※医師やスタッフの肩書き/氏名は放送時点でのものであり、現在は変わっている可能性があります。

膝の痛みについて
東山武田病院 整形外科部長 真多 俊博
膝の痛みの原因について。
打撲、捻挫などの外傷(怪我)を除くと、変形性膝関節症、関節リウマチなどがあります。変形性膝関節症と、関節リウマチは、少し区別した方がいいでしょう。変形性膝関節症は加齢現象が背景にあって、軟骨が減ってきます。特に膝の内側の軟骨が減少します。このため内反膝(いわゆるガニマタ)になり内側の痛みがでることが多いです。リウマチでは、関節全体の軟骨が変性するため内側と外側の軟骨が減少します。このため必ずしも内反膝(いわゆるガニマタ)にはなりません。
膝の症状としては。
(A)階段昇降や、立ち上がりの時の痛み
(B)歩き始めの痛み
(C)曲がりが悪くなってきた、まっすぐ伸びなくなってきた
(D) 膝が腫れる、水がたまる、音がする
(E) 膝の形が変わってきた
(F) 曲げ伸ばしの時に引っかかりがある
(G)歩行中に膝がガクッと折れる などあります。
変形性膝関節症と、関節リウマチの違いは。
特徴的なレントゲンでは、変形性膝関節症は、内側関節裂隙の狭小化を認めます。一方、関節リウマチでは、内側および外側の関節裂隙狭小化を認めます。
治療法は。
治療は、消炎鎮痛剤や消炎外用剤の使用、関節注射、大腿四頭筋強化訓練、および物理療法など有ります。治療効果は、症状の程度によって有効性に違いが出てきます。また、サプリメントが有効であるという報告もあります。
関節リウマチでは、このほかに、抗リウマチ薬の治療が併用されます。最近では生物学的製剤という薬が実用化されています。リウマチへの効果が優れています。
手術は必要ですか。
症状が激烈で、日常生活に大きな支障が出てくるならば、手術治療が必要です。小侵襲の手術では膝関節鏡を行い、膝関節内にたまった老廃物や関節液を洗い流すことで、痛みが大幅に改善することもあります。
関節軟骨が残っている場合には脛骨高位骨切り術という手術が有ります。自分の骨の形を変えて、膝にかかる体重を膝外側に移します。自分の骨で直すため力仕事を続ける必要のある人には喜ばれます。
人工関節というものがあるそうですが。
人工膝関節は、長期成績も非常に安定しているため、変形性膝関節症や、関節リウマチの手術治療に多く行われます。傷みが短期間に改善しますので、膝の悪い高齢の方でも自立した生活に早期に戻ることが可能です。この点が骨切り手術とは違うところでもあります。
人工膝関節は器械ですから劣化してくるという心配はあります。しかし前述しましたように、長期成績は優れています。(器械の寿命は15年はあります:手術後15年で、95%以上の方が問題なく過ごされています。)
人工膝関節の欠点をあげるとすれば、正座が不可能なこと、激しいスポーツができないことぐらいです。ゴルフ程度であれば十分に可能です。私どもの東山武田病院でも、多くの人工膝関節手術を行っています。
クリニカルパス、という入院中のタイムスケジュールに則って行われることが多く、治療を受けるご本人と、ご家族共々に予定や治療のすすみ具合を自覚することが可能です。
もし、人工膝関節が破損したら、心配は要りません。人工膝関節の再置換手術を行えばよいことです。ただし、人工膝関節の再置換術は、いつ、どのタイミングで行えばもっとも良い結果を出すことができるかは、主治医の先生とよく相談されることが必要です。







