※下記の文章については、ラジオ放送時の内容を一部リライトして掲載しております。ご了承ください。

温泉について
さあ、今日はどんなお話ですか。
前回、秋が深まると脳血管障害が恐いとお話ししました。だから今回は、秋が深まると多くの日本人が行きたくなるような楽しいお話をしましょうね。
先生は道後温泉で有名な松山のご出身で、趣味は温泉旅行とおっしゃってましたので、今日は温泉の話ですか。
その通りです。日本人は古くから温泉に入っていたようです。日本書紀などの古い書物にも日本人が温泉に入ったという記録があります。温泉で病気を治したり、養生したりします。健康増進する「湯治」というものがありますよね。これはずっと古くからあったものです。今でも岩盤の上で体を芯まで温めるとがんが治るということをやっている温泉地方もあります。
日本人は昔から温泉の効能を知っていたのかもしれないですね。
確かに温泉というのは、栄養と運動、それから休養の健康づくりの三要素を揃えた理想的な健康発信基地なんですね。ストレスによって元気をなくしたり、反健康時の状態、つまり前にいいました「未病」の状態を回復させたり、病気の予防や健康づくりとして活用することが出来ますね。
昔の日本人よりストレスの多い現代の日本人の方が、温泉に行くことは必要かもしれませんね。
そうかもしれませんね。温泉に入れば体の機能低下を防ぎ、抵抗力を高めて、適応能力をつけることが出来るので、老化防止にもなります。
温泉にはいろんな効能がありますが、医師の立ち場から見て温泉の効能とは効くのですか。
温泉法という法律により定められていますから、きちんとした効果が書かれていますので大丈夫です。
それぞれの場所によって効能が違いますよね。
そうですね。中でも単純泉というのが最も多いようです。これはストレス解消に役立ちます。ぬるめのお湯にゆっくり入って体をほぐして頂くとよいですね。それから食塩泉というのは冷え性に効きます。単純泉と食塩泉はどちらも肩こりとか腰痛、神経痛さらに体を温める効果が大きく、血液の循環もよくしますね。また筋肉の緊張も柔らげます。
高齢者に喜ばれるのもわかりますよね。体を温めて血液の循環をよくして、筋肉柔らげるということなんですね。
はい。それから単純炭酸泉は動脈硬化に効果があるといわれています。入ると炭酸ガスが泡になって、肌に毛穴のところにくっつきます。末梢血管を拡張させて血液の循環が良くなるんですね。他には石膏泉というのは鎮痛効果、不眠症にもよいといわれています。
鎮痛効果とは痛みを和らげてくれる効果ですね。
そうです。他にも鉄分の入った鉄泉というのでは、鉄が皮膚から吸収されることから貧血に効果があるといわれています。鉄分不足の女性って特に多いですからね。近くまで行ったら臭いのする硫黄泉や二酸化炭素泉などは、高血圧や動脈硬化などによいといわれています。
歳とればとるほど温泉に行きたくなるというのは、やはり体の要求なのかもしれないですね。
そうですね。でも最近は若い人にも美容にいいと大人気でしょ。胃腸病や皮膚病にもいいとか。最近ではラジウム泉などは万遍に効くといわれています。
温泉というのは日本人の知恵、宝ですからもっと利用した方が健康的にもいいということですね。
温泉やお風呂は健康にいい反面、注意も必要なんですね。
入浴時の注意ですか。
はい。入浴中というのはたくさん汗をかきます。また、温泉に入って体が温まると、その後睡眠中にたくさんの汗をかきますね。体から大量の水分が失われると血液が粘稠になってきます。入浴中に心筋梗塞や脳梗塞を起こしやすくなるのもこのためなんですね。入浴の前後には水分の補給を欠かさないようにして下さい。さらに温泉ではお酒を飲む機会が多いのでね、アルコールによる脱水症状が加わります。温泉では特に寝る前の水分補給を忘れないようにしなければなりません。
水分を補給することで深夜や早朝の脳の危険予防につながるということですね。他に注意することありますか。
温泉に入る時間帯や回数に気をつけてほしいですね。温泉の刺激により、食後は胃に血液が行かずに消化が良くありません。食事の前後、30分から1時間ぐらいは空けて下さい。また、お酒の飲んだ後の入浴というのは、アルコール類は血液循環がよくなり、血圧などの変化に対応する能力が低くなるので思わぬ事故につながることがあります。2時間ぐらいおいた方がいいと思います。
入浴の回数とは何回も入った方がいいというわけではないんですか。
健康な人で保養や休養の場合は1日2、3回が目安です。体の弱い方だったら1日2回ぐらいにして下さい。回数がむやみに多いと食欲不審やめまいや不眠、いわゆる湯あたりという状態になりますから、かえって逆効果になります。湯あたりだと思ったらすぐに中止して下さい。
私は朝風呂が好きですが、朝は大丈夫ですか。
朝風呂はゆっくりと入ると非常よいと思います。朝は体の活動力を高めるためには、体を温めることが一番なんですよね。ですから体が冷えていると頭が回らない。体を温めるのに必要なのがお風呂、シャワーでも構いません。しかしあまり熱いお風呂に入ると血圧が急に上昇しましたり、血管に大きな負担がかかってしまいます。脳梗塞や心筋梗塞を引き起こす危険性があります。お風呂場の保温についても大切ですね。
今日は温泉の話だったのですが、最後に一言お願いします。
温泉は理想的な健康の発信基地です。いろいろ行って頂いたらいいと思いますけど、必ず水分の補給だけは忘れないようにして下さい。







