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新着情報

お知らせ 2014/06/12

第14回「病診連携消化器クリニカルカンファレンス」が開催されました

■第14回「病診連携消化器クリニカルカンファレンス」
 難病指定の炎症性腸疾患など消化管最新情報
 開業医の先生方とともに研修

07会場の様子.jpgのサムネイル画像市内の開業医の先生方と連携を深めるとともに、最新の消化器系等の難病医療情報を共有する第14回「病診連携消化器クリニカルカンファレンス」(康生会武田病院、下京西部医師会、アストラゼネカ株式会社、第一三共株式会社共催)が5月31日、京都市下京区のリーガロイヤルホテル京都で開かれました。

 

 

 

 


02外科永井利博顧問.jpg
01山下医院山下琢院長.jpgのサムネイル画像京都市内の開業医の先生方など40人が出席。開会に際して下京西部医師会の山下琢会長(山下医院院長)が、「消化管疾患は増悪すると生命に関わることが多い病気です。特に今日の大きなテーマである炎症性腸疾患は増加傾向にある難病で、開業医にとっても最新情報を得られるまたとない機会ですので、明日からの診療に生かしたいと思います」と挨拶。次いで、康生会武田病院に今春、着任した外科の永井利博顧問が紹介されました。

(左:山下医院 山下琢院長  右:武田病院 外科 永井利博顧問)



03消化器センター碓井文隆医員.jpg第1部は『稀な上部消化管出血症例』と題して、消化器センターの碓井文隆医員が上部消化管に多発する毛細血管拡張からの出血で貧血を来たしたOsler-Weber-Rendu 病の2症例につき発表しました。内視鏡検査時点での毛細血管拡張からの活動性出血に対してはAPC(Argon Plasma Coagulation)による止血が有効で、その後の再出血防止にはPPIの内服を継続することが有効であったことを報告しました。
(武田病院 消化器センター 碓井 文隆 医員)



04消化器センター平田育大医長.jpg続いて、平田育大・消化器センター医長から、「苦痛の少ない大腸検査の提供~CT colonography~」のテーマで考察がありました。平田医長は冒頭、大腸癌の罹患率死亡率が高いのに健診の受診率が低く、一方で大腸癌は早期発見により良好な治療成績であることを指摘したうえで、2012年5月から武田病院に導入されたCTC(大腸CT)検査の意義を説明しました。

平田医長は、CTCの施行方法や症例画像を示しながら、「CTCは必ずしも完全な腸管洗浄を必要としないこと、安全な圧制制御の炭酸ガスによる腸管拡張のため腹痛はほとんど起こらず腹満感も検査後すみやかに消失すること、得られた画像データから様々な情報が得られること、などの長所があります」と解説しました。苦痛の少ない大腸CTが、これまで大腸検査をためらってきた方々の役に立てればと結びました。


(武田病院 消化器センター 平田 育大 医長)



05放射線科浜中恭代.jpg3題目として放射線科の浜中恭代副部長が「腹部腫瘤のFDG‐PET/CT画像」と題して発表。FDG‐PET/CTは保険適用疾患、適用要件が限定されている事を述べ、依頼に必要な要件について説明しました。開業医の先生方の元へ悪性腫瘍を疑う患者様が来られた場合、必要な検査を施行された上で保険病名をつけてご依頼ください、と訴えました。
(武田病院 放射線科 浜中 恭代 福部長)






06府立医大消化器内科学髙木智久准教授.jpg特別講演では、京都府立医科大学大学院消化器内科学の髙木智久准教授が、「変貌する炎症性腸疾患の治療戦略」と題し、難病に指定されている炎症性腸疾患やクローン病に関して、最新の治療戦略などについて解説。冒頭、今年5月21日に成立した「難病医療法案」について、対象疾患が現行の56疾患(約78万人)から約300疾患(約150万人)に拡大され、今後、医療費の自己負担が3割から2割に引き下げられ、指定医制度が導入されることを報告しました。


髙木先生は、潰瘍性大腸炎とクローン病の病変形成について、「潰瘍性大腸炎は大腸粘膜を横方向に拡がり、クローン病の病変は粘膜の深部(縦)方向に拡がる」ことに特徴づけられると解説しました。潰瘍性大腸炎は10万人あたり80人と罹患率が高く、かかりつけ医でも診療現場で遭遇するケースが多くなった点を訴えるとともに、潰瘍性大腸炎の治療の基本が5-ASA製剤であることを解説されました。また、クローン病では生物学的製剤の登場によって治療計画が立てやすくなったことを解説されました。結びに、「薬剤の開発にともない、この10年間で患者のQOLが維持できるような治療戦略が確実に進歩してきました」と指摘しました。

(京都府立医科大学大学院 消化器内科学 髙木 智久 准教授)



質疑応答に移り、会場の開業医の先生方から、ステロイドによる感染や生物学的製剤の使用法など次々、質問が寄せられ、髙木先生は1問ずつ丁寧に応えていました。