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※医師やスタッフの肩書き/氏名は放送時点でのものであり、現在は変わっている可能性があります。

東山武田病院 健康管理部 部長 堀井 和子

メタボリックシンドロームについて

東山武田病院 健康管理部 部長 堀井 和子

メタボリックシンドロームとは一体なんなのでしょうか。

メタボリックシンドロームというのは、簡単に言えば太った方に血圧が高いとか血糖値が高いとか中性脂肪が高いなどが重なっている状態をいいます。こういう人たちが現在の日本では増えています。今の日本のように、おいしい食べ物があふれていて、みんなが車に乗って歩かないという社会では、肥満者が増えてメタボリックシンドロームが増えます。厚生労働省の報告では、日本では女性で10人に1人、男性は4人に1人がメタボリックシンドロームで、さらに予備軍を合わせると、なんと男性では2人に1人がそうだということです。

目安になるのがおへそ周りだということですが。

肥満の判定というのは、おなかのCTを撮って判断します。これは手間も費用もかかりますし、放射線で被爆の問題もありますので、実際には簡単な方法、つまりおへそ周りを測って、男性85センチ、女性90センチ以上が肥満という判定になります。

これがイコールメタボということになるんですか。

これに加えて血圧が高い、中性脂肪が高い、血糖が高い、の3つのうち2つを持っていればメタボリックシンドロームと診断されます。

メタボになるとどんな影響があるのでしょうか。

メタボリックシンドロームでは、何の自覚症状もないままに確実に動脈硬化が進みます。動脈硬化というのは、全身に血液を送っている動脈が、まるで水道管が錆びてくるように脆く、デコボコになって狭くなってくるのです。こうなってしまうと、血液の流れが悪くなって、最終的には脳卒中や心臓病で死に至ることが多いのです。日本人の死亡原因は、がんが1位で3割強なのですが、心臓病、脳卒中などの心血管病と言われるものが3割弱の死亡率を占めています。メタボリックシンドロームは、この心血管病の原因となるので予防、治療というのが大切です。

どうして太ってくると血圧や血糖、中性脂肪が上がってくるのですか。

脂肪というのは、おなかに溜まった単なるラードの固まりという風に思われていたのですが、最近この脂肪細胞がいろいろな物質を出していることが解ってきたのです。脂肪細胞は、太っていない人では肥満や動脈硬化を防ぐ物質を出しているのです。それが太ってくると、今度は血糖や中性脂肪をあげたりする物質を多く出すように変わってくるという研究が報告されています。このようにして、太ってきて脂肪細胞が変化することが血糖や中性脂肪や血圧が上がることの一つの理由ではないかと考えられています。

メタボを防ぐにはどうしたらいいのですか。

メタボリックシンドロームでは、太ることで高血圧、糖尿病などを引き起こしてくるのですから、減量するということが根本的な治療なのです。今現在、いろいろな薬を開発中なのですが、今のところメタボリックシンドロームに効く薬はまだなく、食事療法と運動療法です。まず食事の全体の量を減らすことがまず大事なのですが、脂っこいものや甘いもの、濃い味付けを減らす、野菜の多い食事をするとともに、間食をやめる、夜遅く食べないなどの食生活の改善も重要です。それに加えて運動は、ウォーキングとかプール歩行などの全身運動を食事療法に併用するとさらに効果的だと思います。

運動はとてもいいことなのですか。

はい、運動はとてもいいことなのですが、メタボリックシンドロームでは、動脈硬化が進みやすいということを少し思い出してください。今現在動脈硬化が進んでいて、血管がボロボロである可能性もあるのです。こういうときに急に強い運動をすると、危険なのです。ですから、特に今まで胸の痛みとか、強い息切れを感じたことがあるような人は、運動を始める前に、是非お医者さんに相談していただきたいですね。また、ジョギングほど強い運動でなくても、中高年の方であれば、ウォーキングで十分ですし、安全でもあります。三・三運動というのがあって、これはへそ周り3センチ、体重は3キロぐらいを3カ月ぐらいのペースで減らそうという運動があるのですが、この程度のペースでも動脈硬化の危険度をかなり減らすと言われていますので、1カ月で5キロ痩せるとか無理をなさらないようにしてください。幸いなことに、内蔵脂肪は、食事や運動療法で結構減りやすいということが知られています。

男性80センチ、女性90センチというと、おへそ周りの寸法は、女性に甘いような感じがするのですが。

確かにこの数字は今問題になっていまして、つまり、日本以外の数字は、すべて女性の方が男性よりも少ないのです。ですから、日本だけ女性に甘すぎておかしいという意見は確かにありますね。将来的には、数字も変わっていくでしょうし、あるいはおへそ周りではなく、脂肪を直接表すような測定方法というのが開発されて、そういうものが採用されていくのではないかと思っております。

女性90センチと言われると、89センチだったらギリギリセーフだという風に思ってしまうのですが。

おへそ周りが89センチということは、脂肪がおなか周りにたくさん溜まっていることに間違いないとは思います。ですので、89センチだからといって安心するのではなく、これはほぼ肥満だから、減量する必要があると考える方がいいと思います。今の85センチ、90センチという数字は、あくまで現時点の目安という風に考えていただいて、絶対的な数字にこだわらずにどれだけ減らせたか、どれだけ増えてしまったかという変化にこだわった方がいいと思います。これだけ考えていただいて常に自分の体重を気にして、腹八分目でよく体を動かすということを心がけて生活していただければなと思っております。


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