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メタボリックシンドロームについて
東山武田病院 院長 葛谷 英嗣
最近メタボリックシンドロームという言葉をよく耳にしますね。
近年私たちの生活習慣は随分変わりました。これを反映してメタボリックシンドロームが大きな健康問題となっています。我が国では中高年の男性の2人に1 人、女性の5人に1人がメタボリックシンドロームであるか、その予備軍ということです。このような現状を放置しておくと、2型糖尿病や心筋梗塞、脳梗塞の患者の増加につながり、ひいては我が国の医療費の増大につながってきます。2004年度の医療費32兆円のうち、実に3分の1が生活習慣病に費やされています。人口の高齢化にともなって医療費が高騰する中、メタボリックシンドローム対策は医療費削減のためにも、国の重要課題だと思います。
そもそもメタボリックシンドロームとは何なのでしょうか。
内臓脂肪症候群とも呼ばれていますが、内臓周辺に過剰の脂肪蓄積をきたすことにより起こる病態です。内臓脂肪蓄積により高血糖、高脂血症、高血圧などを同一人物にしばしば重複して合併し、心筋梗塞や脳梗塞、動脈硬化性疾患の発症や2型糖尿病の発症原因にもなります。内臓脂肪の過剰蓄積があって、それに高血糖、高脂血症、高血圧の2つ以上があればメタボリックシンドロームと診断されます。一つしかない場合は、予備軍になります。
内臓脂肪の蓄積があるかどうかはどうすればわかるのでしょうか。
診断のための第一歩はウエスト測定です。皆さんもご自分のウエストを測定してみてはどうかと思います。空腹時に両足を揃えて立ち、腹壁の緊張を取り、軽く息を吐いた状態で布製のメジャーを用いて、へその高さでのウエストを測定します。男性で85cm、女性で90cm以上あれば要精密検査です。腹部CT検査によって内臓脂肪の過剰蓄積の確認を行います。
メタボリックシンドロームと診断されたらどうすればよいでしょうか。
取り組むべきは生活習慣の改善です。食事療法と運動療法により、現在のウエスト周囲径ないし、体重の5%減を目標にします。内臓脂肪量を減らすことによって内臓脂肪に起因する病態(高血糖・高脂血症・高血圧)を改善ないし解消することが目的です。日本肥満学会がメタボリックシンドローム撲滅のキャンペーンとして、「サンサン運動」を展開しています。まず3kgの減量、3cmのウエスト周囲径の短縮を達成して、メタボリックシンドロームを撲滅しようというキャンペーンです。
食事療法ではどんなところに注意すればよいでしょうか。
体重を減らすためにはカロリーの制限が必要です。エネルギー含有量の多い菓子類、体脂肪に変わりやすい果糖を多く含む果物やアルコールには注意が必要です。そして食事の仕方にも配慮します。早食いにならないよう、ゆっくりした気分で食事を楽しむことが肥満解消につながるといわれています。また、不規則な食事時間、朝食抜きもよくありません。体が活動する時間である朝と昼にしっかり食べて、体が休息期に入る夕食は少なめになるようにします。毎朝体重を測定して、体重の変化をグラフにすることも大事だと思います。長期間みて体重の動きが右肩下がりになれば成功です。
運動療法はいかがですか。
食事療法と併用して運動療法も大事です。メタボリックシンドロームには特に運動療法が有効といわれています。全身の筋肉を使う有酸素運動で、体力に応じて中等度から軽度の運動を行います。中等度の運動というのは、運動中にも会話のできる程度の運動をいいます。脈拍数でいうと、年齢が30~60歳の人では1 分間に120程度、70歳くらいまでの方では1分間に100程度になるような運動が目安となります。具体的にはウォーキングやジョギングなど1回 10~30分、できれば1日に2、3回、週3~5日以上行います。なかなか忙しくてそんな時間はないと考えている方もおられるかもしれません。わざわざ運動療法のために歩くとなると大層だと思われるかもしれませんが、日常生活で工夫して歩く機会を持つことはそれほど難しいことではないように思います。最近、運動による健康増進効果を得るためには、普段の生活の中で中等度の身体活動、例えば歩行や階段の上り下りなど、細切れでも合計時間が30分程度になるとよいといわれています。じっとしていてはだめです。普段の生活での身体活動をチェックするには歩数計が便利です。最近はいろんな歩数計がありますが、一日の歩数記録だけでなく、どのような強度の歩行をいつどれだけ行ったか、運動量を計時的に記録できるような歩数計もあります。食事療法も運動療法も大切なことは、やはり長期間継続して行うことだと思います。
政府は生活習慣病対策として、2008年度よりメタボリックシンドロームを主眼にした特定健康診断と保健指導を健康保険組合に義務づけることにしています。生活習慣を見直し、健康な老後に備えたいのだと思います。平均寿命より健康寿命の延長こそ万人の願いです。東山武田病院では生活習慣病センターを開設しており、メタボリックシンドロームが心配な方や、メタボリックシンドロームと診断された方はぜひご相談ください。







