※医師やスタッフの肩書き/氏名は放送時点でのものであり、現在は変わっている可能性があります。

手術で治療可能な認知症
十条リハビリテーション病院 脳神経外科 脳神経副センター長 奥村 厚
認知症とは何ですか。
認知症でまず思い浮かべるのがアルツハイマー病でしょう。認知症は慢性あるいは進行性の脳疾患によって生じた、記憶、思考、理解、見当識、計算、学習、言語、判断など多数の高次脳機能の障害からなる症候群と定義されています。単に物忘れが目立つようになっただけでは認知症とはいえません。
認知症の原因としてどのような疾患がありますか。
認知症のほぼ7割を、アルツハイマー型認知症と脳血管性認知症が占めています。その他にはパーキンソン病の末期、甲状腺機能低下症などの内分泌疾患、うつ病などの精神疾患、薬物の過剰服用、神経梅毒などの感染症、ビタミン欠乏症などがあります。また忘れてならないのは、頻度として多くはありませんが、手術で治療可能な認知症があります。すなわち脳腫瘍、慢性硬膜下血腫、正常圧性水頭症、硬膜動静脈奇形などであります。特に慢性硬膜下血腫、正常圧性水頭症は脳神経外科領域では比較的簡単な手術で症状の改善が期待できる病気です。
比較的簡単な手術で治療可能な病気について説明してください。
慢性硬膜下血腫は比較的軽い頭部外傷の1~数ヶ月後に、頭蓋骨の内側の硬膜と脳の表面のクモ膜との間にじわじわと出血が起こり血腫となる状態です。中高齢者(特に飲酒者)に多く、まれには3歳以下の小児にもみられることがあります。特に高齢者では記銘力の低下、性格の変化などのボケ症状が前面に出てくることもあります。これらの症状は溜まった血腫によって脳が圧迫されて出る症状です。その他、頭痛、尿失禁、四肢麻痺などを伴うこともあります。穿頭術といって局所麻酔下に頭蓋骨に小孔(直径約1.5cm)をあけて血腫を吸引する手術です。術後劇的に症状が改善されます。
正常圧性水頭症についても説明してください。
脳脊髄液の吸収障害のため、頭蓋内に脳脊髄液が溜まり、その結果脳室拡大をきたす疾患です。症状として痴呆、歩行障害、尿失禁のいずれかが現れます。原因疾患としてクモ膜下出血、髄膜炎や頭部外傷などに続発する続発性正常圧性水頭症(70~80%)と、原因不明の特発性正常圧性水頭症(20~30%)とに分けられます。認知症状は比較的ゆっくりと進行し、記銘力の低下、見当識の障害から、次第に自発性の低下、無口・無欲の状態を呈するようになります。治療としては、脳脊髄液の流れをよくするためにバイパス手術(シャント手術)を行えば歩行障害はかなり改善されます。また痴呆症状は早期に治療すればするほど回復の効果が高くなります。
身内に認知症のような症状が現れた場合どのように対応したらよいでしょうか。
早期の適切な診断が大切ですので、上記の病気のことを思い出していただいて、認知症は治らないと諦めずにお近くの病院(なるべく神経内科、脳神経外科などの診療科がある病院)を受診されることをお勧めします。







