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高血圧について
十条リハビリテーション病院 院長代理 橋本 哲男
高血圧とはどういった病気なのでしょうか。
心臓は収縮と拡張を繰り返しながら、全身に血液を送る役割をしています。血液を流すときに動脈にかかる圧力が血圧と言われるものです。皆さんが血圧を測られたときに二つの数字があると思いますが、血圧の「上の方」と呼ばれるものが、実際には心臓の左心室というところが収縮して血圧を送り出すときの値で、一番高いです。ですから、「最高血圧」と言ったりします。反対に、血圧の「下の方」と呼ばれる値は、左心室が拡張して緩んでいるときの値で「最低血圧」などと言われます。高血圧とはこの最高血圧と最低血圧のどちらか一方、またはその両方が、正常の血圧130/85と比べて慢性的に高いのが高血圧というふうに言われています。
高血圧になる原因は。
約9割の方は本態性の高血圧と言われ、原因がはっきりしないものです。ただ遺伝的要因と、生活習慣という環境要因との二つが重なることによって発症すると言われています。具体的には、遺伝的要因というのは、ご両親のどちらかが高血圧にかかっておられた場合は、子供さんにも高血圧になりやすい体質が遺伝しているということです。これに環境因子が加わると高血圧が発生しやすいのです。この環境的要因というのは、塩分やアルコールの取り過ぎ、肥満、ストレス、タバコです。こういうものがあると生活習慣病が発生しやすいと言われています。
高血圧になって引き起こされる病気というのがあると思いますが。
いくつかあると思いますが、まず高血圧には自覚症状があまりないので、気づかずにそのまま生活している人が大勢おられます。強いて症状を言いますと、頭痛やめまい、耳鳴り、肩こり、動悸のようなものがあるのですが、疲れているときやストレスやかぜ、更年期障害などでも起こりますので、必ずしも高血圧に特有の症状ではありません。しかもあまり大した症状ではなく、痛みもないですのでついつい放置してしまい、動脈硬化を起こします。動脈硬化というのは高い血圧に耐えるために血管の壁が分厚くなったり、血液の流れる部分が狭くなったりとか、血管に元々ある弾力性が失われていくという血管の老化現象とも言われています。この動脈硬化によって、心臓では狭心症や心筋梗塞といった病気、脳血管では脳梗塞や脳出血という病気、もう一つは、腎臓の動脈硬化が進行すると腎不全になり、透析が必要な状態になります。腎臓が悪いとさらに血圧が上がるメカニズムがあり、悪循環に陥ります。高血圧を安易に考えて放置していると最終的には生死に関わるような状態に陥ることもあります。こういったことが昔から高血圧が「サイレントキラー」(静かなる殺人者)と呼ばれる由縁なのです。
高血圧の治療はどういったことをされるのでしょうか。
大きく分けて二つ。一つは薬物療法で、現在6種類くらいの薬があります。もう一つの大きな柱は生活習慣の修正、すなわち非薬物療法です。現在では優れた血圧の薬がありますので、容易に血圧を下げることもできるのですが、やはり薬物療法だけでは動脈硬化の進行を十分に抑えることはできません。そこで、食事や運動、飲酒、喫煙といった生活習慣は、高血圧だけでなく高脂血症や肥満が全部関係してきます。これらはすべて動脈硬化の危険因子ですから、生活習慣の見直しが非常に大事です。例えば軽い例であれば、生活習慣の改善で血圧は十分にコントロールできますし、薬を飲まなくても、あるいは本来ならたくさん飲まなければならない薬が少なくて済みます。降圧剤を減量できる場合も少なくありません。
降圧剤を服用している人は多いですが、ずっと飲み続けなくてはいけないのですか。
外来で一番よく聞く質問です。みなさん必ずといっていいほど聞かれます。これは非常に大事なことです。重症の高血圧では薬を飲み続けなくてはなりませんし、飲む量や種類も増えてきます。一方、軽症の高血圧であれば、運動や食事療法といった生活習慣の改善、少ない薬で済むことがあります。そういった場合、一年程して血圧が安定すれば、試しに薬を止めることもできるんです。もちろん生活習慣の改善は続けていただきますが、それでコントロールできれば薬を完全に止めてしまうこともできます。ですから、重症度によって止められる人と止められない人があります。ぜひみなさまにお願いしたいのは、軽症で治療できれば薬も少なくて済む場合が割と多いですから、早期に病院を受診していただければと思いますね。







