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東山武田病院 放射線科 木村 一秀

胃透視について

東山武田病院 放射線科 木村 一秀

胃透視についてのお話なんですけれども。

バリウムという造影剤を飲んで、X線写真を撮る検査なんですが、受診者の方や患者さんから、胃カメラとどちらがいいのかと尋ねられることが多いんですね。ですから、今日は胃カメラとの違いについてお話しようと思います。私はカメラの担当ではないので、カメラについて専門的なことはわからないのですが、胃透視をする立場から最低限の知識はあるつもりなので、大まかに比べてみたいと思います。

「胃を透視する」という風に書きますが、胃透視というとバリウムを飲むんですよね。

患者さんの状態や検査目的によっては他の造影剤を飲んでいただくこともあるんですが、ほとんどの場合はバリウムです。胃を気体で膨らませるために、ラムネも飲んでもらいます。

胃カメラとどっちが楽なんですか。

どちらが楽かは、人によって違うと思いますね。カメラの方が楽だという点をいうと、一番大きな点は、患者さんが努力して飲んでくださらなくてもカメラが挿入されてくるという点ですね。胃透視ですと、検査台も立ったり寝たりしますし、あと患者さんも途中で息を止めたり、左右を向いたり、仰向けに寝ているときにぐるっとうつ伏せになってもらったり、そういうことをしていただかないといけません。そしてげっぷも我慢していただかなくてはなりません。こういうことが無いという点が、カメラの楽な点だと思います。

カメラの方が楽な点というのは、他にもありますか。

X線被爆が有りません。それからカメラでも空気が入れられるんですけれども造影剤を飲まないのであとが楽ですね。空気は自然に腸へ進んだり、げっぷで出たりしてくれます。

逆に、胃透視の方が胃カメラより楽という点もあるんでしょうか。

バリウムとラムネを飲んでいただくんですけども、液体と気体だけですから、カメラが入ってくるよりは楽だとおっしゃる方もいらっしゃいます。他には、のどの麻酔をしないので検査が終わったら、すぐに飲食ができます。

カメラを受けるのか、胃透視を受けるのかというのは、自分にとってどちらが楽かで決めたらいいんですか。

どんな点で楽かだけではなくて、検査によって得られる情報も、カメラと透視では違います。例えば、早期がんの発見にはカメラがいいと思います。カメラは透視よりも病変を直接観察でき、色もわかります。カメラが無かった時代やカメラの技術革新が進んでいなかった時代は、早期がんも透視で見つけなければいけなかったのですが、現状ではカメラの方がいいと思います。

他にカメラだとどんなことができるんでしょうか。

例えば、胃の壁の一部分を切り取って、どんな病変か調べることができます。切り取るので、それだけで治ってしまうこともあります。ちょっとした手術を兼ねることもできます。

透視では主にどんなことがわかるんでしょうか。

例えば、カメラで胃がんが見つかって、外科で手術をしてもらうことになった場合に、胃の全体の形を見渡しておくのに役立ちます。透視は、患者さんに立っていただいたり、寝ていただいたりして写真を撮ります。ですから、姿勢によって胃の位置や形が変わるかどうかで胃が周りのものとへばりついてしまっているかどうかもわかります。胃がんがある場合、周りのものとへばりついているというのは、周りへ進んでしまっているということなんです。例えば、すい臓とか他の臓器まで進んでしまっているかどうかはCTの方がよくわかるんですけれども、胃に留まっているか、あるいは胃から少しだけはみ出しているかを見るには透視が有効だと思います。

胃がんが見つかったという場合は、みなさん胃透視をすべきなんでしょうか。

典型的な場合としては、カメラで胃がんが見つかって、転移の有無を見るためにCTを撮ったらカメラやCTの所見によって透視するかどうか決まると思います。それから、手術してくれる外科の先生が透視の情報を必要とするかどうかにもよります。

手術の直前にバリウムを飲んでという風になると、バリウムが邪魔になったりしませんか。

おっしゃるとおりです。だからといって、バリウムが無くなるまで待っていたら手術が遅れてしまいますよね。ですから、手術の直前の透視は、バリウム以外の造影剤ですることが多いんです。胃の手術の直前の胃透視には、バリウムではなく水溶性造影剤を使います。これだと手術の邪魔にはなりませんし、透明ですし、水に溶けますから、もし万が一邪魔になりかけたとしても、簡単にすすぎ落とせるんです。水分が十分にあるところでは、固まりかける心配もないわけです。

それだったらバリウムじゃなくて水溶性造影剤がいいですね。

それはごもっともなんですけど、ただ水溶性造影剤は、胃の粘膜にべっとりとくっついてくれないので、細かいところまでわかる写真が撮れないんです。ですから、普通はバリウムでやった方がいいですね。

今日のお話を要約しますと、胃カメラと胃透視ではどういう点で楽かというのも違いますし、人によってどっちが楽と感じるかも違うということですよね。そして得られる情報にも違いがあるから補い合うこともあるということですね。

そうですね、おっしゃるとおりです。


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