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アスニー山科講座

アスニー山科(JR山科駅前)では、武田病院グループスタッフによる講座を開催しています。 このページでは、開催された講座内容を掲載しておりますのでご利用ください。

アスニー山科 2006年7月26日 顔写真
武田総合病院 歯科口腔外科医長
藤澤 徹
「口の健康」

●口の中に生じる様々な疾患
良性腫瘍(線維腫、乳頭腫、エナメル上皮腫など)、 嚢胞性疾患(濾胞性歯嚢胞、歯根嚢胞など)、炎症性疾患(膿腫など)、顎関節疾患(顎関節症)、粘膜疾患(白板症、扁平苔など)、外傷(骨折、歯の脱臼など)、疼痛(三叉神経痛、舌咽神経痛、舌痛症など)
●親知らず(8番目の歯)の抜歯

粘膜骨膜の剥離(粘膜を切る)→骨の切削→歯冠分割(骨を割って抜く)→歯根分割→歯の脱臼→抜歯窩(抜いた所に穴ができる)→縫合(自然と穴が塞がる)
※親知らずは噛み合わせがきっちりできていれば悪いものではない。親知らずを抜いて、他の歯として移植もできるが、10〜15年しかもたない。

▼日本人の死因
1位・悪性新生物、2位・心疾患、3位・脳血管疾患、4位・肺炎

●口腔がん

全がんに対する口腔がんの割合は1〜3%程度。頭頸部がんのうち、口腔がんが約35%、上頸洞がんが約9%。年齢では、50歳代で約25%、60歳代で約30%。男女比は約2:1。外来性の原因ではタバコなどがあげられ、噛みタバコの習慣が残るインドでは口腔がんが多い。口の中にできるがんとしては、口唇がん、頬粘膜がん、上下歯肉がん、硬口蓋がん、舌がんなど。上顎口蓋部腫瘍、頬粘膜腫瘍などは、口内炎ができて1週間治らないときは専門医へ。上顎歯肉がん、エプーリス(歯根膜からできている良性の腫瘍)、最初小さく数年かけて大きくなる舌線維腫、骨が薄くなり悪化すると歯を抜かなければならない嚢胞性疾患などもある。

▼口と全身疾患の関わり
口は最初の消化管であり、口腔衛生と全身疾患の関係が言われている。近年では歯周炎が冠動脈疾患に影響しているという説もある。口腔衛生状態が悪い人は1.3倍、心筋梗塞になりやすいと言われている。歯周病患者はそうでない人に比べ、25%冠状動脈疾患、心臓病にかかる危険性が増えるというデータも。

●心臓弁膜症と歯科治療

弁膜症患者の歯科治療に際しての注意点。
感染症心内膜炎で、血栓予防目的で投与されている抗凝固剤や抗血小板剤などの抗血剤(ワーファリン、バイアスピリン)によって二次的に起る出血性問題。弁膜症患者において発症する感染性心内膜炎の感染源として、歯科治療の占める割合が大きいと言われている。特に人工弁置換手術を施行された方は重篤な心内膜炎を起こしやすいので、歯科治療に際し、感染予防が大事。

●感染性心内膜炎の罹患
基礎心疾患があるとことが多い。何らかの原因で一過性の菌血症を起こす。菌血症の原因菌が心機能異常に着床。感染性心内膜炎を引き起こす可能性のある治療としては、外科的処置(抜歯、膿腫切開、歯周外科)、歯周処置(ポケット測定など)、補綴処置、歯肉処置。

▼歯周疾患って何?
骨が溶ける病気。骨が徐々にやせる。歯周病は数種の口腔細菌が歯肉溝に定着し、歯肉組織に炎症を引き起こす。

▼口の健康と肺炎の関わり
肺炎の原因となっている細菌は口から入る。かぜをひいてのどに炎症を起こすと、抵抗力が落ちて肺に菌が入ってしまい肺炎に。肺炎患者の96%以上が65歳以上。その他にも、脳血管障害になって、咳反射や嚥下反射ができなくなり、誤嚥することで肺炎に。(不顕性誤嚥)。ある特別養護老人ホームで1年半の口腔ケアを実施したところ、口内細菌の減少、発熱の減少、歯肉炎や炎症の減少、口臭の減少がみられた。

○口腔ケアって?
(1)口の衛生や義歯の取扱い(2)口腔清掃(入れ歯、粘膜、舌、のどの清掃)(3)炎症・潰瘍の処置(4)薬物の応用と消毒(5)表情筋のマッサージ(6)嚥下練習(7)自立支援

○ 誤嚥性肺炎の予防
(1)歯のある人が多い(隙間ができて、口が汚れやすくなる)(2)口腔内細菌を減少させるため、徹底したプラークコントロールを中心とする口腔ケアを実施する(3)口腔ケア時に口腔内細菌が気管内に入らないよう、うがい水や洗浄水の誤嚥に注意する(4)頻繁に誤嚥性肺炎を繰り返す場合、胃ろうを作り、経腸栄養に切り替える


▼口の栄養と糖尿病
糖尿病は歯科疾患を悪化させる要因。原因は歯周病に対する病識があまりなく、放置してしまうこと。糖尿病患者に歯周病が多いのは、唾液の減少により口内が乾燥することや、白血球の機能低下などが原因。唾液は洗浄作用や抗菌作用、緩衝作用、粘膜保護作用などいろいろな機能を持つ。この唾液が汚れていると誤嚥性肺炎に。

【歯周病予防のために】
●食後30分以内に歯を磨く●歯肉が痛かったり出血したりしても歯磨きを●よく噛む、唾液量を増やす●歯垢ができにくい食物繊維を取る●かかりつけ歯科医を持ち、年一回の検診を●毎食後の歯磨きを
※高齢社会を迎え、口腔ケアの施行が重要。口腔ケアはいろいろな疾患に関わりがある。

●口腔ケアの目標
局所的、全身的な感染症を予防することが一番の目標。全身的な疾患を悪化させるので口腔ケアは重要。歯垢をいかに少なく、清潔に保つかがポイント。時間と回数は人それぞれで、汚くなっていれば何度も口腔ケアを。歯垢が付いた部位を意識した口腔ケアが重要で、歯と歯の間、奥、舌の苔(舌苔・ぜったい)も。歯垢を取った後は、十分に水で洗浄・吸引し、清潔な時間を長く保てるように。歯ブラシのあて方は、歯ブラシを歯に対して90度の角度で毛先を歯肉と歯の境目に向けてあてる。歯ブラシの毛先は軽くあてる。角度は90度に保ったまま小刻みに動かす。歯の奥、裏などもたてに磨く。入れ歯も毎食後きれいに。

<おわりに>
元気な方は歯も歯茎も丈夫。歯が健康であればいろいろな病気にもかかりにくくなるといわれており、歯科医として口腔ケアをできればと思います。

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