※武田病院グループが発行する「たけだ通信」記事からの転載です。医師やスタッフの肩書き/氏名は掲載時点のものであり、現在は変わっている可能性があります。

健やかに活きるための運動の役割
東山武田病院 生活習慣病センター 健康運動指導士 科長 今井 優
はじめに
平成16年日本病院学会市民公開講座で、日野原重明先生(聖路加病院)による「人生80年時代を生きる」をテーマに講演会が開催されました。各世代に与えられた心と体を各自がどう育てていくか。健康は努力して勝ち取るものであり、各自で創っていく事を話されました。これからの生活の中で、「生産的に老い」、「健やかに活きる」にはどうすればいいかを考えてみてください。
体力とは
体力は、身体的要素と精神的要素に分れ、それぞれに行動体力と防衛体力に分れています。身体的要素の行動体力は、持久力や筋力、瞬発力、柔軟性、巧緻性などで身体機能を見ているものと、体格や姿勢による形態を見ているものがあります。身体要素の防衛体力には、器官・組織の構造から見るものと、温度調節・免疫・適応による恒常的機能から見ているものに分かれています。精神的要素における行動体力には、意思・判断・意欲があり、防衛体力は精神的ストレスに対する抵抗力に分類されています。
健康に関係する体力は
| 【男性】 | 【女性】 | |
| 1位 | 脳卒中(42.9%) | 脳卒中(20.2%) |
| 2位 | 衰弱(11.5%) | 衰弱(18.3%) |
| 3位 | パーキンソン(7.2%) | 転倒骨折(14.8%) |
| 4位 | 認知障害(6.2%) | 認知障害(13.0%) |
| 5位 | 転倒骨折(5.7%) | 関節疾患(12.8%) |
| 6位 | その他(26.5%) | その他(20.9%) |
日常身体活動が少なく、体力水準の低い方は、生活習慣病の発生が多いことはいうまでもありません。生活習慣病と関係がある、特に動脈硬化をおこす病気と関係がある体力には、持久力(最大酸素摂取量)が挙げられています。また、東京都老人総合研究所の鈴木先生は、寝たきりの原因になる転倒をもたらす要因には、先行する転倒経験の多さや、通常歩行スピードの減少が関係していることを報告しています。一度あるいは数度の転倒を経験すると、その後の転倒に対する恐怖心から、ADLを低下させ、その低下が著しい場合には「寝たきり」になる可能が高いことを指摘しています。健康な身体を「つくる」また「維持する」ためには、反応時間や筋力、バランス機能、感覚、歩行能力などの身体の機能を整えることが必要です。
安全に運動を行なうには
ご存知のように日本人の三大死因は、癌・心疾患・脳血管疾患であり、これらの疾患と関係が深い高血圧・高脂血症・糖尿病・肥満は「死の四重奏」として恐れられています。高血圧・糖尿病・高脂血症は、40歳台から急に受療率が上昇し、若年期の生活習慣の影響が危惧されています。また、これらの疾患の潜在を知らず、運動を開始すると、運動中に予期せぬ事故が起こることも心配です。運動を開始する方は、まず「メディカルチェック」(運動を始める前に、体に病気や異常がないか検査すること)を行い、健康度や体力の評価が必要です。特に、軽い病気に罹っている方や、薬を飲んでいる方が運動を開始するときは、メディカルチェックは欠かせません。
どのような運動を行うのか

運動の開始は、筋肉の柔軟性を高めます。加齢や筋肉の運動量が少なくなると筋肉が萎縮してきます。ストレッチ体操は、筋肉を一生懸命伸ばすのではなく、ゆっくり息を吐きながら筋肉をほぐします。伸ばす筋肉を意識して行ってください。
次に、持久力を維持する運動が必要です。まずは、1週間に2回、1回30分の歩行ができているかを確かめてください。
また、筋力を維持することも重要になってきています。姿勢の保持、立位の保持、歩行能力、膝の安定、物を持つのには、様々な力が必要です。
さらに、調整力を身につけ自分の身体を思い通りに動かしてみてください。調整力には、体のバランスを保つ能力(平衡性)、身体を素早く動かす能力(瞬発力)、身体を巧みに動かす能力(巧緻性)があり、これらの能力を総合的に身につけましょう。
平成18年1月14日、医仁会疾病予防センターで第2回健康支援講演会を開催しました。講師は、京都大学内分泌代謝内科 細田公則先生、疾病予防センター管理栄養士泉美江副主任です。「ダイエットを成功させるコツ」をテーマに、122名の参加者に聴講していただきました。
継続がポイントです

楽しくなる運動を見つけてください。運動の目標、運動を行う場所、運動のプログラムなどが満足できるものかどうかを考えていきます。
日野原重明先生は、「すこやかに生きる」ポイントとして、姿勢を良くする、適正な声で話す、上手に歩く、相手の目を見て話す、相手を配慮する習慣、会話に間を入れる、笑顔で話すなどを述べられていました。日常生活で、できることから実行してみてください。
2月4日には、医仁会武田総合病院糖尿病患者会「さつき会」、3月11日には、医仁会疾病予防センターの体力測定会を実施しました。70名の方が参加され、日頃の運動習慣の成果を確認して頂きました。







