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禁煙のすすめについて
十条リハビリテーション病院 呼吸器科医長 小川 栄治
今日は禁煙のすすめということでお話いただくんですけれども。
喫煙はその害について今までマスコミでさまざまな面で報道されていますが、未だに日本人の喫煙率は他の先進国と比べて高い状況が続いております。
具体的にたばこの害というのはどういうものがあるんでしょうか。
たばこには、さまざまな有害物質が含まれておりまして、直接喫煙者に入る主流煙というもののほかに、近くの人が吸い込む副流煙の中にも、それらの有害物質が多数存在します。過去のデータでは、副流煙の方が有毒物質の量が主流煙よりも多いという報告もあります。具体的には、家族の中に喫煙者がいない3歳の幼児の気管支喘息の有病率は、普通(非喫煙の家庭)は1.7人なのですが、例えば母親が喫煙者の家庭の幼児の気管支喘息の有病率は4.9倍と、かなり出てしまうということです。また、ご自身はたばこを吸われないのに、ご主人がヘビースモーカーの奥様の肺がんの死亡率は、ご自身、ご主人ともに非喫煙者の方の1.91倍というデータがあります。
直接的な害についてはどうですか。
いろんなデータがありまして、喫煙者と非喫煙者の各病気に関します死亡率の差というものがさまざまなところから報告されています。例えば喉頭がんでは、吸う人は吸わない人の32.5倍の死亡率があります。肺がんで4.5倍、肺気腫(COPD)で2.2倍、虚血性心疾患で1.7倍、胃潰瘍で1.9倍と、たばこにより死亡率が悪化するという疾患は、そのほか無数に存在します。
これらの死亡率というのは、一日に吸う本数とは関係あるのですか。
当然一日に吸う本数が増えれば増えるほど死亡率は上昇します。例えば先ほど肺がんの死亡率は4.5倍と申し上げましたが、これは一日に15本程度吸う人のデータで、一日に40本以上吸う人は、死亡率が7.4倍、50本以上吸う人は15.3倍というデータがあります。その他の病気に関してましても、当然一日の吸う本数が増えるほどその病気の死亡率は上昇します。
死亡しないような病気についても関係あるんですよね。
はい。例えば、慢性気管支炎の有病率や、潰瘍の再発率でも一日に吸う本数に依存して悪化するというデータがあります。
がんばって禁煙しようという方もいらっしゃると思いますけど、禁煙しても今後それらの病気から逃れられないということになってしまうんですか。
それはそうではありません。先ほど述べました肺がんの死亡率を例に取りますと、喫煙時は15本程度吸えば4.5倍であるというデータを申し上げましたが、その死亡率が禁煙開始されて、4年後には非喫煙者の2倍程度に、10年後には1.4倍程度に低下するというデータがあります。かなりゆっくりとではありますが、非喫煙者とそう大差のない死亡率となりますので、今吸われている方は、できるだけ早期での禁煙をお勧めします。
費用的にも、たばこを吸うとお金がかかりますよね。
今現在の国内のたばこは300円程度とお聞きしておりますが、300円のたばこを一日2箱吸うと仮定しますと、10年で大体230万円ぐらいになります。これで国産車が十分に買えるかんじになりますので、そういう面でも喫煙というのはデメリットが大きいと考えられます。
でもやめられないという方が多いと聞くんですけれども。
そこが問題なんですね。今まで述べてきましたように、自分と身近な人の健康を害し、しかもお金もかかるたばこが、だめなものだということは多くの方はご存知だと思うんですけれども、どうしてもやめられない理由は二つの要因があるとされています。一つ目は、心理的依存、つまり習慣ということですね。もう一つは、身体的依存、つまりニコチンへの渇望ということです。心理的依存とは、習慣で、何か口にくわえていないと気がすまないとか、別にたばこがほしいわけではないのに吸ってしまっているという状態です。それに対しまして、身体的依存というのはたばこの中に含まれていますニコチンが不足することにより、イライラしたりするので吸ってしまうとか、ニコチンを身体に入れることによって、気分がよくなる、たばこを吸われる方がよくおっしゃられますが、たばこがおいしいという状態に対する依存ということが言えると思います。
禁煙をすすめていくには、どうしたらいいんですか。
まずはやめるという決心をしていただくことが大事かと思われます。具体的には、禁煙の開始日を決めて、その日から禁煙をするということを決めていただくということが大事です。先ほど述べました二つの要因のうち、心理低依存に対しましては、従来から言われております禁煙パイポやあめ、ガム、こんぶなどを口にしながら少しずつその習慣をやめていくと依存から抜け出しやすいと考えられています。問題の身体的依存に関しましては、最近ニコチンを皮膚から吸収させて、その量を少しずつ減らしていくというニコチンパッチという貼り薬と、内服薬でたばこを吸った後の満足感とか、たばこをおいしいと感じることを阻害する嫌煙薬というような薬を処方することができます。いずれの薬も禁煙外来を設けております病院や診療所、クリニックで保険適用で処方してもらえますので、まず禁煙をしたいという方がいらっしゃれば、ぜひそれらの医療機関でまずご相談されることをおすすめします。なかなか身体的依存というものが強くて、自分がやめる決心をしてもどうしてもイライラしたりだとか、例えば、お酒とかコーヒーとかたばこをよりおいしくさせるような副産物といっしょにありますと、やっぱり吸ってしまうとか、周りが吸っているとどうしても吸ってしまうとか、そういうことがございますので、そういうときには禁煙外来を掲げております病院やクリニックが一つの助けになるかと思います。







