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消化器センター 多様化する消化器疾患に対応します

診療方針

消化器センター

医学の発展は日進月歩であり、消化器の分野においても日々様々な新しい知見が報告されています。
以前胃潰瘍の原因は、酸やストレスと考えられていましたが、H.pyloriの発見で治療方針が確立したことにより、胃潰瘍が減り、代わって逆流性食道炎の増加がみられるようになりました。最近では機能的ディスペプシア(functionaldyspepsiaFD)や過敏性腸症候群(IBS)といった機能的な病態に関心が寄せられています。また、食生活の変化に伴い、大腸癌 の増加が顕著になっています。診断に関しては、拡大内視鏡、NBIの応用により癌の早期診断がより可能となり、さらに、今まで診断の困難であった小腸病変にも、カプセル内視鏡やダブルバルーン内視鏡の登場により診断・加療が可能となってきています。治療に関しては、早期胃癌、食道癌、大腸癌および境界病変に対しての内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)の導入により、内視鏡的治療の可能性が広がってきています。

こういった背景を基に、京都市南東部の基幹病院として、多様していく消化器疾患に対応すべく、平成15年11月より消化器センターを立ち上げ、日々診療に従 事しています。

当消化器センターの基本的診療方針は、下記の通りです。


  • 患者さんの立場に立って、十分な説明と同意・インフォームドコンセントの下に、理解を得た上で診療を進めます。
  • 最新の医療を積極的に取り入れつつも、エビデンスに基づいた標準的で質の高い医療(EBM)を、優しく安全に提供します。
  • 低侵襲でQOLの高い消化器内科的治療を追求しつつ、外科治療のタイミングや適応を逸することのないよう配慮していきます。
  • 病診連携、病病連携を進め、ホームドクタ一との連絡も密にし、地域医療の中核としての役割を担っています。
  • 併存疾患のある場合、自らも総合的な内科診療を行いつつ、必要と思われる専門医に照会して、適切に対応します。
  • セカンドオピニオンを求める患者さま・ご家族に十分な情報を開示します。
  • 各種学会、研究会に説極的に参加し、医療技術の進歩に対応するため、常に研鑽します。
  • 医療機器や処置具の安全管理に努め、感染対策にも十分留意し、医療事故を未然に防ぐ体制を構築します。
  • 常に患者さん本位の目線で思考し、その実現のため、コメディカルも含めたチーム医療で診療に臨みます。

診療体制

消化器センター

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スタッフ

5名の医師と3名の専攻医(後期研修医)の総勢8名の常勤医が消化器センターで勤務しております。 より良いチームワークを築き、一丸となり医療に取り組んでおります。

当院は、日本消化器病学認定指導施設、日本消化器内視鏡学会認定指導施設であり、日本消化器病学会指導医(竹村)、日本消化器病学会専門医(松山、松下、山内、滝本)、日本消化器内視鏡学会指導医(竹村)、日本消化器内視鏡学会認定専門医(松山、松下、山内、滝本)、日本内科学会認定専門医(松下、山内、滝本)、日本内科学会認定医(竹村ら、数名)の資格を有し、また、上記学会のみならず、日本消化管学会、日本肝臓学会、日本膵臓学会、日本癌学会、日本癌治療学会、日本静脈経腸栄養学会、日本緩和医療学会等にも所属し、多岐にわたる学会活動・学術活動を進めながら、診療の質の維持と向上に努めています。

入院担当

常勤医8人で、主治医制を取って対応しています。主治医による1日1回以上の病棟の回診に加え、主治医不在時や緊急時に備えて病棟当番医を設けています。

また、治療方針に偏りが出ないよう、また治療の方向性を確認検討するために、医員全員による消化器カンファレンスを週1回定期的に施行しています。カンファレンスには、外科医、放射線科医、臨床検査技師、臨床工学技師も参加し、多角的な検討を加えるようにしています。

救急医療

消化器領域は、急性腹症、吐下血、閉塞性黄疸といった緊急の診断・処置を要する病態も多く、緊急画像診断、緊急内視鏡および止血術、緊急各種インターベンションが望まれる機会も多いです。そのため、これらに常に即応できるよう、外科・放射線科、コメディカルと協力しつつ、チームで診療を行っています。休日夜間帯には当科医師において、24時間オンコール体制で臨んでいます。

専門性

専門性

専門性

当消化器センターでは、比較的高度なものも含め、消化器内科に求められるほぼ全ての検査と処置を実施しております。いずれも、正確な診断と適切な治療のため、適応のあるものを、説明と同意の上、可能な限り安全に施行するものとしています。

消化管領域

上部消化管内視鏡検査、下部消化管内視鏡検査は当然のことながら、病変の深達度診断や範囲診断のために超音波内視鏡検査(EUS)・画像強調内視鏡検査を、消化管早期癌や境界病変の治療に内視鏡的粘膜切除術(EMR)および近年脚光を浴びている粘膜下層剥離術(ESD)を行っています。特に当院ではESDについては重点をおいて取り組んでおります。消化管出血例に内視鏡的止血術、食道静脈瘤破裂緊急・待機例に、内視鏡的食道静脈瘤硬化療法(EIS)・結紮術(EVL)、消化管の悪性・良性狭窄に内視鏡的消化管拡張術(EBD)、異物誤嚥に内視鏡的異物除去術、消化管の悪性狭窄に内視鏡的ステント留置術(最近はメタリックステント)、嚥下困難による栄養摂取不良例に内視鏡的胃瘻空腸瘻造設術(PEG/PEJ)などを施行しています。また、潰瘍性大腸炎重症例に対する顆粒球吸着療法(G-CAP)および白血球吸着療法(L-CAP)も積極的に取り入れています。

肝臓領域

急性肝炎から慢性肝疾患まで広く対応しています。C型肝炎に対する肝生検、インターフェロン治療、食道静脈瘤に対する前述のEIS/EVL、孤立性胃静脈瘤に対してバルーン閉塞下逆行性経静脈的塞栓術(B-RTO)、肝癌に対する経カテーテル的動脈塞栓術(TAE)、経皮的工タノール注入術(PElT)・経皮的ラジオ波凝固術(RFA)、また切除不能多発肝腫瘍に対して経皮的リザーバー留置術による動注療法などを施行しています。

胆膵領域

胆道や膵病変の精査として内視鏡的逆行性胆膵管造影検査(ERCP)、総胆管結石や悪性腫瘍による閉塞性黄疸や胆管炎に対して内視鏡的胆道ドレナージ術(経鼻チユーブによる外瘻(ENBD)。チューブステントによる内瘻(ERBD))、経乳頭的な砕石その他の処置のための内視鏡的乳頭切開術(EST)、内視鏡的胆管砕石術(EML)、悪性胆道狭窄に対する内視鏡的胆管メタリックステント留置術、急性膵炎・慢性膵炎・膵石症に対する内視鏡的膵管ドレナージ術(EPD)・ステント留置術(EPS)、内視鏡的膵管口切開術(EPST)・内視鏡的膵管採石術(ESWL併用)、内視鏡的胆膵管バルーン拡張(ERBPD)、内視鏡下膵嚢胞ドレナージ術、経皮経肝的胆道ドレナージ術(胆管(PTCD)・胆嚢(PTGBD))、経皮経肝的メタリックステント留置術、経皮経肝膿瘍ドレナージ術(PTAD)などを施行しています。また、重症急性膵炎に対する膵持続動注療法も多数行っています。

診療実績

平成19年度の診療実績は以下の通りです。

  • 外来患者総数:22437人
  • 入院患者総数:16031人
  • 上部消化管内視鏡検査:3606件
  • 下部消化管内視鏡検査:1309件
  • 超音波内視鏡検査:上部48件、下部15件
  • 内視鏡的粘膜切除術・ポリープ切除術:上部9件、下部208件
  • 内視鏡的粘膜下層剥離術:胃84件、食道6件、大腸51件
  • 内視鏡的胆膵管造影検査:172件
  • 内視鏡的胆膵管処置術
    (乳頭切開術EST、胆道ドレナージ術ENBD/ERBD、ステント留置術等):160件
  • 内視鏡的胃瘻造設術PEG:155件(交換101件を含む)
  • 内視鏡的食道静脈瘤硬化療法EIS:25件・内視鏡的食道静脈瘤結紮術EVL:29件
  • 腹部血管造影検査:90件
  • 経カテーテル動脈塞栓術TAE:82件
  • 腹部超音波検査:5118件
  • 超音波ガイド下経皮的治療 胆道ドレナージPTCD:13件
  • 経皮的ラジオ波凝固術RFA:29件
  • エタノール注入術PEIT:9件

心療内科の評価

消化器カンファレンスで、診療内容の定期的な評価を行っています。特に重症で深刻な例には、病棟で画像端末などを用いて、適宜カンファレンスを行ってフオローアツプしています。きめ細かい医療を進めながら、診療の質の確保、医療の標準化、リスクマネージメント、インフオームドコンセントの向上、患者さまの満足度の向上、コメディカルを含めたチーム医療の推進、医療資源の適切な再配分などの観点から、内視鏡やカテーテルの診療において、コメディカルの協力の下、クリティカルパスの導入・改良に努めています。

教育計画・臨床研修

平成17年度より研修医制度が改革され、初期臨床研修医については、カリキュラムに則り、まず医師としての基本診察を習得した上で、デ一タや画像診断の見方を教育しています。次に、指導医に付いて担当症例を受け持ち、患者さんと接しながら、最も基本的な消化器疾患について学んでいきます。同時に消化器内科領域の検査手技についても、まず、侵襲性の低い消化管透視や体外式超音波検査などの習得を進めていきます。2年目の初期臨床研修医については、内視鏡検査等の指導も行います。後期研修医に関しては、担当症例を主治医として責任を持って受け持ちます。消化器検査についても下記の様なカリキュラムを組んで技術の習得に努めていただきます。

後期研修(消化器内科専攻医)カリキュラム
1年次
上部消化管内視鏡 500例を目標とし挿入手技の習得と観察、生検手技の習得を行う。下部消化管内視鏡、胆膵内視鏡は見学、介助。
2年次
上部消化管内視鏡 通常検査に加え、色素内視鏡、止血処置、EMR、EISなどの治療内視鏡など年間750例を目指す。下部消化管内視鏡 150例を目標に挿入手技を学び、一人法による全大腸内視鏡検査の習熟を行う。
胆膵内視鏡 50例を目標に膵管・胆管の選択的造影手技を学ぶ。
3年次
上部消化管内視鏡 年間750例を目標に上記項目のルーチン化、超音波内視鏡などの特殊検査の手技の習得を目標とする。
下部消化管内視鏡 年間350例を目標にEMRをはじめとする治療内視鏡手技の習得、拡大。内視鏡や超音波内視鏡などの特殊検査の手技を習得する。
胆膵内視鏡 年間100例を目標に乳頭切開術やステント挿入など治療内視鏡、IDUSなどの特殊検査手技の習得を行う。

後期研修3年次終了時点で上部消化管内視鏡検査2000例、下部消化管内視鏡検査500例、胆膵内視鏡検査150例を経験し、ルーチン検査だけではなく治療内視鏡手技の習得を目標とする。その上で、内科認定医、消化器病学会・消化器内視鏡学会認定専門医等の資格の取得を目指す。いずれの段階でも、患者さま本位の真摯な態度で臨み、適応を守り、安全に最大限配慮するという基本姿勢を十二分に教育しています。その上で、診療技術と知識の向上に努めます。

研究・治験・課題

研究や治験の課題としては下記のものが挙げられます。

  • 内視鏡治療時の鎮静法や鎮静機器の開発及び研究
  • ヒアルロン酸を用いた大腸腫瘍に対する内視鏡的粘膜切除術の安全性と有効性について(多施設共同研究)
  • 臨床自主研究として、大学病院と共同でC型肝炎・肝硬変に対する各種インターフェロン治療
  • 機能的ディスペプシア(functional dyspepsia FD)に対する全国規模の治験
  • GERDやH.pylori感染症に対する、EBMに基づいた最新の診療
  • EMRの新たな手法としての粘膜下層剥離術の有用性についての追試
  • 消化器診療における適切なクリティカルパスの再検討と時代推移に適応した改定
  • 門脈圧亢進症・胃食道静脈瘤の症例の蓄積と治療戦略の確立
  • 肝癌に対する最適の造影超音波法の開発と、それに基づいた経皮的アブレーションの追求、TAEとのコンビネーション
  • 重症膵炎に対する持続動注療法の症例の蓄積
  • 内視鏡的十二指腸乳頭切除術症例の蓄積
  • 悪性狭窄に対する各種メタリックステントの評価と症例の蓄積
  • 栄養サポートチーム(NST)を拡充し、消化器分野の診療に活用する。
  • 積極的に緩和医療に取り組み、終末期医療の充実を図る。

将来計画

この地域での消化器領域における医療のニーズは、急性期のものも慢性期のものもまだまだ高く、そのため、より質の高い医療を大勢の患者さまに提供するためには、当科の設備やスタッフの充実をさらに図る事が必要と考えられます。消化器センタ一が、この地域で信頼され、安心できる医療機関としての地位を確立していきたいと考えます。

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