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※医師やスタッフの肩書き/氏名は放送時点でのものであり、現在は変わっている可能性があります。

十条リハビリテーション病院 糖尿病センター部長 西野 和義

糖尿病について

十条リハビリテーション病院 糖尿病センター部長 西野 和義

今日は糖尿病についてということなんですけども、日本の糖尿病患者数が戦後社会が豊かになってから激増したと言われているんですよね。先日も2006年の日本の糖尿病患者数が前回の統計よりさらに増えたという報道もありましたね。

そうですね。今日のお話は、つい先日報道されました2006年度の国民健康栄養調査この結果を中心にお話したいと思います。この調査は、これまでにも1997年、2002年に引き続きまして、今回三度目の調査になるんですけれども、この調査では糖尿病患者を、糖尿病を強く疑われるという人と、糖尿病の可能性が否定できない人と、この二つに分類しています。強く疑われるというのは、糖尿病に該当する人、可能性を否定できないというのは、糖尿病の予備軍に当たる人と考えられています。

強く疑う人とか、可能性を否定できない人と言われても、われわれ素人にはわかりづらいんですけれども。

この調査では、血糖値そのものではなく、ヘモグロビンA1cというこういう検査項目を用いて分類しているんですよね。ヘモグロビンA1cについて説明しようと思います。ヘモグロビンA1cというのは、血中のブドウ糖が赤血球の中にありますヘモグロビンというタンパク質にくっついたもの、これが本体なんですけれども、大体1、2カ月間の血中のブドウ糖の量、つまり血糖の程度を反映していると考えられるものなんですよね。この値が高いということは、過去数ヶ月の間に血糖値が高かったという風に考えられますので、それだけ血糖のコントロールが悪かったと解釈できます。ですから、ヘモグロビンA1cの値というのは、血糖値そのものよりもより長期の血糖コントロールの状況を反映すると考えられておりまして、普段の糖尿診療ではよく使います。

今どうかというよりも、どういう状況で推移しているかということがわかるものなんですか。

血糖値はしょっちゅう変わるわけですよね。空腹時は比較的低いですし、食後の血糖は高くなると、それを一日繰り返しておりまして、その時点時点でころころ変わりまして、頭が混乱してしまうときもあるんですけども、それに対してヘモグロビンA1cは比較的安定的にゆっくりと変化するので1~2カ月ぐらいの間の血糖のレベルを反映するというようになっています。患者さんには月に一回は外来に来ていただいて、これを測定しています。

ヘモグロビンA1cの正常値というのはどのぐらいなのですか。

糖尿病の気が全くないという健康な方は、5未満と考えられております。逆に5.6以上というのは血糖値がかなり高くて、いわゆる糖尿病の状態ではないかと考えるわけです。5~5.5の間というのは、非常に混乱するんですが、健康な方もいれば糖尿病まではいかないけれども健康ではないという境界型の方もおられると思いますし、軽度ではあるが糖尿病である方など、いろんな方が含まれると思います。この調査では、判定基準としましてこのヘモグロビンA1cを使っているわけなんですけれども、6.1以上あるいはすでに糖尿病で治療中であるという人が糖尿病であると強く疑われる方という風になっておりまして、5.6~6.1%未満は糖尿病の可能性を否定できないという風に定義しています。

つまりヘモグロビンA1cの値によって糖尿病の程度を分類して、糖尿病かその予備軍という風にわけたということですよね。結果はどうだったんですか。

やはり予想通りで、糖尿患者数は増加している一方であるということがわかりました。2006年度における日本の糖尿患者数は約820万人、予備軍は1050万人と推定されていまして、両者を合わせたら、1870万人という値になったわけです。4年前の2002年度の調査では、両者合計で1620万人だったので、それに比べて250万人増加していたということになります。

1870万人というと日本人の人口が1億2000万人ということで、大体2割ぐらいですよね。

おおまかに言えば6人に一人という人が糖尿病に当たります。これは赤ん坊からお年寄りまで全員含めた総人口の割合になりますので、働き盛りの方だけを見ましたら、もっと濃い密度になると思います。4人もしくは5人に一人の割合になると思います。ちなみに前々回の97年度のデータでは1370万人だったんですが、2002年度と今回の調査結果を一緒にしてグラフにしましたら、糖尿病患者数はほぼ5年おきに直線的に増加してきているんですよね。

増えてきているというのはわかっていたのに、対策は立てられていなかったのでしょうか。

もちろん厚労省はじめ、関係機関は手をこまねいて見ていたわけではありません。実際これまでもいろんな対策がとられてきたと思います。糖尿病対策を健康対策の重点項目にすえて、自治体による糖尿病予防の取り組みということに力を注いできたのですが、今回の調査結果からはこの増加の流れに食い止めるだけの効力が無いということが改めて示されたわけでして、今後はもっと手をかえ品をかえ、強力な対策が必要になります。

どうすればいいんでしょうか。

実際は難しいと思うのですが、これは基本に立ち返って糖尿病患者が何故こんなに増えてしまったのかと、その要因というのをよく考えてみる必要がありますね。これまでもよく言われてきたことなのですが、戦後に日本は高度経済成長を遂げました。社会もずいぶん豊かになりました。それに伴ってこの患者数が増えてきたわけですよね。戦後に社会が豊かになって、日本人も欧米並みに肉とか乳製品をよく摂るようになりましたね。昔の食事と比べたらよくわかると思いますが、脂肪の摂取量というのが非常に増えたんですよね。この脂肪摂取量が増えたということと、自動車の普及台数に比例しまして、糖尿患者数が増えてきたわけです。つまり日本の伝統的な食事が減って、欧米並みに動物性脂肪をたくさん摂るようになったというわけです。そして身体をあまり使わなくなっており、運動不足になったということで糖尿が増えたと言われています。

となると、私たち自身も今の暮らしぶりを改めて行く必要があるわけですね。

そうですね。これは一番基本的なことだと思います。現代社会は非常に発達していますので、今更昔ながらの日本食に戻るとか、生活スタイルを昔に変えようというのは、外食産業も発達している現代社会では無理だと思います。ですから、伝統的な日本食というのは、野菜や穀類をいっぱい使った煮物なんかが特に多かったと思いますが、こういうのを中心にした食生活は無理かもしれません。まずは動物性脂肪を減らすということが寛容なので、牛肉や豚肉こういった料理を控えて行くということから始めたらどうかと思います。それから、食後に外に出て散歩するという習慣も非常に大切ですよね。最初から、食事療法や運動療法が大切だといって完璧にやっていこうという目標を持っていますと、嫌になってしまいます。ですから、早食いをやめるとか、どか食いをやめるとか、普段の間食をやめるとか、こういったこれなら自分でもできるというようなものを見つけて、それをクリアしていくという姿勢からやってみてはどうかと思います。


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