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アスニー京都講座

2005年6月17日(金) 顔写真
十条病院糖尿病センター 部長
森本 昌親
「食べることと健康―メタボリックシンドロームを中心に」

生活習慣と健康障害
●生活の変化
・第二次世界大戦のころは物不足―食べられない苦しみ
・昭和40年ころには景気が良くなり豊作の時代といわれる時代へ

その結果、肥満、高血圧、糖尿病、がん、高脂血症などが増加。これらを基盤とした心筋梗塞、脳梗塞、脳卒中も増加。
中年の働き盛りの人によく起こる―「成人病」と呼ばれ、早期発見・早期治療が叫ばれるように。健康診断が重視される。
⇒食事や運動、たばこ、酒などの生活習慣が深くかかわっていることが分かってくる。

●「成人病」から「生活習慣病」へ
ただ中年に起こる病気というのではなく、中年に至るまでの30〜40年間の生活習慣の積み重ねが原因。健康な生活習慣を身につけることで病気の発症を予防する考えが出てきた。
⇒病気の早期発見から発病予防へ意識の変化

●糖尿病の増加
2000年(平成12年)『21世紀における国民健康づくり運動・健康日本21』
当時の厚生省が10年先を目標に掲げたもので、
「国民に生活習慣の重要性を訴えて、食生活を改善し運動量を増やし、肥満者を減らす。
同時にたばこやアルコールの消費を減らして脳梗塞や心筋梗塞、がんを減らす」というもの。
しかし調査結果は……
・糖尿病
1997年(平成9年) 690万人
2002年(平成14年) 740万人
・糖尿病予備群(血糖値が高かった人)
1997年(平成9年) 680万人
2002年(平成14年) 880万人
⇒5年間で糖尿病患者は50万人、予備群は200万人、計250万人の増加
特に予備群の増加は、生活習慣の改善が徹底されていないことを示している。

《生活習慣病の定義》(公衆衛生審議会 1996年)
「食習慣、運動習慣、休養の仕方、喫煙、飲酒等の生活習慣がその発症・進展に関与する疾患群」

●生活習慣病とされる主な疾患
・食習慣に関連するもの……糖尿病、肥満、高脂血症、高尿酸血症(痛風の原因)、循環器疾患、一部のがん(胃がん、大腸がんなど)、歯周病、骨粗しょう症など
・運動習慣と関連するもの……糖尿病、肥満、高脂血症、高血圧、骨粗しょう症など
・喫煙に関連するもの……肺の偏平上皮がん、心筋梗塞、狭心症、循環器疾患、慢性気管支炎、肺気腫、歯周病など
・飲酒に関連するもの……アルコール性肝疾患など

 
メタボリックシンドローム

代謝症候群・肥満症候群
以前は小太り症候群として認識されていたが、健康を障害することがわかってきた。
内臓脂肪と皮下脂肪があるが、とくに内臓脂肪が悪性である。
・内臓脂肪―動物性たんぱく質の取りすぎ、動物性脂肪の取りすぎが原因
⇒過剰栄養を基盤とした危険因子の蓄積

!メタボリックシンドロームは心筋梗塞や脳卒中の予備群!
糖尿病の予備群=心筋梗塞、脳卒中の予備群□メタボリックシンドロームの診断基準
《A》
腹囲(おへその高さで計測)……男性 85cm、女性 90cm以上
⇒内臓脂肪面積100立方センチ以上に相当《B》
ア)血清中性脂肪……150mg/dl以上
または HDLコレステロール……40mg/dl未満
イ)血圧……収縮期 130mmHg以上
または 拡張期 85mmHg以上
ウ)空腹時血糖……110mg/dl以上

以上の項目で、《A》が当てはまり、なおかつ《B》アイウのうちで2項目以上当てはまるとメタボリックシンドロームと診断される

※※メタボリックシンドロームの診断基準について※※
〈血圧〉
一般的に高血圧とされるのは 140/90mmHg (上が140で下が90)
⇒診断基準の(B)の血圧にある「130mmHg」は高血圧ではない

正常血圧は 130/85mmHg未満。
高血圧ではないのに要注意の項目に入っているのはなぜか?
⇒正常血圧と高血圧の間の数値に入ってきたら注意、という項目〈血糖〉
正常な血糖値 110mg/dl未満
糖尿病の人の血糖値 126mg/dl以上

診断基準の中では、正常を少し超えただけで注意項目になっている
⇒以前は正常値に近ければ注意をうながす程度だったため、気にする人が少なく再検査したときには糖尿病を発症していたことが多かった。正常値に近いグレーゾーンも要注意であることがわかってきたため、基準を厳しくした
※腹囲に加え、危険因子(血圧や血糖値など)が重なることでリスクが高まる。
※わずかな血糖値の上昇や、血圧の上昇を見過ごすと危険。

●肥満はなぜ危険なのか
インスリン抵抗(インスリンが効きにくい状態)→ 血糖が上がりやすい
※肥満であると血糖が上がりやすい!糖尿病の人は心筋梗塞のリスクが高い!
・高血圧
・高血コレステロール血症
・高血糖または糖尿病
→この3つは心筋梗塞の因子
糖尿病になると血管がボロボロになり弱まる

●肥満による健康障害
糖尿病、高血圧、虚血性心疾患、高脂血症、脂肪肝、痛風、胆石症、
呼吸器障害(睡眠時無呼吸症候群など)、がん(乳がん、胆のうがん、結腸がんなど)、
変形性脊椎症、変形性膝関節症など肥満は体脂肪が過剰に蓄積された状態
→原因は食べすぎ、カロリーの取りすぎ
→自分の運動量とカロリー摂取量のバランスが取れていない??なぜ食べすぎは良くない??
「地球上には食糧不足に耐えたものが生き残ってきた」
少々の食糧不足では健康障害を起こさないように、体のつくりができている少ないエネルギーで体力を維持する能力
・食事量が少ない時 ⇒⇒⇒ 食物の効率良い利用、節約 ⇒⇒⇒ 健康維持
・食物過剰摂取 ⇒⇒⇒ 過剰エネルギーの体内蓄積 ⇒⇒⇒ 肥満食べものを脂肪に転換するしくみがうまくできた生物が生き残る

太りやすい
食糧の乏しい環境に育っていた人間が、飽食の時代になり肥満になった

生活習慣病の増加

●生活習慣を修正してみる
〈血圧〉
・食塩を減らす ⇒ 血圧が下がる
・運動する、飲酒をやめる ⇒ 血圧が下がる
・食事を控える、体重を減らす ⇒ 血圧が下がる
なかでも、「食事を控える、体重を減らす」項目にもっとも効果があった
※食事を減らす……野菜・魚類を主として、動物脂肪を減らした食事にする〈血糖〉
治療なし・経口薬・生活様式の改善の3つの方法で調査

生活様式の改善を行った人がもっとも良い結果に
体重コントロールをした人が、薬を使った人より効果があった!!体重を減らすことがもっとも重要!!

 
肥満につながる生活習慣
▼肥満につながる食行動▼
  ▼肥満・糖尿病・高血圧を防ぐ 賢い食生活▼
・食べ物を見るとつい手をだしてしまう
・おしゃべりをしながらつまみ食いをする
・誘われるといつでもいくらでも食べる
・残り物があると全部食べてしまう
・腹一杯食べないと気がすまない
・一度に口に入れる食べ物の量が多い
・口の中のものを飲み込む前に次のものを食べる
・揚げ物や脂っぽいものが好き
・甘いものをよく食べる
・野菜や海藻をあまり食べない
・味付けの濃いものが好き
・調理済みの食品を多用する
・朝食は食べないか、少ない。夜たっぷり食べる
・夕食が済んだあと何か食べる
・運動したあと飲み食いする

 

  (1)いま自分は何のために食べるかを考える
(2)食べ物の誘惑を遠ざける。食べ物は見えないところに置く
(3)きちんとした食事をする。何をどれだけ食べたらよいかを正しく認識する
(4)朝食をきちんと食べる。朝食は一日の活力源。朝食抜きは不健康のもと
(5)食事をする場所と時間を決める。きまった時間になったら食べる
(6)一日二食にするのはよくない。食事はできるだけ三食均等を心がける
(7)空腹でないのに食べない。食欲と空腹は違う
(8)夕食のあとはお茶以外口にしない。寝る前2〜3時間は食べない
(9)質、量ともにバランスのとれた食事
・主食となる穀物、主菜となる肉・魚類、副菜となる野菜・海藻類がバランス良くとれていること
・何か特別のものを食べていたら健康が維持できるというものではない
・外食のとき、何をどれだけ食べればよいか、概算する習慣を身につける
(10)食品の持ち味を活かす。食塩や砂糖を減らす
(11)食べ物の種類を豊富に、量より質を楽しむ。いろいろ食べて腹八分目
・満腹にしなければ満足しないという習慣を改める
・献立の中にカロリーの少ないものを取り入れる
(12)時間をかけて調理し、時間をかけて食べる
・食事は調理の時から始まる。おいしく食べるには丁寧な料理を作る
・一口を大切によく噛んでよく味わう。よく噛むと自然に薄味になる
・ゆっくりと食べると食事をしている満足感が得られる
(13)宣伝に惑わされるな
・ある特定の食品に特別の価値をおくのは間違い
・どんなに身体に必要な栄養素でも取りすぎれば害がある
・しっかりした知識と意志を持った食生活を送らないと、食べることで健康を損なう恐れがある
・食品が偏らないように心がければ、目新しい情報に頼らなくても健康は維持できる
・身体を作る原料は食物。食べた通りの身体が作られる
・毎日のちょっとした心がけで健康な状態を保つことが可能であり、またちょっとした気のゆるみで健康を悪化させる
 
痴呆との関係
あまり症状のない5mm以下の小さなラクナ脳梗塞が痴呆症状と大きくかかわっています。1990年の統計では、全体の21%が脳血管性痴呆、アルツハイマー型痴呆は43%、両方が混じった混合性痴呆6%、パーキンソン症状と記憶力の悪さなどが合併したレビー小体型痴呆17%、その他甲状腺機能低下による痴呆があります。
 脳血管障害に対する予防策を講じることで、痴呆症状の約3割が予防できると考えます。
 
まとめ
何事も自分で選択する時代です。
食べ過ぎて病気になるか、気をつけて食べて長生きをするか。
たくさんある食べ物の中から、何を選んでどのように食べるかが重要です。

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