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※医師やスタッフの肩書き/氏名は放送時点でのものであり、現在は変わっている可能性があります。

東山武田病院 消化器内科部長 松林 祐司

逆流性食道炎について

東山武田病院 消化器内科部長 松林 祐司

逆流性食道炎はどんな症状があるんでしょうか。

胸焼けというのが最もよく見られる逆流性食道炎の代表的な症状です。この病気は、もともと日本人には少ないと言われていた病気でしたが、食生活の変化などによって最近患者さんが増えていると言われています。

胸焼けとは、具体的にどう感じるものなんですか。

胸がちりちり焼けるような症状が多いです。みぞおちの辺りから胸の下の方にかけてやけつくとか、それから熱くなるような不快感などが見られます。ただ、のどの方まで酸味のあるような胃液が口の中まで上がってくる感じがあったり、場合によっては痛みを伴うこともあります。

これは頻繁に起こるんですか。

通常、誰でも経験はあると思うんですけれども、逆流性食道炎の方は、こういう風な症状が一日に何度も起こって、しかも一カ月以上続くということになりますから、かなり生活の質が低下してしまうと言われています。

たまに飲みすぎたり食べ過ぎたりしたときになることはありますが、また逆流性食道炎とは違うんですか。どうして起こるかという原因は。

逆流性食道炎というのは、胃の内容物が逆流することによって起こる食道の炎症という風に言われています。食道の粘膜が傷つくわけですけど、その主な原因は、胃酸です。胃液には胃酸が含まれていますけれども、胃酸の正体は塩酸で、非常に強い酸性のものです。食道の中というのは普通は中性で保たれていますが、胃と違い、胃酸を防御する仕組みや働きを持っていないために、胃酸が逆流すると炎症が起こりやすくなります。また、唾液は消化酵素を含むほかに胃液を中和する働きがあります。唾液の少ない方も胃酸の影響を受けやすくなります。

何で胃酸が逆流してしまうんですか。

食道裂肛ヘルニアとか、下部食道括約部の異常が考えられています。食道裂肛ヘルニアというのは、胃の上の一部が本来あるべきおなかの中から、横隔膜を越えて胸の中に飛び出た状態を言います。食道と胃のつなぎ目部分は普通は閉じた状態になっていますけれども、食べ物が来ると開くようになっています。それを下部食道括約部と読んでいますけれども、そこの動きがおかしくなっているということになります。

これは診断する方法があるんですか。

食道裂肛ヘルニアは、胃カメラを行うことで診断することができます。食道の炎症がどれぐらいひどいかということも胃カメラで診断することができます。

どんな人に起こりやすいとかあるんですか。

脂肪の多い食事を取る人、背中の曲がっている人、ご高齢の方、肥満の人、こういった方は、逆流性食道炎になりやすいですね。

自覚症状があって検査をして、逆流性食道炎だと診断されますと、どのように治療していくんでしょうか。

逆流性食道炎は、主に胃酸によって食道に炎症が起こっているわけですから、胃酸の分泌を抑える薬が有効となります。特に、プロトンポンプトインヒビターと呼ばれるお薬が一番最初に使われるお薬です。このお薬を飲まれて症状が取れても中止すると再発する方がおられますので、その場合は長期にお薬を飲んでいただく必要があります。毎日お薬を飲んでいただく場合、維持療法と言いますが、必要なときだけ飲んでいただくという場合があります。逆流性食道炎の維持療法にもプロトンポンプトインヒビターを用いることが最も効果が高いと言われていますし、また安全性も高いとされています。

生活の中で気をつけないといけないことがあると思いますが、どういうことに心がければいいんでしょうか。

まずは、胃酸の逆流を起こしやすい食べ物を減らす必要があります。脂肪の多い食事や食べすぎはいけません。脂肪分の食べ過ぎや摂り過ぎによって、何にも食べていないときに下部食道括約筋のところが緩んで、胃液が食道に逆流してしまうことはあります。脂肪の多い食事を摂った場合は、十二指腸から分泌されるホルモンの働きによって、それからたくさん食べることにより胃が引き伸ばされることによって、下部食道括約筋が緩むと考えられています。また、脂肪の多い食事自体も胃酸を増やすと言われています。そのことで胃液の逆流を起こしやすくしてしまいます。

他には何かありますか。

たんぱく質の多い食事もよくないと言われています。たんぱく質の多い食事というのは、消化に時間がかかって、胃の中に食べ物が長くとどまっていますので、胃液の逆流が起こりやすくなってしまいます。

昔からよく言われますけども、腹八分目ぐらいがちょうどいいんですね。

そうですね。ただし、こういう症状のある方は、八分目よりも七分目とかに減らしていただいたほうがいいと思います。

他に何か控えたほうがいいものはありますか。

アルコール、コーヒーなどカフェインを含む食べ物を減らしていただく必要があると思います。禁煙も必要ですね。こうしたアルコールやタバコなどは、食道括約筋というところを緩めたり、胃酸の分泌を増やしたりすることがわかっています。

肥満の人がなりやすいとおっしゃっていましたが、こういった体の改善などにも気をつけた方がいいですね。

肥満の方というのはおなかの圧力が高くなっているので、食物が戻りやすくなっていますので、肥満を解消していただく必要があります。あとはお腹を締めつけないということも必要です。コルセットなどをしておられる方も、必要な部分はされないといけないと思うんですけれど、あまり強くしめつけていただくと、腹圧が高くなって逆流を起こしやすくなると言われています。あとは、姿勢に注意していただく必要があります。姿勢と逆流性食道炎は深く関係していると言われています。前かがみの姿勢をすると、逆流がしやすくなると言われています。あと、寝るときですが、寝るときに胃液が戻ってくるという方がおられるんですが、その場合は、少し上半身を高くして寝ていただくと逆流が起こりにくくなります。ただ、枕で頭を高くするだけでは十分ではなくて、上半身全体を上げていただいた方がいいですので、クッションなどを工夫していただいて、上半身全体を上げるようにしていただいたほうがいいと思います。

食後すぐはよこになったりしないほうがいいですか。

食後2~3時間ぐらいは、胃の内容物の逆流が起こりやすいと言われていますので、食後すぐに横になられたりすることはあまりよくないですし、お仕事の関係もあるでしょうけど、夜遅く帰ってきて食事を摂ってすぐ寝ることはできるだけ避けていただいて、できるだけ寝る前のお食事は避けていただきたいと思います。

それはダイエットのためだけじゃなくて、このような逆流性食道炎も防ぐということに繋がるんですね。

そうですね。


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