▽心臓
心臓は全身に血液を送るポンプ → 容量は100cc。握りこぶし大。胸の中央に位置する。
大動脈に血液を送っており、全身の動脈に乗せて体中にくまなく血液を送ることができる。
健康な人で1分間に5リットルほどの血液を送る。
心臓……右心房・右心室、左心房・左心室の4つに分かれる
<血液の流れ>
全身から返ってきた血液は右心房に入る → 右心室 → 肺動脈 → 肺で血液を浄化→ 左心房 → 左心室 → 大動脈 → 全身へ
・動脈血はまず心臓自体に血液を送る……冠状動脈(心臓が冠をかぶったようにみえることから名づけられた)
●心臓は「終動脈」
全身の動脈は“保険のルート"を持っている。
手のひらの血管は、手のひらの中でループを作っており、一方が詰まっても、もう一方の動脈から血液が送られるようにできている。
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しかし、心臓だけは“保険のルート"がない → 終動脈
その血管が詰まってしまうと、血流が止まってしまう。
※お腹には大きな血管が3つあるが、そのうち大腸にいく血管が詰まっていることが多い。しかし、ほかの血管から血液が送られているため症状はでない。
▼急性心筋梗塞
冠状動脈の急性閉塞で血流が完全に止まり、心臓の筋肉が壊死(えし)してしまう状態。
左冠状動脈前下行枝に多く、(左室)前壁中隔梗塞が多い。
血管の急性閉塞がなければ起こらない。
・血管の急性閉塞
突然血管が詰まった時にだけ、心筋梗塞は起こる
※動脈硬化により狭くなった血管でも、心筋梗塞は起こらない。(狭心症は起こりうる)
心臓の動脈は終動脈であるが、血流がゆっくり詰まってくると、毛細血管が天然のバイパスを作りなんとか心臓の筋肉を守ろうとするため。血栓が詰まることで心筋梗塞は起こる。
<症状>
突然起こる胸痛(全体の80%)
20%の人は胸痛が起こらず、胸が重苦しいなどの症状を訴える人も。しかし、共通しているのは冷や汗が出る、吐き気がすること。
<危険因子>
高血圧、高コレステロール、喫煙、糖尿病、高尿酸血症、A型人間など。(危険因子はどんどん増えている)
●急性心筋梗塞が起こるまで
・アテローム硬化(動脈硬化)が進み、血管の内腔が狭くなり、あるとき血栓などが原因で突然血流が詰まって発症。心臓の筋肉が壊死してしまう。
・血管がけいれんを起こし、血流を遮断してしまう。(不整脈にならない限りニトログリセリンで対処可能)
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アテローム硬化による心筋梗塞の人は20%の人が命を落としてしまう。
●動脈硬化と血管内狭窄
動脈は3層構造。
・一番内側(内皮)は血管を構成する細胞がレンガのように敷き詰められている
・中央は筋肉組織
・外側は繊維組織
血中LDL(最小のコレステロール構成脂質)が多くなると、血管内皮の下に入り込んでいく
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血管内皮の下には活性酸素が多い。しかし、血管内皮には活性酸素を分解できる酵素が少なく、血中LDLは酸化してしまう。(※活性酸素とは、体が酸素と糖でエネルギーを作る際に出てくる物質で、肝臓に多く存在するが、肝臓には活性酸素を分解する酵素があり問題はない)
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酸化した血中LDLは異物と判断され、単球が集まってくる。単球はウイルスなどを分解する細胞で、これがマクロファージという細胞に変化。そして血中LDLを取り込んでいく。
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マクロファージは脂肪を分解できないため、泡沫化細胞(脂肪を溜め込んだ大きな細胞)になる。
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マクロファージだけでは手が足りず、ほかの平滑筋細胞などを呼び、プラークを形成。炎症が起こる、粥腫(じゅくしゅ)という状態。
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血管内腔の狭窄
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血栓が流れてきて血管が詰まる
●動脈硬化と安定病変
!!!心筋梗塞は前駆症状の狭心症がないまま突然発症することがある!!!
プラークの量は心筋梗塞の発生率と関係ない。→ 安定病変かそうでないかが重要
・不安定病変……内皮が炎症し、アテロームが内皮を破ってしまう
・安定病変……内皮の炎症が治まり、繊維化が起こる。硬くなって破れなくなる
●粥腫の不安定化と破綻
破綻の引き金となるのは、ストレス、交感神経活性化、血圧上昇など。
月曜日の朝、入浴後などに多い。
●虚血性心疾患の分類
急性冠症候群(血栓が関与する心筋梗塞)
・不安定狭心症(血栓で血流が詰まったあと、
血流が流れ出し心筋梗塞にまでならない)
・急性心筋梗塞
※どちらも緊急的な治療が必要
<症状>
締め付けられるような激しい胸痛が30分以上続く。
背中、奥歯、みぞおちが痛むことも。冷や汗が出る。
ニトログリセリンは心筋梗塞には効果がない。
<検査>
心電図、エコー、採血
※陳急性心筋梗塞……心筋梗塞を起こして1カ月経って、心筋が壊死している状態。
心筋梗塞に気づかずに、心筋が壊死し、硬くなってしまっている。そのためカテーテル治療には技術を要する。
●心筋梗塞の急性期治療
胸痛があり冷や汗をかいている
→ 胸痛症候群(神経痛、筋肉痛など原因はさまざま)
→ 胸部三大疾患(心筋梗塞、大動脈かい離、肺塞栓)
・急性期治療の目的
心筋壊死進行の抑制、急性期合併症の回避、残存心筋の温存
・方法
血行再建(カテーテル治療)、心負荷軽減、全身のストレスの軽減
▼カテーテル治療
心筋梗塞の急性期治療に非常に効果的。
血栓が詰まっているところまでカテーテルを入れ、小さな風船を膨らまし、血管を押し広げる。→ 最近はステントという金属製のメッシュを入れて血管を広げる方法が用いられている。
ステントの方が合併症が少ない。
《カテーテルの特徴》
・血管狭窄後の再開通率は90%と良好
・残存狭窄が少ない
・再閉塞が少ない
※バイパス手術はほとんど行われていない。
狭窄を起こしている部位によってはバイパス手術が必要であるが、バイパス手術は人工心肺を使ううえ、時間もかかるためカテーテル治療が主流。
※血栓溶解療法
血栓を溶かしてしまう治療法。
国土の広い国では、近くにカテーテルを行う病院がない場合、よく行われる。しかし、血栓溶解剤を使うことで、別の部位で大出血を起こす危険性もある。また、危険な不整脈がでることも。→ カテーテルができる病院があれば、カテーテル治療を行うべき
●心筋梗塞後の合併症
・不整脈(心室細動)、心不全、ショック、心破裂、乳頭筋不全、心室瘤、心膜炎、心筋梗塞後症候群、脳卒中※不整脈は心筋梗塞発症後、2〜3日後の出現率は90%以上
!!!2度目の心筋梗塞は致命的!!!
急性期治療が終わったあとは、不整脈が起こらないよう厳重に様子をみていく。
数年を経ても、2度目の梗塞が起きる場合があるので、薬物治療など医師の指示に従って、根気よく続けることが重要である。
●心筋梗塞の予後
急性期予後を悪化させる因子は……ショック、心不全、重度不整脈、広範な梗塞、再梗塞、高度の血清酵素上昇、著明な心拡大、高齢
●薬物治療
・抗血栓療法……血小板療法、beta-遮断薬、ACE-i、アスピリン
・抗脂質療法
▼心臓リハビリ
心筋梗塞発症後、壊死した部分が修復されていく。
発症〜4日後……炎症期
〜8日後……炎症消退期
〜8日後……治癒過程開始期
●心臓リハビリの長所
1)身体的脱調節の防止
2)精神的、不安、抑うつの改善
3)血栓、塞栓症、無気肺など、臥床による合併症の予防
4)入院費用の軽減
※問題点
・きちんとしたスタッフがリハビリの指導をしなければ、リハビリ中に不整脈を発症する危険性がある
・心身状態の把握が不充分であった場合、予後の合併症の危険性
●心臓リハビリをしてはいけない人
・不安定狭心症
・慢性心不全
・コントロール不能の不整脈
・大動脈弁狭窄症
※※※心筋梗塞の危険因子※※※
・肥満
・家族歴
・喫煙
・高血圧
・耐糖能異常
・脂質以異常
以上の項目が重複すれば、心筋梗塞のリスクが高まる
●虚血性心疾患
日本人の死因第2位は心疾患。男性は60歳以上が最も多く、女性は70歳以上の高齢者が多い |