※下記の文章については、ラジオ放送時の内容を一部リライトして掲載しております。ご了承ください。

肺マック症について
今日はどんなお話ですか。
あまり聞きなれない言葉かもしれませんが、肺マック症についてお話します。
「肺」が付くということは呼吸器の病気ですか。
そうです。最近お年寄りとか若者に結核が急増していまして、特に、大学に入学して最初の健康診断でひっかかる若者や、老人健診で初めてわかる高齢者の事例が非常に多くなってきています。また、ヘビースモーカーの方が定年を迎えるころになると、肺気腫にかかる方が多く、大体半分ぐらいが肺がんになると言われています。このように最近は非常に呼吸器疾患が多くなってきました。その中で肺結核と間違われやすいものに、肺マック症というものがあります。
この肺マック症は結核ではないんですね。どんな病気なんですか。
健康診断で使用するレントゲンで胸の写真を撮ると、結核とほとんど見分けが付かないような画像が出て、さらに検査をしたところ、結核ではなかったというのがよくあります。結核の疑いがある場合は隔離されてしまいますが、肺マック症の場合は隔離するような病気ではありません。風邪のような咳や痰などが何カ月も止まらないという方や、あまりに咳き込むと胸が痛くなったり、咳が続くと胃も痛くなるという方は、病院でCTやMRIなど最新の画像診断の機械で検査を受けた方がいいと思います。例えば、肺に3cmぐらいの空洞が写った場合、これは画像だけでは結核だと区別できません。痰に含まれる細菌の遺伝子を調べてみて、結核ではないと判断される場合がよくあります。こういうケースが増えてきているのですが、この肺マック症は、結核菌の仲間の非結核性抗酸菌が原因で起こる慢性の呼吸器疾患です。
肺マックの「MAC」とはどういう意味なんですか。
これは、アビウムとイントラセルラーレという細菌種の頭文字を取って呼ばれているようですね。肺マック症の菌は、全体の8割ぐらいを占めているといわれていますね。
どういう風にして感染するんですか。
結核菌と一番違うのは、自然界、いわゆる水や土など、自然の環境の中で生息している抗酸菌が肺に感染して起こることです。とはいえ、結核菌も抗酸菌なんです。両方とも肺に住み着きます。このために両者の区別が非常に難しく、いわゆる初期のレントゲンでは同じような影が映ります。違う点は、結核菌は人から人へと感染しますが、肺マック菌は人から人へは感染しません。以前は結核と間違えられやすかった病気ですが、最近ははっきりと区別できるようになってきました。
患者さんの数は増えているのですか。
年間6000人ぐらいの新患が生まれていると推定されています。近年、人間ドックのCT検査などで自覚症状が出ない段階で見つけることができるようになりました。最近の10年間では、患者さんの数が倍増してきていると言われています。それも大半が女性だということです。中高年に目立っているということですが、これが何故なのかはわかっていません。
肺結核と似たような症状や特徴があるんですか。
あります。二つのタイプがあり、結核の類似型と小結節性の気管支拡張症というのがあります。大体40歳を越したくらいから出てきて、どちらかといえば痩せ型の方に出てきます。小結節性の気管支拡張症は、気管支炎ですから長く咳が続き、痰もたくさん出ます。
先ほど確かな原因はわからないとおっしゃいましたが、ある程度分かっているのはどの程度ですか。
この細菌は、プールや噴水などの水まわり、土の中、動物のふんなど、身近な環境に生息しています。しかし、あまり強い病原菌ではないので、水やほこりに混じって体内に入ると発症するとみられてはいますが、発症しない人もいます。
要は免疫力、抵抗力を持っていればかからないんですか。
そうですね。だから40歳以上で痩せ型だと抵抗力があまりないので要注意なんですね。抵抗力をつけるためには、野菜だけでなく、動物性のものも食べないといけませんね。また、感染しても5年から10年経って症状が現れることもあります。だから、菌が検出されても無症状のこともありますし、自然治癒の場合もあるようです。気管支拡張症や慢性気管支炎という診断がついている方の中にこのタイプの方がいると見られておりますね。
治療法を教えて下さい。
治療法は、2、3種類組み合わせた抗菌剤を用います。代表的なのは、クラリス、リファピンシン、エンタプトールの3種類を、約3ヶ月痰が出なくなるまで飲み続けるのが一般的な治療法です。さらに1年間ぐらいは検査はしておかないといけませんね。
結構長い間お薬を飲みますが、特に副作用は心配しなくても大丈夫ですか。
胃の弱い方だと続けて飲むと胃の調子が悪くなることがあります。
ちゃんと内服を続けると完治するんですか。
それがわからないんです。また数年後に菌が出ることも少なくないんですね。だから無症状であっても、こういう感染があった方は定期的に検査を受ける必要があると思います。
予防法なんですが。
シャワーヘッドや浴室などに菌が増加しやすいので、特に清潔にしておくことです。なんといっても弱い菌ですから、自分自身に体力をつけておくことが一番でしょうね。
まず風邪のような症状が出て、咳や痰が絡んできて長引くようであれば肺マック症だと疑えばいいですか。
そうですね。結核や本当の風邪の菌だと熱も出ますし、熱がなくても痰や咳が出る場合は、検査をしたほうがいいでしょう。
先生、最後にもう一言まとめていただけますか。
咳が長くようであれば、胸のCTやMRIなど検査を受けることをお勧めします。







