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アスニー山科講座

アスニー山科(JR山科駅前)では、武田病院グループスタッフによる講座を開催しています。 このページでは、開催された講座内容を掲載しておりますのでご利用ください。

2005年4月27日(水) 顔写真
武田総合病院 脳神経外科 部長
川西 昌浩
「骨粗しょう症について」

▼『骨粗しょう症』―長年の生活習慣で骨がスカスカになって、骨折しやすくなる

・骨の新陳代謝 たえず古い骨を壊し、つくり直している。一度できあがればそれで終わりというわけではない
・40歳以降は[骨をつくる量<骨を壊す量]となり、骨粗しょう症になりやすくなる
・骨粗しょう症となる原因―カルシウムの摂取不足、閉経後のホルモン不足
・骨粗しょう症は50歳前後を境に増加、70歳以上になると2人に1人の確率で発症
・「沈黙の病気」といわれ、まったく症状が出ないままに進行している
○骨粗しょう症は40代〜60代くらいまで、症状がでない。しかしやがて進行すると、背中や腰が痛くなり、背中が曲がってくる。悪化すると骨折し寝たきりの原因になってしまう
※寝たきり原因の第一位は脳梗塞。第二位あるいは第三位に骨折が入る
・どんな人に起こりやすいのか……閉経後の女性。高年齢の男性(生理の有無にかかわらず、高年齢になると骨は減るので発症しやすい)。若い人でも栄養・運動不足であったり、副腎ステロイド剤などの影響で骨粗しょう症になることがある
※長年の生活習慣が原因となることから、生活習慣病(高血圧や糖尿病など)のひとつと考えられている
・予防が大切……骨粗しょう症に一度かかると元の状態に戻すのは非常に難しくなる。年齢とともに必ず進行するので、予防が大事である。骨粗しょう症の予防は同時に、たくさんの生活習慣病の予防にもなる

骨を強くするには

1、食事、運動、日光浴
2、お薬
(何年もかけて減ってしまった骨を、いっぺんにもとに戻すのは困難)


1、食事、運動、日光浴

●食事―カルシウムの摂取が一番大事
日本人は世界のなかでもカルシウムの摂取量が少ない。食生活が原因といわれている
・牛乳をはじめとする乳製品
・豆腐や納豆などの大豆製品
・骨ごと食べられる小魚
・ひじき、わかめ、のりなどの海藻類
・緑の野菜
以上を意識して摂るようにする
○カルシウムの吸収率
牛乳・乳製品>大豆製品>小魚類>野菜
カルシウムを含む食品をたくさん摂っても吸収率は30%。ほとんどは尿で体外に出てしまう。乳製品を多く摂ることが必要
⇔とりすぎてはいけないもの……インスタント食品、清涼飲料水、スナック菓子など。これらを多く摂ると、なかに含まれるリンがカルシウムと結合して体外に出てしまう
※コーヒーも大量に飲むと、尿の量が増えてカルシウムの喪失につながる
・カルシウムのとりこみをよくするために……ビタミンDが大切。カルシウムの吸収を助ける。ビタミンDを多く含む食品は、さけ、さば、うなぎ、いわし、マグロ赤身

●運動
体は運動をやめるとあっという間に痩せ細ってしまう。骨に関しては一週間運動をやめることで、全身の2%の量が減る→骨を強くするには運動が大事
・散歩、ゲートボール、水中歩き、サイクリングなど個人の能力にあった運動を
・過度の負担をかけず、かつ習慣化して継続的におこなう
・運動は薬だと思って習慣にする
・2日に1回など長期的に考えておこなう
○運動のコツ
・日常生活の中で楽しみとして習慣化(ダンスや踊りなどでも良い)
・その日の体調にあわせておこない、無理せず苦しくなったら中止
○膝や腰が痛くて歩けない方のための体操
・うつぶせ背筋運動―ひじを曲げ、うつぶせになり、背中をそらしながらひじをのばしていく
・四つんばい背筋運動―四つんばいになり、お尻を上方へ突き出し、背中をのばす
・腹上げ腹筋運動―あお向けになり、膝を曲げ、腰を前上方へ持ち上げる
・足上げ腹筋運動―あお向けになり、足を5〜6cm上げる
以上のような簡単な運動を習慣化して続けるようにする
※痛くなるまで無理して続けないようにする

●日光浴
我々の体は、日光に当たるとビタミンDが体内でつくられる。ビタミンDはカルシウム吸収に役立つ。
日光→皮膚→ビタミンD産生→カルシウム吸収
・夏なら木陰で30分、冬なら手や顔に1時間程度でよい
・ガラスは紫外線をさえぎるので、ガラス越しの日光浴はあまり効果がない

2、お薬
たくさんの骨粗しょう症のお薬があるが、、、、、証拠のあるお薬はそのうち2つ
・ビスフォスフォネート:骨量の減少を強力に抑える(男性・閉経前の女性対象)
・SERM(サーム):閉経後の女性が対象
→骨が溶けるのを防ぐ効果があり、骨折の予防効果が認められている
※ビズフォスフォネートは日本で認可されていない
※上記以外のお薬に効果がないわけではない。少し高価ではあるが、服用するなら上記のお薬が良い

骨粗しょう症をほおっておくと……
●骨粗しょう症の3大骨折部位
・足の付け根の骨折
・背骨の圧迫骨折
・手首の骨折

●新しく背骨が骨折する率
・これまで骨折のない人―3.6%
・骨折を1個有する人―11.5%
・骨折を2個以上有する人―24.0%
全体では―19.2%。骨折は1カ所で終わらず、ほかの部位にもどんどん骨折が起こる
背骨を骨折した人を調べると、その後の大腿骨骨折が2倍以上に増えている
骨折が始まるとその後進行していく
⇒骨粗しょう症は早期発見、背骨の骨折予防が重要

●背骨の骨折―圧迫骨折とは
背骨はたくさんの積み木を積み上げたようになっている。そのひとつひとつは、外側が堅くできているが中は非常に柔らかい
→空の段ボール箱やもなかのような状態。容易につぶれてしまう→圧迫骨折

●圧迫骨折の起こる瞬間
・こけてしりもちをついた
・物を持った拍子や、なんでもない拍子に
※まったく痛みがない方が6割いる。痛みのない圧迫骨折は良いとわれることがあるが、ほかの部位の骨折につながるので放置してはいけない

●背骨骨折抑制の重要性
今後起こってくる背骨の骨折を抑制することが大事。背骨の骨折は死亡率に直結
・高齢者の腰痛→ヘルニアか何かだと思い受診→知らない間に圧迫骨折している

●圧迫骨折をしたら
・急性期から強い疼痛があり、持続する
・咳払いしても、笑っても、しゃべっても痛くなり日常生活に支障が出る

●圧迫骨折しないために
下に置いてある物をとる時は、腰を下ろして、膝を曲げて、荷物に近づき、背中は伸ばしたままで荷物を取る(背中を曲げると腰に10倍の負担がかかる)→中腰は×
※洗面所で顔を洗う時の姿勢は腰に悪い。極力腰を曲げずにおこなう

■圧迫骨折をしてしまった……
これまでの治療法:ギプス、コルセット、安静、鎮痛剤投与による保存的加療が基本
※問題点
・鎮痛剤投与→消化器病状
・長期臥床→活動性の低下
・長期入院→高額な医療費
ギプスやコルセットで1カ月固定すると、筋力が落ちてやせてしまう

○セメント治療(経皮的椎体形成術)とは
圧迫骨折した骨に、たたみ針ほどの注射針をさし、医療用セメント(PMMA)を注入する。これまでに9割の成績で痛みがとれている。骨折した骨そのものを固めるので、痛みがとれて回復が早い。厚生省の認可は下りていない
※医療用セメント(PMMA)―50年以上前から人工骨、人工水晶などに使われている

●症例―84歳、女性
元気であったが、ある時つまづいたことで背中が痛み出し、1週間寝たきりに。検査すると、古いものも含めて数箇所圧迫骨折していた。また、この長期臥床により認知症を発症。
⇒セメントを入れたところ、痛みが消失して歩行可能となり体調も回復。6日後に退院。
H15・7月〜H17・3月の間に、48症例、70椎体にセメント治療を行う。合併症、悪化例なし

●セメント治療の術後結果
・痛みがなくなった―90%、まったく効果がなかった―9%
・痛みの程度を10段階評価で患者さまにアンケートを実施―治療前7〜8点だった方が、治療後は1点に
・歩行不可能だった方が歩行可能になって帰られる―80%
・治療当日、もしくは翌日に歩行可能に。2泊3日で退院される方も□セメント治療
1987年フランスの医師が背骨のできものに対して使用
1990年アメリカで背骨の圧迫骨折に利用されるようになる
※本邦では保険不適応
・患者さまの負担が軽い
・90%に徐痛効果あり
・入院期間が短い

●適応―骨粗しょう症による圧迫骨折。若い方では事故などによるケガにも適応されている
●なぜ効くのか―はっきりわかっていない。セメントが固まる際の熱が効果をだしているとか、背骨が安定することに効果があると考えられている

***合併症・副作用の可能性***
・セメントの漏れ→対麻痺、肺塞栓症(海外では死亡例あり)※このことから日本では普及していないのが現状
・骨セメントによるショック
・神経、血管、内臓などの損傷
・感染、一時的な痛みの増悪、肋骨骨折
・隣接椎体の骨折(ほかの部位の骨折予防になるわけではない)

●今後の課題
・新しい骨折を防止するため、注入するセメントの物質の改良
・全国の病院で実施できるよう、学会を立ち上げてセメント治療のできる医師を増やす

▼まとめ
・骨粗しょう症には予防が一番大事
・予防の3原則は食事・運動・日光浴
・よいお薬を使う

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