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睡眠時無呼吸症候群
東山武田病院 内科 副部長 保野 明子
睡眠時無呼吸症候群は、最近ニュースでも話題になっていますね。
そうですね。この病気はほかの病気と違い、社会的にも問題があるため、よくニュースでも話題になっていますね。現在、睡眠時無呼吸症候群の患者さんは日本で約100~200万人いると言われています。これは人口の1~2%くらいで、100人に1~2人は睡眠時無呼吸症候群ということになります。
そんなに多い病気なのですね。ではどういった病気なのでしょうか。
文字通り、寝ているときに呼吸が止まる病気です。人間は頭からの指令で呼吸していますが、この病気では、寝ているときにこの指令がうまく伝達されなかったり、伝達されていても気道が塞がっていて呼吸ができなかったりして起こります。実際には気道が塞がって呼吸ができない方の方が多いです。
なぜ寝ているときに気道が塞がるのですか。
普通、起きているときや立っているとき、座っている状態から体を横にすると、舌が下へ落ち込んで気道が詰まりやすくなったりします。それ以外にも耳鼻科の領域で、扁桃腺が大きかったり、あごが小さいことが起因していることもあります。いずれにしても、鼻や口から空気を吸ってそれが肺に届くまでの間に、空気の通りを悪くしている病気があるときには気道が塞がりやすくなります。しかし実は、一番多い原因は肥満です。太り過ぎて気道の周りにも脂肪が付いて、気道が狭くなってきているという理由が考えられています。
肥満はメタボリックシンドロームすなわち生活習慣病にもなると言われていますが。
肥満、特に内臓脂肪型肥満は生活習慣病の原因といわれています。生活習慣病は自覚症状がないので、自分では病気と思っていない人が多くおられます。しかし、睡眠時無呼吸症候群は日中の眠気や、朝起きたときの頭痛など、睡眠時間はたくさんとっているのに、熟睡した感じがしないという自覚症状があることもありますし、自分では気づかなくても家族が「いびきかいてるよ」「寝てるときに息が止まってるよ」など教えてくれたりするときもあるので、比較的早めに受診していただくことができると思います。ですが、一人暮らしの方や症状がはっきり現れない方は、発見が遅れてうつの症状が出たり、人格の変化や知能の低下といった症状が出てくることもあるんです。
家族に指摘された人や症状のある人はもちろんですが、太っている人は睡眠時無呼吸症候群を疑っていた方がよいのですか。
太った人は生活習慣病の可能性も高いのですが、睡眠時無呼吸症候群の可能性も高いので要注意です。睡眠時無呼吸症候群と生活習慣病はどちらも、今日や明日困ることはないのですが、本当にどちらも恐い病気ですし、お互いに深く関係していることがわかってきています。例えば、睡眠時無呼吸症候群があると、生活習慣病の一つである高血圧は3倍、心筋梗塞や狭心症といった心臓の病気には7倍、脳卒中は11倍もなりやすいとされているのです。ですから、睡眠時無呼吸症候群の心配のある人は必ず受診して検査を受けていただきたいのです。
睡眠時無呼吸症候群は寝ているときに起こる病気ですが、どんな検査が行われるのですか。
まずは自宅で簡単に血液中の酸素濃度を測る機械を付けて、実際に寝ているときの酸素濃度を測ります。無呼吸が起こると酸素濃度が下がりますので、その酸素濃度の下がりが本当にあるのかないのか、またある場合は一晩の内に何回起こるのかを調べます。機械は腕時計くらいの大きさなので寝ているときもそんなに気になりません。この検査で睡眠時無呼吸症候群の可能性が高いとなると、本格的な検査を行います。
本格的な検査とはどういったものですか。
寝ているときの病気なので、夜入院していただいて脳波や呼吸センサーなどの、たくさんのコードを付けて寝ていただきます。翌朝起きたときにはセンサーなどを外して検査は終了ですので、退院していただきます。この検査をポリソムノグラフィといいますが、これで睡眠時無呼吸症候群と診断されたら、重症かどうかにもよりますが治療が必要になります。
どんな治療が行われるのですか。
原因によっても変わりますが、耳鼻科的な原因の場合は耳鼻科での手術が必要です。横になったとき、舌が落ち込む場合は歯科の先生にマウスピースを作ってもらい、舌が落ち込まないようにします。しかし、肥満が原因で起こっている場合は、減量して肥満を改善することが一番大切です。
肥満はすぐに解消するには時間がかかりますね。
肥満はすぐに治る病気ではありませんが、生活習慣を改善していただいて肥満が解消するまでの間に補助的に治療するCPAP(シーパップ)療法があります。寝ている間マスクをして寝ていただき、常に空気を送ることで気道が塞がるのを防ぐという治療です。
苦しくありませんか。
睡眠時無呼吸症候群のない方がこれをすると苦しいです。でも、睡眠時無呼吸症候群の方では熟睡できて、日中の眠気や朝の頭痛などの症状が改善します。中等症以上の方では症状の改善だけにとどまらず、CPAP療法をしなければ、10年ほど経過すると10人中4人は合併症により命を落とすという報告もあります。
治療は絶対に必要なのですね。
睡眠時無呼吸症候群が心配な方は必ず病院を受診して、診断を受けることです。今日から生活習慣の見直しをして過ごしていただきたいと思います。







