※武田病院グループが発行する「たけだ通信」記事からの転載です。医師やスタッフの肩書き/氏名は掲載時点のものであり、現在は変わっている可能性があります。

滲出性中耳炎の予防と治療について
医仁会 武田総合病院 耳鼻咽喉科 医長 中川 浩伸
テレビの音量を大きくする子供は要注意
滲出性中耳炎とは中耳に液体(滲出液)が溜まり、その為に聞えが悪くなり(難聴)、耳がつまった感じ(耳閉感)が起こる疾患のことをいいます。
中耳は鼓膜の奥にあり、鼻の奥(上咽頭)と耳管という細い管で連絡されています。耳管は嚥下をしたり、あくびをしたときに開き、中耳は上咽頭へ通じて空気が出入りします。中耳腔に外界と等しい圧の空気が入っているとき、鼓膜は最も効率よく振動します。
ところが、耳管の換気が悪くなり中耳腔が陰圧になると、鼓膜が内側に倒れて振動が悪くなり、耳の聞えが悪くなったり、耳がつまった症状が起こります(この状態を耳管狭窄症といいます)。
更に中耳の陰圧が進むと、中耳の粘膜から液が滲出していきます。この状態を滲出性中耳炎といいます。
滲出性中耳炎は急性中耳炎と異なり痛みを伴いません。呼びかけに対して反応が鈍かったり、テレビの音を大きくする小児は、その原因に滲出性中耳炎が多いので、耳鼻咽喉科医に相談しましょう。
予防
鼻炎、慢性副鼻腔炎(蓄膿)に伴って、耳管の働きが悪くなることがよくあります。子供が風邪をひいたら、出来るだけ早く治すようにしましょう。特に、鼻風邪には注意しましょう。また急性中耳炎から滲出性中耳炎へ移行することがよくあるので、急性中耳炎は完全に治しておきましょう。
治療

耳の治療だけではなかなか治らないこともあるので、耳鼻咽喉科医に鼻やのどもしっかり診てもらい、原因となっている病気と一緒に治療することが大切です。
まず、耳管に空気を送る耳管通気療法が有効です。
鼻炎、慢性副鼻腔炎(蓄膿)があれば、同時に鼻の治療も大切です。通気療法を繰り返しても液が消失しないときは、鼓膜に注射針を刺したり(鼓膜穿刺)、切開して(鼓膜切開)滲出液を吸い出します。何回切開しても、すぐに液が溜まる時には、チューブを挿入する(鼓膜チューブ挿入術)こともあります。
幸いなことに成長するにつれて、滲出性中耳炎は自然に治ることが多いですが、中には鼓膜が癒着したり(癒着性中耳炎)、鼓膜の陥没から真珠腫性中耳炎という恐ろしい耳の病気を起すこともありますので、放置しないでください。







