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Essay
まさに正念場の医療界

武田病院グループ会長
武田 隆男

 

タイトルにもありますとおり現在、わが国の医療界は正念場を迎えているといっても過言ではありません。病院としての経営基盤整備というよりも、存続そのものを危うくしかねないものである急性期および療養型への病院機能のシフトは、これまでのところ、ほぼ国の思惑通りに進んできました。混合診療の自由化をはじめとした病院経営の市場化や、医療費の削減策など、病院の存亡を左右しかねない施策は今後も推進されていくことが予想されます。この現状に立ち向かっていくために、私ども病院運営に当たる者としましては、「時代の変化を敏感に読み取り、的確な対応策を打ち出す」ことが舵取り役としての責務であると認識を新たにしているところであります。

厚生労働省は「医療提供体制の改革のビジョン」に従って、医療界に対して様々な方針や対策を示しております。この8月には、病院や診療所を経営する医療法人の制度改革案をまとめました。 この中心は小児救急など公益性の高い医療を手がける「認定医療法人」制度を導入しようとするもので、地域住民の経営参加や情報開示の拡充、透明な経営と非営利性を徹底すれば、税制面の優遇や公募債による資金調達などを認めるようにするとしています。
医療法人の制度改革案には株式会社による病院経営への参入解禁論(病院経営の市場化)をかわす狙いも含まれると見ることができますが、小泉純一郎首相は構造改革の旗印の下、医療改革に消極的な厚生労働省の専門委員会について、医療側の代表者を「利害代表で排除すべき」といった極論を度々発しております。この現状の中、委員会や厚労省がどこまで頑張り通せるか、疑問の向きがあることも事実です。

何よりも、小泉首相は昨年9月の経済財政諮問会議において、これまで日本医師会や厚生労働省などが、根強く反対しつづけてきた混合診療について、「必要だという議論と、これに反対する議論が長年行われている」という見解を示し、「年内に解禁する方向で結論を出してほしい」と述べたという記事が主要新聞紙上に一斉に掲載されました。今のところ、郵政民営化一本槍で突き進んでいる政治情勢もあって、年内に即、混合診療に手がつけられる状態ではないとはいえ、この1、2年のうちに具体化されていくことに違いありません。

病院、診療所経営の活性化を考えた場合、一部、混合診療の自由化はやむを得ないものと自覚してはいるものの、これによって医療界がこれまで守り通してきた「誰もが等しく、安価に受けられる日本の医療制度」の一角が崩れることとなり、日本の医療は新たな局面に突入していくことになると考えます。
こういった厳しい医療行政が断行されている最中にはありますが、私ども武田病院グループでは今後も、地域医療の発展と住民の皆様方の健康増進のために、懸命にまい進していく考えです。

「たけだ通信」今号でもお知らせしておりますように、医道会十条病院を「十条リハビリテーション病院」に、大羽記念病院を「稲荷山病院」として、それぞれ機能分担をさせました。
また、今年9月1日より、新たに京都専売病院を「東山武田病院」として運営することにもなりました。東山地域では今年4月に、京都府洛東病院が閉院になりました。地域住民の皆様の間では、近隣の2つの病院が同時期になくなってしまうのではないかと不安視されておられる向きもございましたが、武田病院グループでは東山武田病院を基幹病院の一つとして位置づけ、さらに充実させてまいる所存です。

平成19年には、宇治武田病院の新築移転も予定いたしております。さらに移転を機に、総合福祉施設の併設も計画しており、これによって、地域の高齢者の方々には高度医療を提供できる病院が間近にある環境下で、安心して療養生活を送っていただけるものと考えております。
私は、グループ内の病院や福祉施設の数多くの誕生は、病院運営の磐石化というよりも、地域の皆様方の熱いご支持を受けてきました結果であると思っております。
今後とも地域の皆様方の医療環境の整備と充実、安心して治療を受けていただき、そして療養を続けていただけるよう努力を重ねてまいる決意でおります。
厳しいご叱責、ご提案などお聞かせ願えれば幸甚です。よろしくお願い申し上げます。

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