※医師やスタッフの肩書き/氏名は掲載時点のものであり、現在は変わっている可能性があります。

丈夫な骨で活動的な毎日を
医仁会武田総合病院 院長 森田 陸司
加齢に伴う骨量の減少
背骨は、椎体という骨がたくさん重なってできており、その間にクッションの役割をする椎間板があります。
椎体の構造は、スポンジのような海綿質でできており、若い人の骨はこの構造がとても密になっています。歳を取るにつれ、この海綿質がまばらになり、支えられなくなってつぶれたりします。それによって背はだんだん低くなったり、程度によっては背中が曲がってきます。
骨が減少するワケ
どうして骨が減るのでしょうか。
骨は、成長期まで急増し、二十歳ぐらいになって横ばいになります。これを人生の中で一番骨の量が多い「最大骨量」と言います。この最大骨量は50歳ぐらいまでほぼ維持され、特に女性の場合、50歳を過ぎると急激に骨量が減少し、80歳ぐらいになると若いときの約半分ぐらいに減ってしまいます。何故女性は急激に骨量が減少してしまうかと言うと、閉経(エストロゲンの欠乏)が大きく関与しています。男性は、女性のように突然骨量が低下していくのではなく、じわじわと減っていきます。個人差がありますが、大体80歳ぐらいになると、平均的に若い時代の7割~8割ぐらいまでに減少します。そうすると、骨が折れやすくなってくるのです。
骨を守る
骨粗しょう症とは、骨強度が減少して骨がだんだん弱くなり、骨折しやすくなった状態と定義されています。ですから、骨折の有無に関わらず骨折のリスクが高まっている、つまり、折れやすい状態を骨粗しょう症と言います。骨量の減少がある程度進むと、元の健康な骨に戻すのは極めて困難です。ですから、骨が減らない時期より骨量を測定し、骨が減り始める早期に対策を立てることが重要です。
骨量が減少するだけでは、臨床症状は起きません。骨折や歩行困難などが起こると、正常な日常生活が困難になり、自分自身の生活を維持できなくなって、他人による介護が必要になります。予防や治療の目的は、骨折の防止にあるのです。そのためには、生活習慣の改善と、骨折しやすい人は早いうちから薬物療法などで骨折のリスクを改善することが大事です。
日本人はカルシウム不足
いろんなものをバランスよく摂って、その上でカルシウムとビタミンD、ビタミンKを積極的に摂取するよう心がけましょう。年齢や性別によって違いますが、カルシウムは一日800mg、目標量として大体600mg取るよう言われています。日本人は慢性的なカルシウム不足と言われていますから、意識的にカルシウムを取るようにしましょう。カルシウムを多く含む食品の代表的な物は、乳製品です。乳製品の中にはたくさんのカルシウムが入っており、腸管からの吸収がしやすい食品なのです。乳製品以外にも干しえびやシシャモなどの骨ごと食べられる小魚や、大豆製品、野菜・海藻類に多く含まれています。
ビタミンDは、カルシウムの吸収をよくする働きがあり、骨の代謝に重要な役割をしています。一日10~20マイクログラム取るように心がけましょう。きくらげやサケ、うなぎの蒲焼き、サンマ、ヒラメなどの魚類に多く見られます。また、ビタミンDは紫外線に当たることによって皮膚で作られていきますので、日光浴を短時間するといいでしょう。
ビタミンKは一日250~300マイクログラム取るよう心がけましょう。ビタミンK中のビタミンK2が骨の中の主成分を活性化して骨を丈夫にし、骨質を高めます。ビタミンK2は、たまごや納豆など発酵した食物に多く含まれています。そのほか、ほうれん草、小松菜、ニラなどの野菜類や、わかめ、のりなどの海藻類に含まれています。
自分に合った運動を
運動は、骨の量を増やすこと以外に、体のバランス感覚を鍛えます。バランス感覚が鍛えられれば、転ばなくなります。転ばなければ骨折は起こりにくくなります。運動習慣がある人とない人とでは、骨粗しょう症の有病率や骨折の発生率に差が生じます。ですから、是非運動をお勧めしたいと思います。
軽い運動や日常生活での買い物、家事などでこまめに動くことが必要です。一日に20~30分ぐらい散歩するのもいいでしょう。一日の目標をクリアしていくことが大事です。ただし、無理は絶対にしてはいけません。自分の体力に見合った目標を立てて、無理なく持続できる運動をして下さい。







