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レポート

2014/02/07

第18回京都新聞健康生活講座を開催しました

■第18回京都新聞健康生活講座
 高齢者の運動器障害の治療と予防法
 骨の研究者として森田陸司院長が解説


report_s140207_2.jpg骨粗しょう症など骨の研究者として知られる医仁会武田総合病院の森田陸司院長(日本骨粗しょう症財団監事、 京滋骨を守る会理事長)が、2月1日、京都市中京区の京都新聞文化ホールで開かれた第18回京都新聞健康生活講座「高齢者が気をつけたい運動器のはなし」 (京都新聞主催)に招かれ、ロコモティブシンドローム(運動器症候群)と骨粗しょう症の治療と予防について、わかりやすく解説しました。


会場には膝や腰の病気などに悩む高齢者や家族など300人が出席、森田院長は最初にパネリストを代表し、ロコモティブシンドロームについて解説。「運動器の ことをロコモティブ・オーガンと言います。ロコモには機関車の意味もあり、健康の牽引車と考えていいかもしれません。運動器は体を支え、形作っている骨 と、骨の動く部分である関節と、骨を動かす筋肉、神経系からできています。この運動器に障害により、自分で歩く、立つ、座ることができなくなって、日常生 活の自立性が保てなくなりますと、結果的に要介護のリスクが高い状態になってしまいます。この状態をロコモティブシンドロームと呼んでいます」とデータな どを示しながら説明しました。


また、「運動器の主な病気は、骨粗しょう症や変形性の関節症、筋肉減少(サルペニア)などで、これらは互いに関連し合い 重複して起こる特徴があります。加齢とともに筋肉が減り、関節に負担がかかって膝が痛くなりますと、運動量も少なり、更に筋肉が減少し、骨も減り、骨折 し、更に筋肉が減る、という悪循環が生じます。これをロコモの「負の重複と連鎖」と呼びます。日本は世界に誇る長寿国ですが、要介護者の数も増加の一途を たどり、この10年間に2倍になり、現在500万人以上に達しています。健康寿命を保つためにも運動器の病気にならないよう、またなった場合には早期に治 療することが大切です」と強調しました。


森田院長の長年の研究テーマである骨粗しょう症については、骨粗しょう症に対する関心が高まってきてはいるのに、「自分 は大丈夫」と思っている人が非常に多い実情を報告。「現在、日本での患者数は1300~1400万人と推定されていますが、実際に治療を受けている人は僅 か250万人程度で、大部分の患者さんは治療を受けていないということが大きな問題なのです。骨粗しょう症は全身の骨の量が減少し、もろくなって骨折を起 こします。特に太もものつけ根の大腿骨近位部骨折は70歳以上に急増し、寝たきりの主な原因になるうえ、生命予後も悪くなります。『サイレントディジーズ (沈黙の疾患)』とも言われ、骨の減少だけでは痛みなどの症状がないため、放っておくと突然の骨折が生じ、ひとたび骨折が生じると次々と骨折を繰り返しま す。これを「骨折の連鎖」と呼びます。
国際骨粗しょう症財団では昨年『ストップ・アット・ワン』(1つの骨折で止めよう)をスローガンに掲げました。最初の骨折を最後の骨折にしてください、という意味です。


危険因子として
  女性(骨折頻度は男性の3倍)
  高齢者(大腿骨近位部骨折の頻度は80歳では1年間に100人に1人、85歳では50人に1人が骨折)
  骨量の低下(10%下がると骨折リスク2倍)
  家族歴(近親者に大腿骨近位部骨折があればリスク2倍)
  骨折経験者(推体骨折リスクは4倍)
―などが挙げられます」と訴えました。


森田院長はこの後、骨粗しょう症の薬物療法の進歩は目覚しいものがあるため、骨折リスクの高い人は躊躇なく薬物治療を受 けて下さい。又、骨折の直接の原因となる「転倒」防止にも努めて下さい。report_s140207_1.jpgそして、骨粗しょう症の予防には子供時代から骨を丈夫に保つために良い生活習慣や 運動習慣を守り、"骨貯金"心がけることが健康寿命の維持につながるのです」と話し、質疑応答に応えるなど、会場の参加者も熱心にメモをとっていました。



医仁会武田総合病院 森田陸司院長

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