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睡眠時無呼吸症候群について
東山武田病院 呼吸器内科部長 村山 尚子
今日は睡眠についてお話いただけるそうですが。
睡眠障害の中の睡眠時無呼吸症候群についてお話したいと思います。皆様のほとんどの方は毎晩6時間から8時間睡眠をとり、昼間は起きていろんな活動を行うという24時間周期の生活をおくっておられます。毎日健康に過ごし、昼間元気に仕事をするためには質のよい睡眠をとることが重要です。
「睡眠」についてご説明いただけますか。
睡眠には二種類あります。眠っている間に眼球が動いているレム睡眠と、そうでないノンレム睡眠です。ノンレム睡眠の役割は主に脳を休ませることで、レム睡眠では脳は動いていて夢をみたりしますが、筋肉の緊張は緩んで身体を休ませています。また、睡眠中には成長ホルモンやプロラクチンなど様々なホルモンが分泌され、睡眠は身体の疲労回復と修復に大きな役割を果たしています。
睡眠障害にはどういうものがあるのですか。
現在、日本では約5人に1人が何らかの睡眠障害に悩んでいるといわれています。睡眠障害のうちで最も多いのは、寝付きが悪いとか夜中に目が覚めるというものですが、昼間によく居眠りをしてしまうというタイプの睡眠障害もあります。十分な睡眠時間を取っていても昼間も眠たくて困っているという方は何かの病気が潜んでいて、睡眠の質が落ちている場合があります。こういった方はかかりつけの先生にご相談になり、ポリソムノグラフィの検査を受けていただくことをお勧めします。
ポリソムノグラフィはどういった検査なんでしょうか。
眠っている間の脳波や呼吸の状態、いびきの程度、血液の酸素飽和度、心電図などを記録することにより睡眠の質の検討や、異常な呼吸の有無を判断するもので、特に睡眠時呼吸障害という病気の診断に有用です。一晩がかりの検査になりますので面倒だと思われるかもしれませんが、夜入院して翌朝検査終了後に退院することもできます。京都市内でも康生会武田病院などこの検査ができる病院がございますのでご相談ください。
睡眠時呼吸障害というのはどういった病気ですか。
夜眠っている間に呼吸が不安定になったり止まったりする病気で、日本人ではおよそ1%にみられ、特に中年の働き盛りの方に多く、30歳から60歳の男性で約4%、女性では約2%おられると推定されています。中でも特に重要なのは睡眠時無呼吸症候群という病気です。
睡眠時無呼吸症候群はよく聞きますね。これについて教えてください。
喉のまわりや舌の付け根のあたりは元々狭くなっているうえにやわらかい軟部組織で出来ています。眠ってしまうと筋肉の緊張が緩んで、さらに息を吸うときに陰圧がかかり、このあたりがつぶれやすく狭くなっています。息が狭くなった喉を震わせるのがいびきです。そこで太って脂肪がついたり扁桃腺が腫れたりしてさらに喉のあたりが狭くなりますと、眠っている間大きないびきをかいたり、またいびきが止まったかと思うとすぐに喘ぐように呼吸をするなど、呼吸そのものが弱ったり止まったりしてしまうことがあります。これが一晩に何度も繰り返し起こりますと、深い睡眠が得られず、睡眠自体も何度も中断され熟睡ができません。また、息が止まることによって眠っている間の血液中の酸素濃度が下がったり交感神経が刺激されたり血圧が上がったりします。こういう状態が閉塞型睡眠時無呼吸症候群です。
睡眠時無呼吸症候群になったらどうなるんですか。
眠っていても実際は熟睡できていませんので、慢性の睡眠不足となります。朝起きた時から頭が重い、疲れやすい、集中力が低下する、さらに昼間も眠く仕事中の居眠りや、交通事故の原因になるなどが、社会的な問題になっています。また、高血圧や動脈硬化を進行させて、不整脈や狭心症、脳血管障害など起こりやすくなることもわかっています。重症の睡眠時無呼吸症候群で治療を受けておられない方の5年後の生存率は、無呼吸症候群でない方や治療を受けていない方に比べ、明らかに悪いことも報告されています。しかも30歳から49歳の働き盛りの年代で、その死亡率は3.3倍にも達するという報告まであるのです。このように、睡眠時呼吸障害は昼間の生活の質を低下させるだけではなく、長い目で見れば、心臓や脳血管疾患などの重大な結末に至る可能性もあるのです。
どうすればいいのでしょうか。
大きないびきをかいたり、昼間の眠気が気になったり、朝起きて頭が重いなどの症状のある方は、ぜひ睡眠時無呼吸の専門外来にご相談ください。ポリソムノグラフィなどの検査を行い、睡眠時呼吸障害があるかどうか、あるのならばそのタイプと重症度に合わせた治療方法を考えていく必要があります。東山武田病院でも睡眠時無呼吸の専門外来を設け、患者さまの状態に合わせて治療を行っております。
どういった治療方法があるのですか。
例えば、症状が軽くて高血圧などの合併症もなく、無呼吸の程度も軽い方ならば、体重を減らす、寝酒や睡眠薬を飲む習慣があればそれをやめるなど、まず生活習慣の改善を図ります。自覚症状が強い方や高血圧、心臓病のある方、呼吸の止まっている回数が多い方には持続気道陽圧呼吸療法(CPAP)をお勧めしています。これは世界的にも一般化されている睡眠時無呼吸症候群の治療方法で、寝るときに鼻にマスクを付けて、空気で気道に陽圧をかけることにより気道が狭くならないようにするもので、「空気の副木」とも言われています。睡眠に気をつけていただくことで、睡眠の質を高め、より健康に一日を過ごしていただきたいと思います。







