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アスニー山科講座

アスニー山科(JR山科駅前)では、武田病院グループスタッフによる講座を開催しています。 このページでは、開催された講座内容を掲載しておりますのでご利用ください。

アスニー山科2006年10月25日(水) 顔写真
武田総合病院 皮膚科医長 松井 美萌
「身近な皮膚のトラブル」

▽ 皮脂欠乏性皮膚炎、老人性乾皮症

皮膚がカサカサする、手が荒れる、かゆい、特に足のすねなどが乾燥する。体の中でも脂っぽい場所(眉毛、鼻など)は問題ないが、もともと脂の少ない部分が乾燥してくる。
皮膚の表面には皮脂膜、角質細胞物質、天然保湿因子などがあり、バリアとなって皮膚の潤いや水分を保っているが、年齢を重ねるにつれて、これらの力が低下し、保湿を維持できなくなる。また、現代はどんな場所でも冷暖房が完備されており、常に乾燥しやすい状態も一因。若い人でも寒い季節になると乾燥肌という人も多い。
治療法としては、保湿作用のある塗り薬や、かゆみがあればステロイドの入った薬を使うのが一般的。部屋の温度など環境に考慮し、着るものの材質にも注意する。

※ 乾燥だけが原因ではない!
皮膚にぶつぶつなどができずに、かゆい状態では、肝臓や腎臓、血液の病気、悪性疾患、糖尿病などが原因であることもある。また、ストレスにより、特に異常もないのにかゆみがでることも。

▽ アトピー性皮膚炎

子供の病気と思われがちですが、最近では思春期以降に発症する成人型アトピー性皮膚炎も増えている。最近では、天然の保湿因子を作る遺伝子の異常があることも報告されている。遺伝的な体質(アレルギー体質や過敏肌、乾燥肌)に、環境因子〔アレルギー要因(ダニ、花粉、食物など)、非アレルギー要因(汗、ストレス、引っ掻くなど)〕が合わさって、発症すると言われている。
治療としては、まず清潔と保湿!炎症(皮膚炎)を生じていれば、症状に応じた治療が必要。ステロイド軟膏や保湿剤、タクロリムス軟膏、内服薬を適切な量使用する。完治や体質改善を目指すのではなく、80%症状を抑えて、日常生活に支障がなければよいという気持ちでいることが大切。

※ アトピーの治療法について
量を間違えると副作用がでるので注意が必要であるが、ステロイドは上手に使えばきちんと効果のでる薬。情報に流されてステロイドを使わないという方も中にはいるが、適切に使えば問題はない。
また、アトピーの子供がいると親が自分を責めたりすることがあるが、アトピーは病気のひとつ。食物アレルギーだからといって食事制限が必要なのは、ほとんどの場合幼児期なので、「上手に治療していい状態を保とう」という気持ちで治療を進めていくことが大事。

■皮膚の乾燥を防ぐ生活の注意点
○ 入浴は40℃くらいのお湯で、長湯はしない。体を洗うときはナイロンタオルを使わず、くたくたになった木綿のタオルを使う。乾燥がひどい場合は脂っぽい部分だけ泡立てて洗う程度でもよい。
○ 衣類は木綿の洗いざらしの柔らかいものがよい。化繊や毛などが直接皮膚に当たらないようにする。柔軟剤など化学物質が苦手な方は控えるようにする。
○ 食事ではアルコールや香辛料は控えめに。脂質を適度に取る。
○ 暖房は室内が乾燥しない程度にし、電気毛布は電源を入れっぱなしにしない。

▽脂漏性皮膚炎(オイリースキン)

乾燥だけでなくオイリースキンの患者さんも多い。脂っぽい眉毛や鼻、下顎、頭皮などにしっしんができる。人間は性別に関係なく、男性ホルモン、女性ホルモンの両方を持っているが、男性ホルモンが多いと脂っぽい状態になる。高校生の男子は肌がごつごつしていてニキビが多いが、これは男性ホルモンの働き。反対に女子の肌がきめ細かくてしっとりしているのは女性ホルモンの働きによる。青年期以降、男性では70歳くらいまで皮脂分泌能は低下しない。
治療としては、かゆみ止めやビタミンB2、B6などの内服、外用剤ではステロイドや抗真菌剤。食生活ではアルコールや高カロリーのもの、甘いものの過剰摂取に注意する。

※ニキビはできなくても……
中年以降の女性で皮膚の下にころころとした脂肪成分ができることがある。脂肪成分を取る事で治療が可能。

▽しみ、しわ、いぼ

最も多いのは老人性色素斑(しみ)で、日光の当たりやすい部分にできる。紫外線のUVAは波長が長く皮膚の下まで入り込み、UVBは波長が短く皮膚の表面に傷をつけて皮膚がん発症の原因になっていると言われている。皮膚は長い年月の変化を蓄積していくため、子供のころから紫外線を避けるようにしてあげることが大切。
盛り上がった老人性のいぼには液体窒素が効果的。レーザー治療なども行われているが、ある程度熟練した医師に行ってもらう方がよい。また、肌を白くする薬剤を直接塗布する方法もある。

■ 日本人の肌のタイプ
(1)色白で日光に当たるとすぐ赤くなり、褐色にならない。紫外線に弱い。
(2)日光に当たると少し赤くなりやがて褐色になる。日本人に最も多いタイプ。
(3)元々色黒で日光に当たるとすぐ黒くなる。皮膚の防御機能が高いタイプ。

自分の肌の色を見るには、二の腕の裏で判断するのがよい。男女関係なく色白の方は紫外線に弱いので、特に注意が必要。女性は紫外線に対する意識も強く、化粧品などに紫外線防止剤が含まれている場合が多いが、男性は紫外線に対する意識が弱く無防備なので、色白の方はゴルフや海水浴の際は特に注意する。無防備なままでは将来的に背中にしみやいぼがたくさんできてしまう。

▽水虫
日本人の4人に1人が水虫といわれる。特効薬はないとされていたが、最近では塗り薬や内服液で治るようになった。カビの一種である白癬菌(はくせんきん)が栄養のあるところを好んで生息してしまう。指の間に発生するタイプや、水疱ができるもの、足の裏がカサカサするものなどいろいろある。足の裏がカサカサするタイプは老化現象だと思う方が多いが実は水虫。また、水虫に似ている病気として掌蹠膿疱症性(しょうせきのうほうしょう)がある。水虫に似ているため診断が難しく、手足に水疱ができ、関節が痛むのが特徴。原因がはっきりしていないため治療しにくい病気。水虫は必ず患部に菌がいるので適切な治療で治癒が可能。
水虫は周囲に感染するため注意が必要。家に一人水虫の人がいると、トイレのスリッパやバスマットを介して家族にうつることが多い。薬を塗れば菌は死滅するので早めの治療が大切。また、かゆい水虫をひっかいて傷を作り、そのまま靴を一日履いて生活すると傷口から菌が入り、入院するような症状にまでなることもある。糖尿病の方では患部が潰瘍になることがあり、小さな傷でも注意が必要。
ブーツや革靴など足が湿った状態だと菌が繁殖しやすいので、靴が脱げるときは裸足か通気性のよい靴に履き替えるようにする。お風呂屋さんなど公共の施設を使った際には水虫菌をもらうことがあるので、足を清潔に乾かす。
▽帯状疱疹
腰が痛い、赤いぶつぶつができるという症状がでる。小児で感染した水疱瘡のウイルスが脊髄に潜伏し、長期間を経てストレスなどをきっかけに活動を始め、皮膚炎や神経炎を起こす。症状は内服や注射などで治るが、高齢であれば神経痛が残ることがある。早めの治療が大切。
▽ヘルペス
顔などに水疱ができる。あまり広範囲にわたるヘルペスの場合、大腸がんなどを患っていることがある。単純ヘルペスを頻繁に繰り返していると、やはり他の疾患が原因である場合がある。
▽やけど
【熱傷】老人や子供に多い。熱湯をこぼしたり、油に引火したりした場合、反射的に避けることができず重傷化してしまう。広範囲に及ぶと大きな手術が必要になる。子供では、テーブルの上のカップラーメンをこぼしたり、コーヒーをこぼしたり、ホットプレートに触れる、蛇口を触れるなどがある。成人では、料理をする際に、油を使うときは燃えやすい服を着ないという工夫も必要。
【低温やけど】熱傷の深さは、温度×時間。50℃程度のヒーターの前でうたた寝し、長時間当たっているとやけどが深くなり、他の部分から皮膚を移植しなければならないほどの重傷になる。
▽床ずれ(褥そう)
寝たきりなどで、自分の体圧でできる皮膚の障害。よくできるのは臀部、仙骨部、かかとなど。赤みやびらん、潰瘍、壊死などに進行し、菌がつくと熱がでることもある。ヤセ型で骨が突出した体型や、栄養状態が悪い方、自分では動けない人がなりやすい。下痢をした後の皮膚が弱り、そのまま床ずれになる方も。最近では病院では対策が取られているので、自宅療養されている方に多い。予防としては、ウレタン性のマットレスを敷く、低栄養を改善する、皮膚は清潔にしっとりさせておく。軽い床ずれだからといって放置しない。

《まとめ》

食生活を改善し、禁煙を。紫外線は皮膚の老化を早めるので日焼けに注意する。機能の高い保湿剤を使用し、しっとり保湿を心がける。寝ている間は全身に血液がいきわたるので、栄養を体中に行き渡らせるためにも早く休んで、規則正しい生活を心がける。

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