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アスニー山科講座

アスニー山科(JR山科駅前)では、武田病院グループスタッフによる講座を開催しています。 このページでは、開催された講座内容を掲載しておりますのでご利用ください。

アスニー山科2006年8月30日(水) 顔写真
武田総合病院 副院長 大野 仁嗣
「リンパ腺が腫れる病気」

▽リンパとは

体の表面から触れられるものは、頸部、腋窩、そけい部にある。リンパ節はそら豆のような形をしており、それぞれ管でつながっている(リンパ管)。動脈や静脈に隣接して存在する。体の中心にある胸管へリンパ液が集まり、最終的には静脈へ流れ込む構造。

○リンパ球とは
〈T細胞〉……免疫応答の調節、液性因子(サイトカインなど)の産生、標的細胞の直接的な障害作用、ヘルパーT細胞、サプレッサーT細胞、キラーT細胞
〈B細胞〉……抗体の産生
〈NK(ナチュラルキラー)細胞〉……ある種の標的細胞を非特異的に障害する

○リンパ臓器・リンパ組織・リンパ装置
・ 一次リンパ臓器(器官)……胸腺(T細胞)、骨髄(B細胞)
・ 二次リンパ臓器(器官)……リンパ腺(節)、扁桃腺(ワルダイエル輪・環)、脾臓、消化管粘膜、パイエル板

●くびのリンパ節(腺)が腫れる病気
・感染症……細菌感染症(ブドウ球菌、溶連菌など:化膿性リンパ節炎)、ウイルス感染症(風疹、EBウイルスなど)、結核菌感染症(結核性リンパ節炎)
・ 原因不明のリンパ節炎……壊死性リンパ節炎(菊池氏病)。20〜30歳代の女性に好発し、リンパ節腫れは片側性であることが多い。
・ 腫瘍……がんの転移、悪性リンパ腫(ホジキン病、非ホジキンリンパ腫)

■悪性リンパ腫は、まず2種類に大別します■

発症頻度は10万人中、男性10.5人、女性7.6人。1年間に約1万人の新規患者が発生する。悪性リンパ腫はホジキン病(ホジキンリンパ腫)と非ホジキンリンパ腫に大別されるが、前者は全悪性リンパ腫の5〜10%を占めるに過ぎず、後者が大半を占める。

●ホジキン病
1832年、Thomas Hodgkin がホジキン病を記載。ホジキン病(リンパ腫)の病理分類では、結節硬化型が最も多い。病期は1期(1つのリンパ節領域に限局)、2期(2つ以上のリンパ節領域がおかされるが、横隔膜を境にどちらかに限局)、3期(横隔膜の両側にまたがりリンパ節領域がおかされる)、4期(リンパ節以外の臓器がびまん性または散布性におかされる)に分けられる。治療としては、限局病期では放射線治療、進行病期では化学療法を行う。放射線治療では近年、広範囲に照射しないようになっている。化学療法ではABVD療法が一般的であり、60%くらいの方が治る。

●非ホジキンリンパ腫
多くの病型の集まりで、病態や治療法はそれぞれ異なる。PET-CTという検査機器(武田病院画像センターに設置)は、病期も判別できるので悪性リンパ腫診断に欠かせなくなっている。非ホジキンリンパ腫の分類としては、B細胞性リンパ腫(80〜90%)、半年から年単位で進行する低悪性度リンパ腫、月単位で進行する中悪性度リンパ腫、週単位で進行する高悪性度リンパ腫、T細胞リンパ腫(10〜20%)がある。濾胞性リンパ腫は化学療法では治癒する可能性が低いので、治療の開始には慎重でなければならない。中悪性度リンパ腫は化学療法での治癒が期待できるので、速やかに治療を開始する。1974年に始まったCHOP療法が現在でも有効で、新しい治療法がいくつか開発されたが、これにまさるプロトコルはない。しかし、最近、リツキシマブ(リツキサン)という新薬が登場し、CD20陽性のB細胞リンパ腫に限って有効。R-CHOP療法が新たに考案された。

● リスクグループ
「Performance status(PS)」とは、医師が見た患者の第一印象。これによってグレードを分けたもの。
 0……無症状で社会生活ができ、制限を受けることなく発病前と同等に振る舞える。
 1……軽症の症状があり、肉体労働は制限を受けるが、歩行、軽労働や座業はできる。たとえば軽い家事、事務など。
 2……歩行や身の回りのことはできるが、時に少し介助がいることもある。軽労働はできないが、日中の50%以上は起居している。
 3……身の回りのある程度のことはできるが、しばしば介助がいり、日中の50%以上は就寝している。
 4……身の回りのこともできず、常に介助がいり、終日就床を必要としている。

●年齢などほかのリスクも組み合わせて考え、治療法を選択する。
びまん性大細胞型B細胞リンパ腫に対して選択すべき治療法としては、1期、2期の限局期で巨大腫瘍を伴わない場合、R-CHOPを3〜4コースと局所放射線照射。限局期でも巨大腫瘍を伴う場合や、進行期(3、4期)でIPI-LまたはLIの方は、R-CHOPを6〜8コース。巨大腫瘍には化学療法終了後に放射線照射を追加。IPI-HIまたはHの方には、若年者では、高用量化学療法を初回治療に組み込んだプロトコールを計画。

●再発・治療抵抗性の患者さんに対して実施する治療法
自家造血幹細胞移植を併用した高容量化学療法として、自分自身の造血幹細胞を冷凍保存しておく方法や、大量(致死量)の抗腫瘍剤を投与したり、保存しておいた自分自身の造血幹細胞を移植する(戻す)方法がある。同種造血幹細胞移植では、移植前処置を行い、適合ドナー(同胞、骨髄バンクドナー)から造血幹細胞を摂取し、患者に移植する。免疫反応(移植片対宿主病)をコントロールする。

■造血幹細胞とは■
赤血球、白血球、血小板の3つの血球に分化する能力があり、骨髄、末梢血、臍帯血から摂取する。同種免疫とは、移植片が造血幹細胞だけでなく、多くの免疫担当細胞(リンパ球)を含んでおり、移植片対腫瘍効果によって腫瘍を治癒に導く。ミニ移植とは、前処理を軽減した移植法で、正式には「骨髄非破壊的造血幹細胞移植」と呼ばれ、治療関連毒性が低いので、高齢の患者さんにも実施することができます。
■サマリー■
リンパ節(腺)は、細菌感染、ウイルス感染、がんの転移などの様々な原因で腫脹。悪性リンパ腫はリンパ節腫脹をきたす最も重要な病気。ホジキン病と非ホジキンリンパ腫に大別される。低悪性度リンパ腫の治療開始は慎重に判断。中悪性度リンパ腫は化学療法で治癒する可能性のある病気。難治性の患者さんに対しては同種造血幹細胞移植が試みられている。

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