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うつ病について
十条リハビリテーション病院 心療内科 うつ予防医療センター長 森下 茂
うつ病とはどんな病気ですか。
平たく言えば、理由も原因もないのにもの悲しくなるという病気です。このもの悲しくなるという症状が重要で、急に涙が出たり情けなくなったりします。これは古代ギリシャ時代から知られているもので、うつ病から「メランコリー(もの悲しい)」という言葉が生まれたくらいですから、意外とありふれた病気なんです。
うつ病になるとやる気がなくなると聞いたことがあるんですが。
実はやる気はなくなりません。むしろうつ病の人はやる気があるんです。しかし、物事を行うエネルギー、精神医学用語では精神運動といいますが、これが欠乏するのでやろうと思ってもできないという状態になります。このため、物事の取りかかりが遅くなったり、一見意欲がないように見えるだけなんです。投げやり的に何もする気が起きないというのはうつ病ではないんです。
その他、うつ病の症状はありますか。
その他の重要な症状に不眠と食欲不振があります。うつ病は心の病気と思われがちですが、体にも不調は当然あります。特に眠れないということと、食事がおいしくない、砂を噛むような味がするというようになり、これらの症状が重要になってきます。
心理的な原因でうつ病になるのでしょうか。
こんなことがあったからうつ病になったのでは、と皆さん家族の方は考えられたりするのですが、実はそのような理由や原因は関係ありませんし、必要ありません。何も困ったことがないのにもの悲しくなって、だんだん気分が沈んでいったりするというのがうつ病です。
うつ病は治るんですか。
治療すればほとんどの人がきれいに治ってしまいます。昔からの経過を見ていると、放っておいても約1年程度で元へ戻るのではないかとみられています。しかし、うつ病で一年間も苦しむというのは非常に大変なことですから、現在はお薬を飲めば2、3カ月で治るようになります。うつ病の原因として最近は科学が発達し、脳の中に神経伝達物質というホルモンに近い物質がたくさんありますが、それらのバランスが悪くなっているということまで分かってきました。それを元に戻すための抗うつ薬を飲めば治ってしまうんです。こういったお薬は安全です。皆さん「クセになってしまうのではないか」「ずっと飲み続けなくてはいけないので依存になるのでは」と心配されるのですが、そういうことはありません。安心して専門医の治療を受けていただければ治ってしまいます。







