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健康のために

メディカルアドバイス

※武田病院グループが発行する「たけだ通信」記事からの転載です。医師やスタッフの肩書き/氏名は掲載時点のものであり、現在は変わっている可能性があります。

医仁会武田総合病院 循環器科部長 黄 明宇

薬剤溶出型ステントと画像診断の進歩

医仁会武田総合病院 循環器科部長 黄 明宇

薬剤溶出型ステントの開発

 虚血性心疾患診断のゴールデンスタンダードといわれる心臓カテーテル検査が始まって既に30年以上経過しました。この間の検査技術、検査器具の進歩は凄まじいものがありました。毎年のようにいわゆるニューデバイスが開発され、また手技においても複雑病変への適応拡大が進み、施設によってはカテーテル治療とバイパス手術の比が100対1以下になるような極端な状況が生まれました。このような状況下で数年前に開発された画期的な薬剤溶出型ステントの登場は、治療戦略の開発競争に終止符を打つほどのインパクトがあります。
それまでカテーテル治療のアキレス腱であった再狭窄という大問題を一気に解決した薬剤溶出型ステントは、これまでの治療概念を完全に変えたようです。再狭窄を予防するためのリスクの高い治療法はほとんど行われなくなり、「ステントさえ留置できればよし」という発想を一部に生んでいるようにも見えます。その結果、従来カテーテル治療は禁忌とされてきた左主幹部病変や複雑三枝疾患に対し安易にカテーテル治療を行う風潮さえ感じます。
我々が治療にあたって何より考えなくてはならないことは、治療を受けるのは人間であり、「出来ること」と「するべきこと」の境界は明確にすることだと思います。今、自分が行う手技の結果は、その後、長期間に渡って患者様が背負っていくものです。薬剤溶出型ステントのような強力なデバイスを手にした我々は、ますます治療法の正しい選択において重い責任を科されることになったと考えるべきだと思います。

画像診断

CTによる3D画像
CTによる3D画像

CTによる画像
CTによる画像

 もうひとつ循環器領域で最近のトピックをあげるなら、冠動脈CTの開発があります。常に動いている心臓の3mm以下の血管造影を非侵襲的に行うことは、数年前では夢の話でした。私が循環器医師になった頃は、「疑わしきは罰する」でした。胸が痛ければとりあえず入院しカテーテル検査という考えが定着していたように思います。
当院では地域で最初にマルチスライスCTを導入し、狭心症の診断に役立てていました。当初は4列スライスのCTで40秒間程度の息止めが必要であった上に画質もあまり褒められたものではなく、放射線科の技師さん達も色々な撮影法を苦労して工夫していました。CTが16列、32列と順次更新され、現在の 64列CTではすばらしい画質を得られます。コストも通常の造影CTと同じで外来から当日でも検査予約が入れられる冠動脈CTは患者負担、検査の柔軟性などの点で明らかにカテーテル検査を凌ぐ能力を示しています。
また、このCTは心臓だけではなく大血管、末梢血管、頭蓋内血管などあらゆる血管、心筋の性状の判断にも利用可能で、利用範囲は極めて大きいものです。
最近はCTで診断し治療のみをカテーテルで行う方向へ進んでいます。また、いわゆるメタボリックシンドロームが社会問題になっている今日、このCTを使った心血管ドックをかいしすることにしました。


今後の展望

 循環器内科では一つの流れとして低侵襲化があります。しかし、低侵襲化がリスクと引き換えになってはいけません。我々は安全性を自らの尺度で確認しつつ低侵襲化を進めていきたいと思います。また、今日様々な臨床試験などから膨大な量のエビデンスが蓄積されつつあり、循環器疾患の治療法の標準化が進んでいます。我々は個々の症例において様々なエビデンスに基づき、良質な医療を提供できるように努力したいと思います。


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