※武田病院グループが発行する「たけだ通信」記事からの転載です。医師やスタッフの肩書き/氏名は掲載時点のものであり、現在は変わっている可能性があります。
正常組織を避けて患部にのみ放射線を照射できる体に優しい放射線治療「トモセラピー」
宇治武田病院 放射線治療センター長 岡部 春海
近年、がんの発生死亡数は増加を続け、1981年には国民の死亡原因の第一位となりました。現在では年間約32万人、約3人に1人の方が癌で亡くなられています。アメリカなどでは全がん患者数の6割が放射線治療を選択されますが、日本の普及率は25%程度と、大きく立ち後れています。
医療全般において、患者様への負担を軽減する“低侵襲性治療”への意識が高まるなか、外科的手術と比べ患者様への負担が少ない放射線治療への期待は今後さらに高まるものと考えます。
中でも、西日本で初めて宇治武田病院が導入した強度変調放射線治療専用機「トモセラピー」は、従来の治療法と比べ副作用の少ない画期的な治療法です。今回は、この「トモセラピー」を駆使した最新のがん放射線治療をご紹介します。
複数箇所・全身を一度に連続して治療することが可能です

トモセラピーは、高精度なコンピューター制御のもと、放射線装置であるリニアックが体のまわりを回りながら、がん病巣に限定した放射線治療を行います。従来行われていた、小さながん病巣へのピンポイント照射はもちろん、複雑な形状のがん病巣や、複数の病巣など全身を対象とした放射線治療を行うことが出来ます。
最大の特徴は、がん病巣だけに限りなく放射線治療が行えるため、正常組織への照射が、従来の方式に比べて格段に少なくなります。言い換えれば、がん病巣へ特化した放射線を当てられるので、少ない期間で、大きな効果が得られる可能性が高い点にあります。
また、対象となる症例は幅広く、早期がんの根治治療や、全身に転移したがんに対するターミナルケアに至るまで、効果的な放射線治療を行うことができます。多くのがんに有効で、中でもトモセラピーが得意とする疾患分野は、前立腺がん、耳鼻科領域の腫瘍(咽頭がん、喉頭がんなど)、脳腫瘍があげられます。
トモセラピーは、必要な範囲に集中して放射線を照射できるため、治療の回数を減らすことも可能となります。症状によっては通院治療も可能であるなど、大変体の負担の少ない、優しい治療法と言えます。
また治療は、体の負担を減らすために複数回に分けて行います。(原則的に月~金曜週5回)人にもよりますが、トモセラピーの治療後に、体がだるくなったりする体調の変化はほとんどありません。1回の治療に要する時間は、準備も含めて20~30分程度です。
トモセラピーによる治療機会の広がりは、がん治療における大きな前進となります。より多くの患者様に、より効果的ながん治療を受けていただけるよう、取り組んでまいります。
トモセラピー 治療の様子

トモセラピーCTでがん病巣の撮影を行い、
正確な位置を把握します。

360度の全方位から放射線を照射。
照射口の回転と人体移動によって、
複数のがん病巣への照射が可能です。







