※武田病院グループが発行する「たけだ通信」記事からの転載です。医師やスタッフの肩書き/氏名は掲載時点のものであり、現在は変わっている可能性があります。

第二の国民病C型肝炎
医仁会武田総合病院 消化器センター 所長 竹村 俊樹
自覚症状ないまま数十年…肝硬変に
かつてわが国では肺結核により多数の人命が奪われた時代があり、全国規模で治療や予防対策が講じられました。
現在、その肺結核に代わりC型肝炎が"第二の国民病"と言われています。その理由は、現在わが国に慢性肝炎から肝硬変・肝癌へと進行する危険性のあるC型肝炎ウイルス(HCV)の持続感染者(キャリア)が数百万人存在し、国を挙げての撲滅対策が必要とされているからです。
C型肝炎は主に血液を介して感染します。感染拡大防止のためスクリーニング検査が導入されたのは1989年のことです。現在のように使い捨ての注射器がなかった時代に汚染された注射針の使用(覚醒剤・予防接種等)や輸血により、多くの人が感染したと考えられます。
C型肝炎は、自覚症状がなく一旦感染すると知らないうちに10~数10年で慢性肝炎から肝硬変へと進行し、最後には肝癌を発生します(表1)。現在、年間に3万人以上のひとが肝癌で死亡していますが、その80%近くがC型肝炎ウイルスによるものです。つまりC型肝炎治療の究極の目的は、肝癌を撲滅することにあるのです。肝硬変や肝癌への進行をくい止めるために、インターフェロンという注射薬でウイルスの駆除が行われます。一口にC型肝炎といっても、2つのウイルス型(セロタイプ1型と2型)があり、感染しているウイルスの量も人により大きく違っています。また慢性肝炎の進行度(これを"肝の線維化"といいます)も人様々です。
これらの因子によって薬の効き具合が違ってきます(表2)。
インターフェロンが効きやすい条件は、ウイルス側の因子ではセロタイプが2型で感染ウイルス量が少ないこと、ヒト側の因子では肝の線維化が軽いことです。逆に多量の1型ウイルスに感染している場合は、殆ど効かないことがわかっています。
わが国では1型ウイルスに多量に感染している人が多く、これまで折角インターフィロン治療を受けてもウイルスを駆除できないことが多かったのですが、最近ではリバビリンという内服の抗ウイルス薬をインターフェロンと併用することで駆除できるケースが増えています。ウイルスの駆除後には、駆除前に比べて肝癌発症の危険率が1/5~1/20に低下します。
また、ウイルスが駆除されなくてもGOTやGPT等の肝機能が正常化することがよくあります。
ウィルスに感染したままでも肝機能が正常化すれば、肝癌発症の頻度は駆除できた場合と同じくらいに少なくなることもわかっています。C型肝炎ウイルス感染の有無、慢性肝炎の進行度やウイルスの型・量は血液検査で簡単に調べることが出来ます。
康生会武田病院消化器センターでは、C型肝炎ウイルスによる肝癌予防を目的としたインターフェロン治療に積極的に取り組んでいます。
関心のある方は、ぜひ一度ご相談下さい。







