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Essay
武田病院グループ創立45周年を迎えて

武田病院グループ 会長

武田 隆男

 

武田病院グループは、今年、創立以来45周年を迎えました。
グループ病院としてこれまでに発展し、地域の皆さまの健康増進と、地域医療の質的向上に貢献できますこと嬉しく思います。
ひとえに、職員の皆さんの医療に注ぐ情熱と、グループの基本理念である「思いやりの心」のもと、患者さんに安心・安全で、確実な治療を、実践していただいたからこそと思っています。
心よりの御礼と引き続いての尽力をお願いするところです。

思い返してみますと、昭和36年に副理事長が夜間診療所をはじめました。私も週に数日はそこで働くようになりました。昼間は大学での臨床と研究、夜は診療所で近隣の患者さんを診る生活が続きました。大学での仕事のかたわら、診療所の医者として駆け回る日々を過ごすうちに「自分がなんとかしなければ」と思う場面に遭遇いたしました。クリニックだけをしていると、往診にいって悲哀を味わうことがありました。いまでいう、後送病院、救急搬送は殆んど期待できませんでした。自分で病院をつくるしかない。それも、クリニックの良さと病院の良さをミックスしたような施設。24時間通して、ある程度の検査や処置ができ、それでいて患者さんのところに気軽に往診もするというような病院をつくりたいと思いました。
理想の地域医療への第一歩は、昭和45年10月、41床の武田病院スタートでした。こうなりますと、自分達の力だけではやってはいけません。いいドクター、いいナース、いいコ・メディカル、しっかりした事務方がそろっていないと理想に近づくことはできません。その点では非常に恵まれていたと思っています。いい人材がそろえば、患者さんも集まる。患者さんが増えれば、無理な拡張・拡大に走るまでも無く、内からの自然な力で発展していくことができる。いい病院と評価されるようになれば、また、いい人材が集まり、患者さんが増えてと好循環となります。
その内、ベッドが足りなくなって増床し、血液透析や第二武田病院を開設、また更に増床といった形で、増改築による拡大をしたり診療機能によって病院を分けたり。それが、30年あまり続いてきました。この間、良い職員に恵まれたことは、いうまでもありませんが、良き後継者に恵まれたことも、グループの発展の大きな要因だと思っています。

そして、初心を忘れず、思いやりのこころ、患者さんの立場に立っての気持ちを常に大切にしてきました。昭和36年に診療所を開くとき、その当時は町屋を改造しただけの格子戸をくぐって入るような診療所が殆んどでしたが、1枚ガラスのドアをつかったり、病院に多い白一色の外壁はやめて、薄いグリーンにしたり、BGMを流す設備も取り入れ、少しでも患者さんが和める雰囲気を醸し出す工夫をしました。また、診療面でも心臓病の検査や治療を24時間いつでもできる体制を作り、ICUとCCUをミックスした当時はほとんどなかったICCUを開設しました。また、侵襲性の少ない治療を取り入れることも積極的におこないました。非常に高額な結石破砕装置を西日本ではじめて導入しました。また、日本では殆んど行われていなかった腹腔鏡手術をフランスにて習得し、いち早く手がけました。医療人にとって、常に、患者さんおよびその家族の立場に立って行動することが、思いやりのこころだと思います。

21世紀に入り、国は財源のみを重視した、医療制度改革や診療報酬改定を打ち出しています。病院団体などの調査結果では、赤字病院が増えていると言われています。以前より診療報酬は、病院を運営する必要最小限のぎりぎりの線で決められていました。今回の改定は、患者さん、医療人ともに近未来の医療に不安を抱くような改定であったと言っても過言ではないでしょう。
社会は目まぐるしく変わっていきます。その都度、国の医療・福祉政策も激しく、それも財政重視の政策へと変わります。しかし、医療・福祉は国民のために欠くことはできません。どのように社会が変わろうとも、国民が安心できる、思いやりの心に基づいた医療・福祉が存続できるような政策を切望します。
これからも、グループの理念である「思いやりの心」を忘れず、理事長のもと地域医療・福祉への更なる貢献を期待します。


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