※下記の文章については、ラジオ放送時の内容を一部リライトして掲載しております。ご了承ください。

食中毒について
今日はどんなお話ですか。
祇園祭が行われる7月といえば、怖い食中毒のシーズンがやってきます。京都の祇園祭は、昔疫病が流行ったということから疫病を退散させるために祈願するお祭りです。869年が起源だそうですが、この時神泉苑に66本の鉾を立てて、お神輿を神泉苑に送って厄除けを行ったというのが祇園祭の始まりだと言われています。この季節は温度も湿度も高くなって病原菌が繁殖しやすい条件が揃いやすいため、食中毒が起こりやすいということなんです。
この時期の食中毒の特徴ってあるんですか。
冬の大流行はノロウイルスですが、今は感染性の胃腸炎が多く、夏に流行するものは細菌によるものが主です。
この細菌性の食中毒というのはどういうことで起こるんですか。
食中毒というと、有害、有毒な物質を食べたり飲んだりすることで起こりますね。一般的な急性胃腸炎の症状としては、お腹が痛くなる、下痢、嘔吐です。他にもふぐ毒やきのこの毒など、自然物質によるものや、ヒ素などのシアン化物など化学物質によるものも食中毒に入ります。
同じ食中毒といってもいろいろと種類があるんですね。
そうですね。食中毒には、微生物そのものが体内に入って起こす感染型と、微生物の毒素によって起こる毒素型と大きく2つに分けることができます。腸管出血性大腸炎は一時「O-157」と呼ばれて話題になりましたね。細菌の潜伏時間はいろいろですけど、大体3~8日ぐらいと幅があります。症状は、痢や腹痛のほかに、血便があります。これは少量でも感染します。「O-157」でも話題になりましたが、毒力の強いベロ毒素が作り出されて溶血性尿毒症症候群を起こします。しかし、これらは熱に弱いんです。
他にもいろんな食中毒あるんですか。
たくさんありますよ。サルモネラ菌の食中毒は、汚れた水の中や家畜、ペット、野生動物などに菌がいますが、熱には弱いので加熱で防げます。
サルモネラ菌の食中毒も他の物と同じ様な症状ですか。
ほとんど同じですね。下痢と腹痛と嘔吐、少し熱も出ますね。これは潜伏期間が少し長く、6~48時間とものすごく幅があります。
症状が早く出るものはありますか。
黄色ブドウ球菌ですね。黄色ブドウ球菌は毒素型のもので、これは重症化して死に至ることもあります。この菌は、成人の腸の中や喉、鼻の中、皮膚などにも存在しています。食品の中で増えるときに毒素を作り出すのですが、この菌は熱に強いんです。ですから普通の加熱では破壊されません。潜伏期間も早ければ1~5時間ぐらいです。他にも、ふぐ毒の症状は、体がしびれてきて、呼吸困難になって死に至ります。きのこの食中毒は最もきついと言われています。下痢、嘔吐、呼吸困難が症状として出るのですが、けいれんやマヒも起こります。
食中毒の治療法を教えて下さい。
細菌が限定されている場合は抗生物質を使うのですが、根本的には脱水にならないよう補液を使います。普通の水でも構わないのですが、脱水のときは少し塩分を含んでいる方がいいです。とにかく水分補給が大事ですね。
まず予防をすることが大切だと思うんですが、どうしたらいいでしょう。
一般に動植物による食中毒以外の予防は、食前、調理中の手洗いが大事です。石鹸でしっかり洗うといいですね。それから調理器具や食器の洗浄も大事です。
食品そのものを扱う注意も出てきますね。
そうですね。食品を購入するときは必ず新鮮なものを買うことです。保存するときは、家に持ち帰ったらすぐに冷蔵庫に入れることです。ただし、冷蔵庫に入れておけば安心だとは思わないで下さい。冷蔵庫の中でも菌が繁殖することがありますので、あまり過信はしないで下さいね。そしてなるべく早く調理して下さい。調理には必ず手を洗うこと、そしてきれいな調理器具を使うことです。十分に加熱することによって大体の菌は死滅します。目安は75度以上で1分以上の加熱です。できあがった食品は、室温で長く置かないように、また残った食品はきれいな器具、容器で保存して、食べるときにはもう一度加熱しましょう。お肉は中心部を加熱すること、野菜は良く洗うことです。そして何よりも大切なのは、体力をつけておくことですね。
先生、もう一度予防方法を教えていただけますか。
食中毒の予防には3つの原則があると言われています。菌をつけない、増やさない、死滅させることです。そのためにはやはり調理や食事の前は手洗いをする、それから冷蔵や冷凍が必要な食品はすぐにそこへ入れる、そして加熱して調理する食品は十分に加熱することです。下痢や嘔吐でおかしいなと思ったら、すぐにお医者さんにかかって下さい。医師のほうはすぐに疑いがあれば保健所に届けることになっています。
先生、最後に一言まとめていただけますか。
やはり予防の3原則「菌をつけない、増やさない、死滅させる」を守っていただいたらと思います。







