※医師やスタッフの肩書き/氏名は放送時点でのものであり、現在は変わっている可能性があります。

生活習慣病予防外来について
東山武田病院 生活習慣病センター長 桝田 出
東山武田病院では、生活習慣病予防外来が開設されたということで、この開設に至ったいきさつから教えていただけますか。
ご存知のように、平成20年4月からメタボリックシンドロームに主眼をおいた特定健診と特定保健指導という新しい制度が始まりました。これは、メタボリックシンドロームを早期発見することで生活習慣病の予防を目指しているものです。この制度に先がけて、当病院では平成18年4月から生活習慣病センターの中に予防外来を作りました。この外来は、なるべく薬を使わずに、食事や運動で生活習慣病を克服してもらおうというものです。雑誌や新聞でも取り上げられ、通称「メタボ外来」とも呼ばれています。
最近はみなさん気になさっていますけど、生活習慣病についてもう少し詳しく教えていただけますか。
生活習慣病の代表的な病気には、高血圧症、糖尿病、脂質異常症(高脂血症)などがあります。治療の大きな目的は、動脈硬化性疾患、心筋梗塞や脳卒中にならないためです。最近、これらの病気は増加していますが、その背景には肥満があります。この原因は、食生活の変化や運動不足があります。日本人の総摂取カロリーは大体2000kcalぐらいで昭和30年代から変わっていませんが、脂肪摂取の割合が多くなっています。また、テレビをよく見る人やデスクワークが多い人は、一生懸命歩いている人に比べて肥満や糖尿病になりやすいということもわかっています。日本の中でも沖縄は肥満者が多い地域です。長年、長寿社会といわれていましたが、最近の男性の平均寿命は全国26位になっています。ちなみに京都は37位、滋賀は41位で、肥満の方が少ない地域ですが、今後は侮れません。
こういったことは通常の外来ですとなかなかできませんよね。
通常の外来では、循環器疾患や脳卒中などの診療でどうしても手一杯になってしまいます。生活指導に十分な時間が割けないため、生活習慣病予防外来を始めました。
この予防外来の診療は、どのように行うのですか。
この外来の特徴は医師だけではなく、糖尿病療養士という資格をもった看護師や、管理栄養士、健康運動指導士など、専門家がチームを組んで行います。対象の方は、健康診断などでメタボリックシンドロームや肥満といわれた人、糖尿病、高血圧症、コレステロールや尿酸が高い人などです。
まず生活習慣を把握するわけですか。
専門スタッフが食習慣や運動習慣、睡眠時間、喫煙量など生活スタイルを聞き取ります。そして、体脂肪やウエスト周囲径、血液検査、CTスキャンによる内臓脂肪測定、心臓・血管エコーや運動負荷試験などの動脈硬化症の結果を照らし合わせながら、一人ひとりのライフスタイルに合わせた食事や運動など生活指導プログラムを作っていきます。
心強いですね。
生活習慣は十人十色なので手間隙がかかりますが、続けていただくためにはオーダーメイドの治療は必要です。そして、自分に合った食事や運動療法を始めていただきます。ご自分でカルテを作っていただき、数値目標などを立てて、大体1、2カ月ごとに我々の方でチェックします。病院の中にも運動指導の設備が用意されているので、そちらも活用しています。
一定の期間で達成度を確認していくということですか。
目標はすごく簡単です。間食をしない、もらい物のおかしを食べない、週に1回は一駅分歩く、体重を毎日測るなどです。成功体験を積み重ねていくことが励みになります。6カ月経ったときに、達成できれば表彰状をお渡ししています。
それをいただけると達成感がありますね。
医師はどうしても薬に頼りがちです。患者さんもそうです。薬に頼らずとも下がるよう、ぐっと我慢して両方の信頼関係で成り立っているような外来です。
今までの診療で成果が上がったという患者さんの例を挙げていただけますか。
40歳代の女性で、痩せたいという理由で来られました。間食をしないという目標や数値を守ることで、うまくコントロールでき、5カ月間で10kgの減量に成功し、血液中の中性脂肪や血糖値も下がりました。しかし、残念ながら通風発作を起こしているのに付き合い酒がやめられない。いったん飲み出すとツマミを取りすぎるという方もおられ、全員がうまくいくとは限りません。ご本人が地道な努力をしていただくことが大事です。一番の主治医は患者さんご本人であり、家族や周りの人たちの協力を得て取り組んでいただくことが基本だと思います。
最後に、生活習慣病を気にしているラジオをお聞きの皆さんへぜひアドバイスをお願いします。
適切な生活習慣は、簡単なことから得られます。そして、心臓病や脳卒中になる確率を低くすることができます。健康診断でメタボリックシンドロームと判定された人はもちろん、少しウエスト周りが気になっている人も、勝手に大丈夫だと判断せず、当病院のような専門のチームに相談されるのが一番よいかと思います。







