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メディカルアドバイス

※武田病院グループが発行する「たけだ通信」記事からの転載です。医師やスタッフの肩書き/氏名は掲載時点のものであり、現在は変わっている可能性があります。

医仁会武田総合病院 脳神経外科部長 川西 昌浩

 

脳卒中のトピックス

医仁会武田総合病院 脳神経外科部長 川西 昌浩

脳卒中は、よく知られているように、出血性病変(くも膜下出血と脳内出血)と虚血性病変(脳梗塞)にわけられます。
その治療は、1990年代から急速な進歩を遂げてきたカテーテルによる血管内治療の出現により、血管病変の治療に多大な変化をもたらしました。
代表がくも膜下出血の原因となる脳動脈瘤に対する治療(コイル塞栓術)と、血管狭窄病変に対する治療(ステント留置術)です。

くも膜下出血

図1・図2

成人の突然死の原因となる脳卒中の代表ですが、原因は、ほとんどが脳動脈瘤の破裂によるものです。

一回の破裂で即死に至る場合は治療不可能ですが、頭痛だけで発症し、再破裂せずに治療できた場合、後遺症無く社会復帰することも可能な点、他の脳卒中と異なります。

従って、頭痛の初期鑑別診断で最も大事な疾患になります。くも膜下出血の症状としてハンマーで殴られた様な頭痛とか、項部硬直などの随伴症状がよく強調されますが、第一線の臨床では、異なる場合も多く、診断のポイントとして、頭痛の強さよりも、何時何分何秒に、突発ピークで生じたという発症様式に重点をおいて問診することが大切です。このような問診が得られたら時間を問わず脳のCTをとる必要があります。偉そうなことを言っていますが、私自身20年以上頭痛の診療に携わってきて、普通に歩いてこられた患者さまが、脳CTをとったら、くも膜下出血を生じていて、肝を冷やしたことが何度もあります。

治療法は、従来から行われている開頭によるクリッピング術と、冒頭で述べましたカテーテルによるコイル塞栓術があります。

2002年に両治療の無作為比較試験でコイル塞栓術の良好な結果が証明されて、さらにコイル塞栓術が広まりました。全世界で12万例以上の治療が行われています。当院でも10年近い治療歴が有りますが、長期成績も安定しており、多くの方が社会復帰されています。コイル塞栓術写真(図1・図2)

虚血性病変

図3・図4

頸動脈の狭窄病変(70%以上)は、症候性の場合、最良の内科的治療を行っても、5年以内に26%の患者が脳梗塞を再発するということがわかっており、狭窄病変そのものを外科的に広げる治療が必要とされています。
従来より、頸部を切開しての頚動脈内膜剥離術がおこなわれておりますが、1990年代より冠動脈治療に準じてステント治療が行われてきております。
2008年4月より健康保険でも認められるようになり急速に広まりました。当施設では健康保険未認可時代の1999年より実施しております。ステント写真(図3・図4)


図5頸動脈の狭窄病変の診断・治療方針決定には頸動脈エコーが必須です。プラークの性状や血流動態、血流速度などが評価でき、狭窄病変のみならず動脈硬化の指標としても有用です。当施設では専門の超音波検査師による豊富な症例にもとづく解析がなされて、適切な治療が選択されています。エコー写真(図5)


高血圧性脳内出血

高血圧性脳内出血とは、長年にわたる高血圧によって脳の細い動脈(100~200ミクロンの穿通枝)に動脈硬化を生じて微小な瘤が発生して、それが破れて脳実質に出血する病気です。なお、この穿通枝がつまった病態がラクナ梗塞であり、出血もラクナ梗塞も細動脈の動脈硬化という点では、基本病態は同じといえます。 高血圧性脳内出血は、好発部位がありますが、予後の悪い順番にならべると、脳幹、小脳、視床、被殻・皮質下出血です。出血の原因が細い穿通枝の微小動脈瘤なので、くも膜下出血となる脳動脈瘤のように破裂前に診断する策はなく、こまめに高血圧の治療を行うしか予防の手立てはありません。

図6

さらに、一度この出血になってしまった患者さんでも高血圧の治療を怠ると反体側など違う部位でまた出血したり、ラクナ梗塞を生じることはよくあることです。逆もしかりで、ラクナ梗塞のあと、経過中に脳内出血を生じることもしばしばあります。いずれにしましても脳内出血は、脳実質を破壊して出血するため、手術による機能予後は一般的によくありません。

ただし、重要な神経路(内包など)を圧迫しているがために神経症状が出現している場合は、血腫を取りのぞくと劇的に症状が良くなることもあります。(図6)



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