| 医療を提供する側と受け取る側には、埋まることのない溝があります。この溝をつなぐ立場にあるのがメディアでありますが、現在メディアの報道はその逆効果を呈し、かえって不安を煽ぐような立場にあり、メディアがネガティブな報道を流すことによって、不安がつのると云うことになります。
医師の説明が足りないと云うことから、インフォームドコンセントが設けられ、義務化されました。それでもトラブルが発生して居ります。最近は、セカンド・オピニオンも行われるようになりました。少子、高齢化の進む中、病気の種類も変ってまいりました。加齢と共に誰しも避けて通れないところも御座居ます。おのずから世間の関心は健康問題に集中して来て居ります。
そして、更に拍車をかけるのが報道です。良くも悪くもメディアが、とりあげると、その影響は大となります。
医療事故のみでなく高齢化社会に関しても老人問題をよくとりあげて居ります。毎年、敬老の日が近づいてまいりますと、世界一長寿国・日本 特に女性は世界一と発表され、長寿を祝福いたしますが、一方で若者が少ない人数で高齢者を支えて行かねばならないとか、老人に医療費が多くかかるので補助金を削減するとか、まるで長生きしているのが悪いように、社会に負担がかかるように書きたてます。医療機関のランキングなども、とりあげて居りますが症例数に基づくものとか、名医個人に基づくものであり不充分なデーターによるものが多々あります。
現に私共の武田病院グループでは日常行われて居るものを他施設で、あたかも最新のもののように報じたりして居ることがあります。無責任なものでも活字の力は強いものです。
昔は考えられなかったような高度先進医療が行われる時代になりました。生体移植、脳死下移植等、驚くべき医療が行われて居ります。悪くなったところは切り捨てて新しいものと交換すると云った、まるで人間縫製のようなことが行われる時代になりました。
人生80年と云われたのは、もう昔のこと。今や人生100年時代となりました。人間は120才迄生きられると云われて居りますが、それに次第に近づいてまいりました。しかし、ただ生きるだけ、生かされて居るだけでは、つまりません。身も心も更に社会的にも健康でなければなりません。
最近、元気なお年寄りが増えて来たことはよろこばしいことで御座居ます。更にその技を活かして、生産者側に廻っていただける方も多くなりました。ところが少子化対策の方は遅々として進みません。とうとう出生率1.25と落ち込んでまいりました。歯止めのかからない少子化の進行により、我国は早々と人口減少時代を迎え今後の経済社会に大きな影響を及ぼすことが懸念されて居ります。子供をつくらない人も多くなり、女性は子供を産む義務があると云う自覚を持って頂くことが第一です。少子化政策が行われるようになりましたが、今後は子供を産む産婦人科が無いところが出てまいりました。産婦人科、小児科の医師は24時間頑張っていても報われないのが現状なのです。そして、ミスばかりが活字になります。これではやって行こうと云う医師は減る一方です。歯止めのかからない少子化に対し、いろいろの政策が打ち出されては居りますが、今一つと云ったところです。このまま進みますと、外国からの働き手に力を借りなければやって行けない時代が来るかも知れません。
この問題に関しましては、医療界以外のところで検討されるところでしょう。
私共医師に今、出来ることは、生まれて来た子供を大切に育てることでしょう。如何にして上手に育てて行くか、と云うことに力を入れて行かねばなりません。低年齢化する強悪犯罪に対し、教育を根本から見直して行くべき時に来ていると思います。
先ず第一歩は家庭の教育からと云うことになります。
子供を抱きしめること、そしてよくお話をすることです。ひとりっ子時代となった今は、はやくから集団生活に入れることです。京都市には中学校と老人施設・保育園が共存する 御池創生館 が誕生いたしました。核家族化の時代にとりましては、とてもよい考え方と存じます。
それにしても保育園の充実が先決問題ではないでしょうか!
新しい政権のもと、日本人に産まれて来てよかったと云える日の来ることを念じて居ります。
|