※下記の文章については、ラジオ放送時の内容を一部リライトして掲載しております。ご了承ください。

認知症について
今日はどんなお話ですか。
今日は認知症についてお話します。近年高齢化社会が進んで、ほとんどの方が気になっていますし、最近は若者にも出てきています。
高齢者の認知症の割合はどのくらいなんでしょうか。
今わかっているのは大体60歳以上の方で10人に1人、85歳以上になると4人に1人という割合になるだろうと言われています。
認知症の人の数は出ているんですか。
2005年の時点で患者数は250万人と発表されていますが、今から2035年ぐらいまでに445万人ぐらいになるだろうと推定されています。
これは団塊の世代の方たちが高齢化を迎えるからですか。
そうですね。
増えないためにはどうすればいいのでしょう。
早期発見や的確な診断が大切です。他の病気でも言えますが、生活習慣病の予防が認知症の予防につながります。
認知症はどんな症状から始まりますか。
初期症状として、記憶、見当識、判断力などの認知機能が低下してきます。そしてそれが社会生活に支障を来たすようになったとき、認知症だといわれています。また、認知機能だけではなくて生活機能を見てもわかるんです。
認知症は一つの病気だと思っていいんですか。
一般的によく聞くのは、アルツハイマーですね。これは「健忘」が主な症状なので、これに早く気が付くことが大切です。他にも、同じことを何度も何度も聞き返すとか、質問したことを忘れてしまうなどの症状もあります。でも、自分ですぐに気付けばこれは年齢層の記憶障害ですので、認知症ではありません。日常生活に支障を来たさない程度の症状は、年齢とともにくる物忘れなんです。一方認知症は、体験の全部を忘れてしまうことから、日常生活に支障を来たすという違いがあります。
他にもアルツハイマーの特徴はありますか。
例えば「お年は?」って聞いたとき、自信がないように答えて誰か付いている人に振り返って確認を求める「振り向き」徴候が出ることが特徴ですね。他にも、家族が困っていても本人は困っていないと話したり、何も分からないというのも診断に役立ちます。
認知症を見つけるコツは、症状をちゃんと見なくてはいけないということですか。
そうですね。笑顔でいろんな作り話をしたり、その場の状況にうまく合わせていくのがアルツハイマーの人の特徴ですが、大体勘が働いてわかることが多いです。少しお話するだけでも、そうではないかと疑う症状は大体わかりますね。
認知症は潜伏期があるんですか。
そうですね。これはとっても長い潜伏期間があります。アルツハイマーの発症は、発症する20年以上前に大脳皮質の連合野に老人班というのが現れるんです。βタンパクの蓄積異常が原因なのですが、10年ぐらいかけて脳全体にだんだん広がっていきます。無症状で進行するので分かりません。そしてβアミロイドが刺激となって神経原繊維変化が出てきますし、さらに10年ぐらいかけて大脳皮質全体に広がり、認知機能が落ちてくるのです。だから長い経過なんですね。最近は、脳のアミロイド沈着の画像が無症状でも診断できる時代になってきました。
40歳代で検査をした段階で、すでに出てる人もいるということですか。
老人班ぐらいは見つかる人もいますね。
私は、「アルツハイマー=認知症」と思っていたんですが、いろんな種類がある中のひとつがアルツハイマーなんですね。他にもあるんですか。
他には、レビー小体型認知症というのがありますね。これは、いないはずの小動物が見えるなどの幻視が特徴で、「たぬきが覗いている」と言われる方が非常に多いですね。他にも、花瓶が子どもに見えて抱きつくだとか、そういう特徴があります。ですから、こける、失神する、座っていると自然にどちらかに体が傾いていくなどの症状のうち、二つぐらい該当すればレビー小体型認知症だということになります。他には、前頭側頭型認知症もあります。これは、自分の好きなように辺りを徘徊したり、少しも我慢ができず、落ち着きがない症状が出ます。そして、動き始めると一定のルートをぐるぐる回ったり、手のひらに触れるものを強く握って離さない(把握現象)というのがこの病気の特徴ですね。そのほかにも、脳の血管性認知症というのがあります。血管の動脈硬化や脳梗塞、血栓、脳出血などによって起こるものがあります。情緒不安定になり、急に泣いたり笑ったりするんです。これはいずれも脳細胞の壊死によるものなんです。
治療について教えて下さい。
認知症は、アミロイド沈着などが原因なので、この過程を標的とした治療法、つまり抗アミロイド療法というのが今盛んに行われています。治療薬は、塩酸ドネペジル(アリセプト)というのがあります。物忘れのひどい人には、ガランタミン(レミニール)を処方しますね。また、食生活も大切なので、動物性の脂肪摂取をなるべく減らすほうがいいです。そしてEPAやDHAが多いお魚を食べることや、ビタミンC、E、βカロチンなどの抗酸化物質をたくさん含んでいるお野菜や果物を積極的に摂ることによって、かなりよくなります。また、適度の運動も大切です。
重要なことをたくさんお話いただいたんですが、もう一言だけお願いします。
認知症で家族がちょっとおかしいと思ったら、すぐ検査を受けてもらうことが大切です。日ごろから食生活や生活習慣病にも気をつけてください。







