※武田病院グループが発行する「たけだ通信」記事からの転載です。医師やスタッフの肩書き/氏名は掲載時点のものであり、現在は変わっている可能性があります。
悪性貧血 ビタミンB12の補充で劇的な改善
医仁会武田総合病院 顧問 血液病センター長 吉田彌太郎
悪性といってもがんのような意味ではなく、原因も治療法もわからなかった時代の名前を使っているだけで、現在は血液医にとって最も劇的に治せる貧血です。北欧などに多く日本には少ない貧血です。
中年以降に起こる1種の自己免疫異常で、無酸症を伴う胃粘膜の萎縮のため、ビタミンB12吸収に必要な内因子という物質が胃で作られなくなり、ビタミンB12が欠乏して貧血になります。
慢性の貧血で皮膚はやや黄色調があり、舌乳頭も萎縮し舌の表面はつるりとして光沢を帯びて見え、食事に際しての舌の痛みも特徴的です。またビタミンB12欠乏の程度がひどいと手足の知覚異常などの神経症状(亜急性連合脊髄変性)も起こります。
赤血球の大型化、好中球過分葉などの必発の汎血球減少(大球性貧血、血小板減少、白血球減少)、血清LDH高値、ビタミンB12低値などで悪性貧血を疑います。
血球減少はビタミンB12が欠乏するため血球形成の途中で血球が成熟出来ずに壊れる無効造血で、そのため血清ハプトグロビン低下、間接型ビリルビン増加なども見られます。
骨髄検査で典型的な巨赤芽球性造血の所見、免疫検査で血清の内因子抗体、壁細胞抗体などがあれば診断が確定します。
ビタミンB12の筋肉注射での補充が有効で症状と貧血の劇的な改善がみられます。
ただし胃粘膜の萎縮とビタミンB12吸収不全は続き、生涯にわたってビタミンB12の維持投与がいります。
胃切除後も内因子分泌が不十分になり、体内のビタミンB12が欠乏(肝臓内貯蔵量が枯渇するまで約2~3年)し悪性貧血と同様の貧血が起こります。そのため胃の手術後は定期的なビタミンB12補充が行われます。







