※医師やスタッフの肩書き/氏名は放送時点でのものであり、現在は変わっている可能性があります。

クリティカルパス
康生会武田病院 3階A病棟 看護師長 立木三千代
三階A病棟とはどのような病棟なんですか
主には消化器内科と総合内科、糖尿病内科、呼吸器内科といった内科病棟です。あと眼科の患者様もいらっしゃいます。一番大きな病棟でベッド数は60床あります。消化器内科の患者様が半数以上を占めているんですが、それ以外にもいろいろな病気の患者様がいらっしゃいますね。
立木さんはどのようなお仕事をされているんですか
師長ですので管理業務、つまり患者様全般的なこととスタッフの指導が主になってきますが、救急病院ですので60床のベッド管理も担当しています。救急の患者様は容赦なく搬送されてきますので、ある程度患者様の退院予定の見通しを立てておく必要があります。
見通しは立つものなんですか
武田病院では平成13年からクリティカルパスというものを作って活用していまして、患者様の標準的な経過がわかるので、ある程度退院の予定も立つようになっています。
その「クリティカルパス」とはどういったものですか
もともとは産業現場の工程管理を効率よく行なうための手法だったものを、医療界に持ってきたもので、患者様の予定を時間軸に沿ってまとめた治療計画書であり、患者様にとっては入院中のスケジュールが一覧でわかるものになっています。旅行の時に代理店からもらえる予定表のようなもので、手術等によって食事を変更する場合はこういった食事になりますよ、というのも書かれていますし、点滴や注射の予定も書かれています。入院に関するすべての情報が載っている、と考えていただいていいかと思います。
それは入院すると誰でももらえるんですか
すべての患者様ではないんですが、標準的な経過をたどるであろう患者様にはお渡ししています。科によって、疾患によって、あったりなかったりするんですが、現在武田病院では77種類のパスを用意していまして、ホームページでそのうち23種類を掲載してどなたでも見ていただけるようになっています。よく聞かれる大腸ポリープや心臓カテーテル検査などについてもホームページ上に掲載しています。私どもの病棟では、内視鏡的胃粘膜切除術といって、早期の胃がんや腫瘍を取るような、胃カメラでするような手術もありますし、あとは糖尿病患者様の教育入院の予定や、眼科もありますので白内障の手術なんかもあります。
例えば一つ例にとって、どういうメニューがあるのか教えていただけますか
眼科の白内障でしたら、土曜日に入院していただいて月曜日に手術、木曜日に退院となるんですが、手術前に注していただかないといけない目薬についてだとか、手術の時間は何時からですよ、とか、その日のご飯は食べられませんよ、とかと言ったことも載せられていますし、手術後は診察があって、その後また一日点眼を3回する必要がある、といったことも書かれています。このクリティカルパスにはいろんな職種の者が関わっていますので、例えば薬剤師が点眼の指導をして、看護の面では目をこすらないでください、ということもあります。患者様自身が注意点なども事前に知ることができるようになっています。
入院するとなったとき、そういった病院が公開している情報を見ることによって参考にできるんですね
患者様にとってはどの病院を選ぼうかと比べることもできますし、どれくらいの入院期間が必要で退院日がいつ頃になるかということで、退院後の予定も立てていけるというメリットもあります。
では、働く側のメリットとしてはどういうことがあるんでしょうか
今まではすべて医師の指示待ちで、医師が頂点にいる三角(ピラミッド型)の関係だったのが、クリティカルパスに取り組むようになってから医療が患者様中心の丸の関係になったんじゃないかなと思います。当病棟では平成13年に消化器内科のワーキンググループを設立していているんですが、それまで栄養士さんや薬剤師さんとの交流があまりなかったのが、この取り組みを通じてコミュニケーションをとるようになり、チーム医療として強くなっているのを実感しています。栄養士さん薬剤師さんも、医師の指示がなくても栄養指導、服薬指導を行うことができますし、24時間患者様に接していて一番情報をたくさん持っている私たち看護師が、他のコメディカルの方にその情報を提供していかなければならない重要な役割を持っていると思っています。
丸の関係になって、全体としての医療がよくなったという実感はありますか
そうですね、やはりいろんなスタッフが意見を言えるようになったんじゃないかな、とすごく思います。患者様としても、事前に予定表を渡されていれば、例えば出るはずの食事と違うものを出されたときにも言いやすいかと思いますし、リスクマネージメントとしての役割も持っていると言えます。
問題点、これからの改善点はありますか
まだまだパス自体にも問題はありますが、今はまだ日常業務の中でパス作成のための時間が十分に取れない状況です。クリティカルパス大会というのがあって、新しいパスを作ったり改善したりして、第三者が見てもわかるように、ということで発表なども行なっていて、最終的にはほとんどの入院に関してのパスができればいいんですが、過去の症例の調査研究を元に作っていくものなので、時間がもっと取れれればいいのにな、と思っています。
今、立木さんご自身はどういうものをご研究されているのでしょうか
お年寄りの患者様でなかなか上手くものを食べることができない方のために、胃の中にチューブを入れて胃ろうというものを作るんですが、そのパスが平成13年に作ったものをまだ使っていて、たくさん指摘が来ているので、その改善に取り組んでいるところです。







