診療方針
神経内科の病気―脳や神経に関する病気―は、ともすれば難病で治らないものと従来考えられてきましたが、最近の著しい医療技術や治療薬の進歩によって治る病気や症状が軽くなる病気が増えてきています。
このような中、神経内科では治す医療、癒す医療を基本にして以下の方針・規範で診療・治療にあたっています。
1.迅速な確定診断
診察により神経学的症状を的確に把握する。それにより必要な検査を患者の負担の少ないものから手早く行い、できるだけ早く診断を確定し治療につなげる。
2.可能な限り治す医療を行う
上記の確定診断に基づいて、治すための治療戦略を立て、必要な治療を手際よく行ってゆく。なお、その場合、治療によって得られる結果が、医療行為や薬による副作用の可能性よりも、はるかに患者の益することになることを充分理解してもらったうえで、治療を開始する(インフォームドコンセント)。
3.患者の心身にわたる苦しみを理解し、心のケアに努める
症状、診断、治療に対する説明を患者や家族がわかる言葉で納得してもらうまで繰り返して行う(インフォームドコンセント)。
体の病が心の病をも同時にひきおこすことがよくあることから、常に病気の治療にあわせて心のケアを行う視点をもつ。
診療体制
- 秋口 一郎
- 所長
- 八木 秀雄
- 副院長
- 川崎 照晃
- 部長
- 渡邉 裕子
- 医長
京都壬生苑診療所 所長 - 白樫 義知
- 医長
- 仲嶋 勝喜
- 専攻医
- 近藤 誉之
- 神経免疫センター 所長
スタッフ
当センターでは常勤医師5名に非常勤医師1名の合計6名(うち常勤医5名の中の4名は日本神経学会認定神経内科専門医)で、日本神経学会認定教育施設として神経内科全般の診療、治療にあたっています。
専門性
常勤医および非常勤医の合計6名のスタッフによって、脳血管障害、パーキンソン病などの変性疾患、脱髄疾患などの自己免疫疾患、脳炎などの感染症など神経内科特有の疾患全部を扱っております。
救急医療および特殊検査
神経内科の救急医療としては、超急性期の脳梗塞に対して適応(3時間以内など)があれば、ただちに血栓溶解剤のt-PAの点滴投与を行っています。その中でも特に重篤な脳梗塞に対しては、ただちに脳血管撮影を行い、内頚動脈や主幹脳動脈に閉塞があればそれに対して超選択的動脈内血栓溶解療法を行っています。神経内科独自の検査としては、筋電図、誘発筋電図、筋・神経生検、f-MRIやMRSなどがあり、これらの諸検査はすべて当院で施行しています。最近では、f-MRIやMRSの新しい画像診断法を用いてさまざまな神経疾患の病態解明に力をそそいでいます。
病棟回診や不在時の支援体制など
患者に対する病棟回診は1日1回以上(できる限り朝・夕の2回)を原則とし、所長回診と部長回診を定期的に行っています。主治医の休み・不在時には神経内科の他の常勤医が必ず代診を行っています。
診療実績
外来患者数は約1,200人/月、入院患者数は約400人/年で、主な検査の年間の数は頭部CT約800件、頭部・頚部・腰部MRIやMRA約1,200件、脳波約350件、筋電図約300件、MRS約60件などとなっています。また、認知機能を調べる物忘れドック(ブレインチェック)や認知症外来(紹介予約)も行っております。
診療内容の評価
当院の救急病院としての性格上、扱う疾患としては脳血管障害がもっとも多く、次いでめまい症、パーキンソン病、てんかん、脳炎・髄膜炎となっています。その他、末梢神経障害(ギランバレー症候群、CIDPなど)、多発性硬化症、脊髄小脳変性症、筋萎縮性側索硬化症、重症筋無力症などの変性疾患、自己免疫疾患を扱っています。
また、f-MRI(機能的MRI)やMRS(MRスペクトロスコピー)などの新しい画像診断法を用いて、神経疾患のより深い病態の解明に取り組み、その結果を診断・治療に結び付けていっています。
治すための最新治療としては、超急性期の脳梗塞に対し、適応のある場合には血栓溶解剤t-PAの点滴靜注、時には選択的動脈内血栓溶解法を施行しています。t-PAの点滴靜注による閉塞血管の再開通率は当院では約35%です。また、選択的動脈内血栓溶解法の場合、再開通率は60~70%に達しています。t-PAの点滴靜注にせよ、選択的動脈内血栓溶解術にせよ、閉塞血管が再開通した場合にはほぼ後遺症もなく退院されています。
また、最近増えている血管性認知症(痴呆疾患)としてのビンスワンガー病では、その病態解明に力を注ぐとともに、抗凝固療法を積極的に施行し30~40%の割合で症状の改善を見ています。また、治療可能な認知症としての正常圧水頭症については、その診断、病態解明、および治療についても力をいれて取り組んでいます。
ギランバレー症候群、脱髄性神経疾患、重症筋無力症などの自己免疫疾患については、ガンマグロブリンの大量療法を行い、必要に応じ透析センターと協力し、血漿交換を施行し病気の早期の回復をはかっています。
パスについては脳梗塞(軽症、重症、地域連携)、正常圧水頭症、脳血管撮影、神経・筋生検、CIDPのガンマグロブリン点滴療法について施行しています。
院内カンファレンスについては神経内科カンファレンスを1回/週行い、そこで入院患者の症状の評価や治療方針などを集団的に検討しています。また、脳外科および放射線科との合同症例検討会は1回/週、リハビリスタッフとのリハビリカンファレンスは1回/2週行っています。
臨床研究および治験
治験;神経内科の疾患に関して少しでも治療につながる可能性にある治験については積極的に受け入れております。現在、2件の治験を施行しています。
臨床研究;臨床(診断・治療)とともに疾病の解明の研究として以下の課題に取り組んでいます。
- 脳梗塞超急性期の治療と予後に関する研究
- ビンスワンガー病と治療に関する研究
- 正常圧水頭症の病態解明と治療に関する研究
- f-MRIおよびMRSを用いた神経疾患の病態解明に関する研究
教育計画
自分自身の成長をはかるため、基本となる神経学会および関連学会(神経病理学会、脳卒中学会など)への参加や発表を積極的に行っています。今後も、引き続き継続してゆきます。
臨床研修
神経内科研修医や臨床経験年数の短い医師に対して、神経内科医として到達すべき目標を明らかにして、達成課題のチェックを定期的に行い、必要な助言・指導を行います。
将来計画
治す医療を基本に、治すために必要な医療技術や治療薬を積極的に取り入れていきます。これまでの超急性期の脳梗塞やビンスワンガー病、正常圧水頭症に対する治療はもちろん、変性疾患に対する治療も新しく展開していきます。
また、いまだ治療法の確立していない神経内科疾患に対して、MRS、PET、VBMなどの新しい画像検査を用い、その病態解明に大きな力を注ぎます。更には、他の病院の神経内科グループと協力・共同して新しい薬や治療法に関する研究・治験を行い、神経内科疾患に対して有効な薬や治療法を見つけてゆくことにも力を注いでゆきます。









