての新しい統計が発表されたということなんですが、まずその内容からご説明いただけますか。
これは国民健康栄養調査のことで、全国で約1万8000人の方々を無作為に抽出し、その中の約4000人の血液の検査結果から全国民の健康の推計をするという調査なんです。つい最近、2007年度の調査結果が発表されまして、結果は、糖尿病が強く疑われるという方が約890万人で、糖尿病の可能性を否定できないいわゆる予備軍の方が約1320万人、合計で2210万人と推計されています。10年前の1997年のデータと比べますと、約1.3倍ということで、非常に増加ペースが加速していますね。
国民の総人口が1億2000万人と考えても5人に1人は糖尿病の疑いがあるということになりますね。働き盛りだけで考えると、もっと確立が高いということですか。
ええ、そのとおりだと思います。国民総数というのは赤ん坊からお年寄りも含まれるわけで、働き盛りだけに限定しますともっと割合は高くなると思います。ちなみに、この調査ではいわゆるメタボリックシンドロームの調査もされているんですね。それによりますと、40歳~74歳の男性の、なんと2人に1人、女性では5人に1人はメタボリックシンドロームではないかと言われています。このメタボリックシンドロームというのは、比較的軽い糖尿病、糖尿病手前の糖尿病予備軍、こういったものを合併しやすいと考えますと、やはり糖尿病も働き盛りが非常に多いということが十分予想できます。
私の周りにも、糖尿病とかメタボリックシンドロームの方がたくさんおられるという風に考えていいわけですよね。
おなかがぽっちゃりの方おられませんか?もちろん、ぽっちゃりだからすぐにメタボというわけではないんですが、メタボの一番基本的な特徴といたしましては、いわゆる内臓脂肪型肥満というのがあります。他にもいくつか診断基準がありますが、いまや糖尿病とメタボリックシンドロームは国民病と言われていますね。先ほどの国民健康栄養調査でも、糖尿病の可能性が否定できないという人が非常に多いということでしたけども、これはメタボリックシンドロームの増加を反映しているという点が大きいと思います。何も特殊な病気ではありません。友人・知人、会社の同僚とか上司の方々に、自分が糖尿病であるということを隠しておられるという方がどうも多いようなんですね。
家族にはともかく、会社に隠すとまずいんですか。
私は非常に問題があると思うんですね。というのは、治療を続けていくという意味で、支障を来たすことが多いと思うんです。糖尿病というのは、残念ながら治すということができないんですね。でも、糖尿を持っていても、別にすぐに生活に困るわけではないんですよね。ほとんどの方は症状がありませんし、油断をして放ったらかしということが多いわけです。でも放っておいたら、いわゆる合併症を引き起こしていきまして、困ったことになってしまうわけですね。ですから、そういう状況になる前に、ちゃんと治療をしていけば、健康な状態を保つと、そういう病気でもあるわけで、やはり普段からの自覚の元にですね、食事とか運動とかそういったことに気を使っていただきたいわけなんですが、症状がないので、自分の状態がわかりません。やはり病院や医院に月に一度は行かれまして、血液検査や尿の検査を受けていただき、はっきりと自分の状態を確かめるということが必要だと思います。そのためには、医療機関に行くという時間がどうしても必要なのですが、それで仕事に支障が出るということですと困ってしまいますので、そういう意味で上司の方など会社の理解というのが必要ではないかと思います。
月1回も行かなくてはならないんですか。
非常に落ち着いているという方については、2、3カ月に一度ということもあるかもしれません。基本的には、月に1回と考えてください。
これは糖尿病と診断されてからでいいんですか。
ヘモグロビンA1cというもので評価するんですが、それがそれほど悪くないという場合でも糖尿病についての理解、あるいは食事療法などの治療法についての理解が良好であれば2、3カ月に1回の通院でよいでしょう。
自覚症状がないと、そこまで無理して病院に行かなくてもいいかって思ってしまいがちですもんね。
そうですね。実際にそういう方が本当に多いですね。ご本人は、痛くもかゆくもないですから、自分の置かれている状況というのはわからないわけですね。
合併症ってとっても怖いという風に聞いたことがあるんですけれども。
はい。糖尿の合併症もいろいろとありますけれども、神経障害とか網膜症、腎障害、こういった昔から有名な糖尿病特有のいわゆる三大合併症というんですが、これが以前から非常に多いわけです。ところが、戦後食事が豊かになりまして、動物性の脂肪を特に取るようになってからは、三大合併症のみならず、いわゆる心筋梗塞や脳梗塞などの怖い動脈硬化性の脳・心血管病も引き起こすということも出てきましたので、糖尿病というのはいろんな合併症があるんだということで、予防が大切になるわけです。
糖尿病だと言われて、通院が必要だということになったら、家族ももちろんそうですが、会社のほうにもちゃんと伝えて理解を求めて、病院に行く時間を確保してもらうという必要があるんですね。
私はそう思います。大体時間がかかることが多いと思います。外来患者さんが多くなりますと、待ち時間が長くなってしまいますが、そうすると2、3時間はかかってしまいますから、約半日はつぶれてしまいますね。このような状況では、ご自分の努力だけでは限界があると思いますね。月に1回程度は、そういう時間を設けていただきたいと、そのためには周りの理解も必要と思います。
国民病ということになりますと、是非職場の理解も必要ですよね。
本当にそうですね。やはりこの病気の性質というのをよく理解していただかないと、例えば糖尿病と言いましても、ほとんどは無症状なんですが、うんと進んでしまいますと、かなりの高血糖ということでいろんな症状が出ます。そういう場合は、自分がおかしいと思うので、放っておいても自分で病院へ行くわけですよね。でも、大半の場合は、無症状ですから、放ったらかしにしないようにということで、その方にとっては傍迷惑かもしれませんが、いろんな治療というのが必要なわけです。
あまり自覚症状のないうちから、あれ食べちゃだめ、これ食べちゃだめといわれると、余計にストレスがたまることもあるかもしれませんが、病気についてよく理解していただいて、対策をという風にしていただきたいですね。
食べちゃいけないものは、何もないんですよね。合併症までいきますと、一部制限ありますけども、何を食べてもいいんですが、ただ量とバランスですよね。三大栄養素の炭水化物、たんぱく質、脂質のバランスが非常に大切です。あと、野菜をなるべく多めに食べましょうとか、早食いをしないようにするとか、いろんなポイントを理解してもらえば、そんなに難しいものではありません。
規則正しい生活でバランスの取れた食生活をということですね。あとは言われたとおりに、通院をするということですね。
そうです。そうしないと、なかなか客観的に状況を把握するのは難しいと思うんですね。







