* 頭蓋骨内の太い血管は、脳とその表面にあるくも膜と呼ばれる薄い膜の間を走行しています。そのため、血管が裂けて出血した場合には、血液は脳とくも膜との間のすきま(くも膜下腔といいます)に急激に広がり、くも膜の下のすきまに広がる出血という意味で、くも膜下出血と呼ばれます。
原因
・脳内の太い血管の主に分岐部に発生したこぶ(脳動脈瘤)が、何らかの原因で裂けて出血するのがほとんどです。こぶ(脳動脈瘤)ができる原因は不明ですが、先天的なものに、高血圧や動脈硬化などが加わって発生すると考えられています。
頻度
・年間発生頻度は、人口10万人当たり約6-16人と報告されています。京都市内では年間300人が発症しているとされています。
・ 40-50歳台に最も多く発生します。小さな脳動脈瘤は、ほとんどのものが無症状で、裂けて出血して始めて症状が出現します。
くも膜下出血に治療が必要な理由
・発症すると約40%の方は死亡、治療がうまくいって助かっても重大な後遺症が残る方は約30%、社会復帰できる方は約30%とされています。
・一旦裂けて出血した脳動脈瘤は、再び出血しやすく、2度目の出血によって死亡したり、重い後遺症が残る可能性は高くなります。そこで、2度目の出血がおこる前に、再出血を予防する治療が必要です。当施設では動脈瘤の中に足の血管から詰め物をしたり(脳血管内治療)、こぶの首ねっこにクリップをかける手術を行っております。
術前 |
血管内治療の実例
動脈瘤(矢印)は治療により、写らなくなってます。 |
術後  |
症状
・典型的な症状は、それまでなんともなかったのに、瞬間的に(秒の単位で)今まで経験したことのない激しい頭痛(嘔吐)が起こることです。
・しかし、症状の程度ははじめの出血量と関連しており、いきなり大出血をきたすと突然死あるいは昏睡状態となり、少量の出血だと軽い頭痛だけで、風邪と間違われることもあります。いずれにしても、早急に脳神経外科での診断、治療が必要です。
検査
・まず必要な検査は、頭部CT検査です。これでほとんどの場合診断できますが、出血量の少ない軽症例や出血後何日も過ぎた場合には、診断できないこともあります。このような場合当施設では3DCTAを行います。
・次に必要な検査は、脳血管撮影検査です。脳内の血管を調べ、出血源となる脳動脈瘤を探します。
・最近では、くも膜下出血を起こす前(すなわち、未破裂の段階で)に、動脈瘤を発見することができるようになりました。当施設ではMRAや3DCTAをつかって早期発見するようにしております。
| 3DCTA |

動脈瘤 |
くも膜下出血の重大な合併症
※脳血管攣縮(のうけっかんれんしゅく)
・くも膜下出血を起こしてから、3日目から2〜3週間までの間に起こる現象で、くも膜下出血から有害な影響を受けた脳の血管が縮こまって血液の流れが悪くなることです。その結果、意識状態が悪くなったり、手足のマヒや言語障害が悪化したりします。
・脳血管攣縮はその程度によって症状は様々で、軽い人は無症状であり、ひどくなると脳梗塞を起こして死に至ることもあります。 |
* 脳を貫いていく血管が動脈硬化の結果、裂けて、脳の組織の中に直接出血し、直接脳の細胞を破壊したり、周囲の脳を圧迫したりして、その部分の脳の働きをこわしてしまいます。
* 出血の原因は、高血圧あるいは動脈硬化によって、もろくなった血管が裂けることが最も多いと報告されています。一般に、高血圧性脳内出血とよばれています。
* 出血した場所によって、また出血量、すなわち出血した血液の固まり(血腫)の大きさによって、さまざまな症状が出現します。症状だけでは脳梗塞と区別がつきません。脳内出血は、半身麻痺や言語障害などの重度な後遺症が残ることが多く、社会復帰を困難にさせ、日常生活でも介助が必要とされる場合が多いのが大きな問題点です。
* 大脳基底核部(被殻や視床と呼ばれるところ)という大脳深部の細い血管からの出血が、約80%を占めます。この部位に出血すると、出血側と反対側の半身麻痺が出現します。その他には、小脳や脳幹部にも出血が起こります。
* 脳内出血は予防がもっとも大事です。 |