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医仁会 武田総合病院 薬局長 小川陽子

高齢者が注意すべきお薬

医仁会 武田総合病院 薬局長 小川陽子


高齢者に副作用が多いのは?
身体機能低下による副作用

高齢者の薬による副作用の発現率は、年齢が上がれば上がるほど高くなります。どうして副作用が多くなったのかというと、まず一つ目に身体の機能が低下していることが挙げられます。人間の体は、年齢に伴って肝臓で薬を分解する能力、あるいは薬を腎臓から体外に排出する能力が低下します。また、高齢者は、体内の水分の割合が少なくなってしまい、脂肪が多くなるため、脂肪に溶ける薬が体の中にたまりやすくなってしまいます。その結果、薬が強く効きすぎて副作用が若いときよりも現れやすくなるのです。

肝臓・腎臓の機能が低下することによって起きやすい副作用

肝臓機能の低下によって起こりやすい代表的なものは、頭が痛いときや、風邪を引いたとき、腰が痛いときにお飲みいただく解熱鎮痛剤を飲んだ場合、体温が思ったより下がりすぎたり、ショック症状が出るという副作用がまれに起こります。血圧降下剤も、起立性低血圧や、急性心不全などの症状が出やすいと言われています。また、腎機能が悪い方は、ある種の抗生物質を服用した場合、けいれんを起こしたり、めまいや、聴力障害というような副作用が起こりやすいと言われています。血圧降下薬は、腎機能が悪いと副作用として急性腎不全の可能性も出てきます。

薬の飲み合わせによる副作用
  1. 解熱鎮痛薬と経口糖尿病薬→血糖値が思ったより下がりすぎて、低血糖気味になる。
  2. 解熱鎮痛薬と血栓予防薬 →血液の流れをさらさらにする薬のため、血が固まりにくくなり、出血しやすい。
  3. 抗菌薬と気管支拡張薬 →吐き気、不整脈
  4. 点眼薬(散瞳薬)とうつ病薬 →血圧上昇
多くの薬をのんでいるため

二つ目の理由は、多くの薬を飲んでいるからです。高齢者の多くは複数の病気にかかり、たくさんの薬を飲んでいるため、薬と薬の副作用が起こる可能性が、高くなります。2種類以上の薬を同時に使用した場合、薬と薬がお互いに影響しあって効き目が変化することがあります(薬の相互作用)。この相互作用は、効き目が強くなる場合もあれば、弱くなる場合もあります。

日常生活の問題点など

三つ目は、日常生活の問題点です。年齢に伴って目が見えにくくなったり、耳が聞こえなくなったりすることがあります。そのため、薬を見間違えたり、飲み方を聞き間違えたり、勘違いしてしまって、副作用を引き起こしてしまうこともあります。中には、PTP包装のまま飲み込んでしまうという事故もあります。よそ見をせず、きちんと飲むようにしましょう。

高齢者にとって薬には
一般に使用を避けることが望ましいもの
  • 抗不安薬や睡眠薬→ふらつくなどして転倒や骨折の危険が高くなる。
    ※便秘や口の渇きなどの抗コリン作用、または作用の長い睡眠薬(サイレース、ロヒプノール)にも注意
  • 抗ヒスタミン薬や抗アレルギー薬→尿が出にくくなるなどの抗コリン作用症状が現れる。
  • 鎮痛薬→特にソセゴンやペンタジンは、鎮痛薬の中で錯乱や幻覚などの副作用が最も起きやすい。
    ※吸収・代謝がうまくいかず、薬の血中濃度がいつまでも高い状態で維持されてしまうと、副作用が現れやすくなる。
  • 抗不整脈薬(ジゴシン…1日あたり0.125mgを超える場合)→食欲不振、嘔吐などの症状。
  • 降圧薬(1日に何回も飲むような短時間型のもの)→低血圧や便秘を引き起こす恐れ。
  • 胃薬(H2ブロッカー)→意識混濁、錯乱や幻覚などのせん妄が起きる恐れ。
  • 胃潰瘍などの薬や抗うつ薬→手足が勝手に動いたり、指が震えたり、舌がもつれたりする症状。
  • 抗血小板薬→肝機能障害が起きる恐れ。
特定の疾患・病態において使用を避けることが望ましいもの
  • 排尿障害のある方→抗コリン作用のある抗ヒスタミン薬や抗アレルギー薬
    ※尿量を低下させ、病状を悪化させる恐れ。泌尿器科にかかっていることを専門医に伝えるよう心がけること。
  • 緊張性失禁のある方→α遮断薬や三環系抗うつ薬
    ※頻尿を起こし、尿失禁を悪化させる恐れ。
  • 狭心症や心筋梗塞の既往のある方→片頭痛治療のトリプタン系薬
    ※不整脈、狭心症や心筋梗塞など重い症状が現れる可能性も。
  • 慢性閉塞性肺疾患(COPD)のある方→長期作用型ベンゾジアゼピン系の抗不安薬、βブロッカー
    ※呼吸がしにくくなる副作用が出て、症状を悪化させる恐れあり。
  • 緑内障のある方→抗コリン作用のある気管支拡張薬、抗コリン作用がある抗ヒスタミン薬や抗アレルギー薬
    ※眼内圧を高め、症状を悪化させる恐れ。
  • 胃潰瘍十二指腸潰瘍のある方→非ステロイド抗炎症薬や解熱鎮痛薬
    ※既存の潰瘍の悪化または新たな潰瘍を引き起こす恐れ。
  • 座位・立位を保持できない方→ビスホスホネート経口製剤
    ※食道局所における副作用を防ぐため、服用後少なくとも30分は座位または立位を保つ必要がある。

高齢者特有の薬による副作用は、思わぬ大怪我や症状が現れる可能性があります。「おかしいな」と思ったら、主治医に遠慮なく話しましょう。


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