胆石について
医仁会武田総合病院外科 副院長 加藤仁司
不規則な食事や欧風化メニューと深い関係





胆石とは胆道(胆汁の流れ道、図1)にできる固形物をいいます。砂状(胆砂)、泥状(胆泥)のものも胆石といいます。胆石は比較的多い病気で、人間ドックでは5-7%の人に見つかるといわれています。また、75歳以上では25%の人に見つかるともいわれています。

胆石は胆汁中の成分よりできています。胆汁は肝臓でつくられ、胆管を通って十二指腸へ流れます。胆管の途中に胆汁を蓄え、濃縮する袋があり、これが胆嚢です。胆嚢は食事をすると、蓄えてあった胆汁を十二指腸に出します。動物の種類によっては胆嚢があるものとないものとがあります。ヒト、牛、ハムスターにはあるが、馬、ネズミにはありません。

胆石の種類
胆石の種類により成因は異なります。コレステロール石は、西洋型のカロリーの多い食事でできます。朝食抜きといった不規則な食事でも、胆嚢内に胆汁がたまったままとなり、コレステロール石ができやすくなります(表1)。黒色石でもやはり西洋型の食事が原因ですが、胃の手術後や、溶血性貧血などの疾患に伴い、生じることもあります。

胆石の成因
胆石は成分により、コレステロール石、黒色石、ビリルビン石、その他の胆石に分けられます。食事の欧風化により、現在では日本人の胆石の約7割がコレステロール石で、残りのほとんどが黒色石です。昔は多く見られたビリルビン石はごくわずかとなっています。

また、胆石の存在部位により、胆嚢結石、胆管結石、肝内結石(肝内胆管にできた胆石)と呼ぶこともあります。

胆石の症状
痛み、むかつき、はく、発熱などがおきます。痛みの場所はみぞおちか、そのやや右側に多く、胃の痛みとまちがえているひともいます。右背部が痛くなることもあります。胸が苦しいと訴え、狭心症などの心臓の病気と区別がつきにくい場合もあります。これらの症状は発作性におきることがほとんどです。
胆嚢炎、胆管炎、肝機能障害、黄疸、膵炎などの合併症を起こす場合があります。一番悪い合併症は胆嚢癌の発生です。10年、20年と長期にわたり、胆石を保有すると0.3%の率で胆嚢癌が発生するとの報告があります。

胆石の診断

診断には超音波検査(エコー)、CT、胆嚢造影などが用いられます。内視鏡的膵胆管造影(ERCP)も行われます。最近ではCTを用いた胆嚢造影(DIC-CT)が患者さんの負担が少なく、詳細がよく分かる方法として用いられています。

胆石の治療
1. 胆石溶解剤
  ウルソデオキシコール酸、ケノデオキシコール酸という薬が用いられます。効果を得るには、コレステロール石、15mm以下、石灰化がない、胆嚢機能が保たれている などの条件が必要です。1年間の服用で胆石が消失するのは10%前後といわれています。
2. 内視鏡的乳頭切開術
  十二指腸カメラを用い、総胆管の出口である十二指腸乳頭を電気メスで切開し、総胆管内にある胆石を取り出す方法です。胆嚢内にある胆石には使用できません。電気メスではなく、風船を用いて十二指腸乳頭を広げ、その後に総胆管の胆石を取り出す方法もあります。
3. 体外衝撃波破砕術
  わが国では、医仁会武田総合病院で初めて体外衝撃波治療が行われました。胆嚢結石では、1個のコレステロール石、15mm以下、石灰化がない(カルシウムがついていない)、胆嚢の機能が保たれている の条件を満たす患者さんを治療しています。外来のみで治療ができ、麻酔が不要などの利点があります。しかし、胆嚢がそのまま残り、胆石再発の可能性があります。再発予防に食事療法などをきちんと行うことが必要です。
4 腹腔鏡胆嚢摘出術
 



日帰り手術も可能に
腹腔鏡を用いて胆嚢を摘出する方法です。直径10mmおよび5mmの筒をそれぞれ2本づつ、計4本を腹壁に通すだけで手術が可能です。

美容的にもすぐれ、痛みも少なく、早期に退院可能です。
日帰りでもこの手術が可能です(日帰り腹腔鏡胆嚢摘出術参照)。多くの患者さんにこの手術が行われています。しかし、上腹部手術(例えば胃の手術)を以前に受けている患者さんでは、癒着が強いことが予想され、腹腔鏡ではなく開腹して手術が行われています。


胆石に関するQ&A
1 症状のない胆石の治療は?
本当に症状がないのか、「胃の痛み」と間違って考えていないかチェックが必要です。無症状胆石の治療については、まず年齢を考えると良いと思います。若い人では一生の間には症状を来す可能性が強く、また、体外衝撃波破砕術や手術の負担は比較的軽度であるため、50才代以下の人には治療を勧めています。60才代以上の人では全てを説明し、本人に治療するかどうか決めてもらっています。より高齢になってから、症状をおこし、そのために治療を受けるより、先に治療を受けたいと言われるひともあります。
2 胆嚢はとっても大丈夫か?
今から30年前までは胆嚢を残し、胆嚢内の結石だけを摘出する手術も行われていました。しかし、胆石が再発する事が多く(5年で50%との報告もあります)、現在では胆嚢を摘出します。胆嚢を摘出しても、体に対する影響はほとんどありません。
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