ヘッダイメージ
Topへ | 経営理念/基本方針 | 理事長あいさつ | 環境保全活動 | 武田病院グループ沿革 | 関連サイトへのリンク | グループ施設一覧 |
  HOME  >> からだを知ろう  >> アスニー山科講座

アスニー山科講座

アスニー山科(JR山科駅前)では、武田病院グループスタッフによる講座を開催しています。 このページでは、開催された講座内容を掲載しておりますのでご利用ください。

2004年8月25日(水)
医仁会武田総合病院 呼吸器科部長
鈴村雄治
「肺癌について」
1.肺癌とは
1. 肺癌の発生
細胞が正常な機能を失って無秩序に増えるのが癌であり、肺癌は気管支、肺胞の細胞が癌化したものです。その原因は遺伝子の異常だと言われていますが、まだ十分に解明されていません。
2. 肺癌の統計
・1993年から男性癌の死亡率の1位
・女性では胃癌についで2位
・1999年肺癌による年間死亡者数は約5万2千人(癌全体は約29万人)
・2015年には年間の新患者数は約11万人になると予想される
・50歳以上に多く、男女比は3:1 ・好発年齢は70歳代、60歳代、80歳代の順
3.

肺癌の組織分類(種類)
・小細胞肺癌
・非小細胞肺癌
   1..腺癌
   2.扁平上皮癌
   3.大細胞癌など
   ※小細胞肺癌と非小細胞肺癌では治療法が異なる

4. 肺癌の原因と予防
・肺癌の原因のすべてが解明されているわけではない
・喫煙が危険因子であることは証明されている
・喫煙指数=1日喫煙本数×喫煙年数
 喫煙指数600以上は肺癌発症リスクが高く、発生頻度は吸わない人の4〜5倍
2.症状
1. 早期の場合はほとんど無症状
・検診や人間ドック
・他疾患観察中
などで発見されるケースが増えてきており、この場合早期であることが多く 比較的予後は良い
2. 発生する場所によって異なる
・肺門型(気管支が肺に入る部分)=症状が出やすいが、画像上見つけにくい
・末梢型(気管支の末梢部分)=症状が出にくいが、画像上見つけやすい
3. 一般的症状
咳、血痰
咳・・・・2週間以上咳が続くと受診したほうがよい
血痰・・・明らかに異常なので早く受診したほうがよい
4.
癌が進行した場合(肺内に癌が留まっている場合)
胸痛、喘鳴、息切れ、声がれ
胸痛・・・癌が肺を超え胸壁に浸潤したとき
喘鳴・・・癌が気管支を狭くしてしまったとき
息切れ・・癌が完全に気道を塞いだとき、
     肺に水が溜まったとき
声がれ..声を出す神経を癌が圧迫したり浸潤したとき

5.

癌がさらに進行した場合(肺外に転移がある場合)
易疲労感、食欲不振、体重減少
6. 転移病巣の症状
肺癌が転移する好発臓器は、脳、骨、肝臓の他の部位
脳転移・・・頭痛、吐き気、ふらつき
骨転移・・・転移した部位の疼痛(腰の骨に転移した場合は腰痛出現)
3.診断方法
1. まず胸部レントゲン写真
 
2. 異常があれば胸部CT写真
 
3. 確定診断のためには病理検査が必要
1)喀痰細胞診・・・
  痰に悪性の細胞が混じっていないかを調べる
2)気管支鏡下生検・・・
  5ミリぐらいのカメラを口から気管支に挿入し、肺内部にある病巣の細胞・組織を採取して調べる
4. 腫瘍マーカー(確定するための補助診断)
癌ができたとき、血液中に上昇する物質
CEA SLX SCC シフラ NSE Pro−GRP
5. 治療法決定のため全身検索が必要(進行度の決定)
肺癌が確定、あるいは強く疑われる場合、転移の有無を確認するために
1)頭部MRI
2)腹部CT
3)骨シンチ
  骨シンチとは、放射性同位元素(RI)を体に注射すると、RIが転移部分に取り込まれるため、3時間後に撮影し転移の有無を調べるもの
 
4.病期(進行度)
・病期により予後が異なる
・病期により治療が異なる
  →現状を把握し、治療法の決定のためには、正確な病期の診断が必要
1. 病期は1〜4期に分かれている
1期:原発巣のみに留まっている
2期:肺内のリンパ節に転移がある
3期:肺外のリンパ節に転移がある
4期:他臓器に転移がある
2. 肺癌の臨床病期と手術適応(Stage=病期)
腫瘍の大きさなどによりさらにA,Bと分けている
Stage I A 
Stage I B
Stage II A
Stage II B
Stage III A ↑手術適応(手術で完全に病巣がとれる)
Stage III B ↓手術不能(手術しても病巣を完全にとりきれない)
Stage IV
III Aの中には手術適応例と手術不能例が混在する。
3. 肺癌臨床病期と5年生存率(手術症例の成績)
Stage I A  80%
Stage I B  70%
Stage II A  50%
Stage II B  40%
Stage III A  30%
5.治療法
癌に対する治療・・・・・・・・手術療法、化学療法、放射線療法、
癌による苦痛に対する治療・・・緩和療法
1.
手術療法…癌を完全に切除し、根治を目指す治療
肺葉切除(右肺は上葉、中葉、下葉に、左肺は上葉、下葉の房状に分かれて おり、その一房を切除)が標準術式 ・切除範囲により術名が異なる
1) 肺部分切除術(肺葉の一部だけ切除)
2) 肺区域切除術(肺葉はさらに区域に分かれ、その区域を切除)
3) 肺葉切除術
4) 肺全摘術(片方の肺すべてを切除)
腫瘍の大きさ発生部位から根治性を考え、また患者さんの肺機能、全身状態から総合的に判断し術式を選択する。
2. 化学療法(抗がん剤治療)
全身的治療
1)注射薬
2)内服薬
10年前に比べ、
・少し効果が上がった
・少し副作用が減った
・副作用を抑える薬が進歩した
 などにより総合的にかなり進歩しているが、
 現在のところ化学療法だけでは根治は難しい。
3.
放射線療法
1)局所治療(照射した部分にだけ効果)
脳転移巣
骨転移巣
2)術後追加治療
切除断端…例えば、肺癌が胸壁に浸潤していた場合に、切除後癌が接していた部分に照射
縦隔照射…縦隔にリンパ節転移がある場合に術後照射
4. 緩和療法
痛み、呼吸困難など苦痛を和らげる治療
主にモルヒネなど麻薬系を使用
6.治療の副作用と対策
1.
手術療法による副作用
1)肺機能の低下
その対策として
肺機能検査による術式の選択…術前に肺機能検査をし、切除後も日常生活ができると判断した人のみ手術を行う。切除後の残存肺機能を予想し切除領域を決定する
術前呼吸訓練…術前術後、呼吸訓練によって肺機能をアップさせ、日常生活 が送れるようにする
2)術後疼痛
手術で肋骨を開くときに肋間神経を圧迫するため、術後肋間神経痛と同じような痛みが3カ月ぐらい残る
対策として
・鎮痛薬投与
2.
化学療法による副作用
1週目 全身倦怠感、嘔気、嘔吐(薬によって手足のしびれや下痢)
2週目 白血球減少
3週目 脱毛
対策として
・制吐剤、スラロイド薬の投与
・定期的採血検査による白血球数チェック
.白血球減少時には白血球を増加させる注射をする
3.
放射線療法による副作用
照射臓器の障害
・放射線肺炎
・放射線食道炎
・放射線腸炎
・放射線脊髄炎
・放射線皮膚炎 など
対策として
・症状が強いときは照射を中止する
・放射線肺炎−ステロイド剤の投与(注射薬・内服薬)
・放射線食道炎−食道の粘膜を保護する薬の服用
・放射線皮膚炎−ステロイド剤塗布(外用薬)
 

このページのトップへ

BACK TO INDEX